Wednesday, August 30, 2006

シュワーツネーガー加州知事の環境行政




アメリカ50州の中で特異な存在は、カリフォルニア州だろう。日本とほぼ同じ大きさだが、アメリカの縮図になるどころか、東部が旧体制ならば、カリフォルニアは新体制的な特性が高い。アメリカだが、アメリカ的でない側面も強くなってきている州だ。こと州民の構成を見ただけでも、白人がマイノリティになっている州でもあり、ヒスパニックの政治力は日増しに強くなってきている。ヒスパニックではないがシュワーツネーガー州知事さえオーストリアからの移民だ。

アメリカの政治をフォローしている人でなければあまり気にしていないだろうが、シュワーツネーガー州知事はブッシュ大統領と同じ共和党出身。しかし、第一期目に当選したときの州民の熱烈なセレブ当選は次回は認められないだろう。そのために、シュワーツネーガーも州民の意向を十分に汲み取るように努力をしている。環境問題は、これまでリベラルの杞憂と云うことで、選挙の時に大きな争点になって来なかったが、どうも今年の選挙は、不法移民、健康保険、イラク戦争、などとともに争点の順位が上がってきている。

今週州議会に提出されている州法案AB32は、今週中に州の上院・下院を通過する見込みだそうだ。その中身は、温室効果ガス規制をカリフォルニア州が独自の基準で設けると云うもの。しかも、大手事業の温室効果ガス測定を行ない、企業努力によって、大幅削減をするところについては、規制以上に改善を見せたところは、その余剰分を達成できていないところに売り渡しても良いと云うことにするようだ。これによって、環境改善クレジットが商売になる仕掛けを作る訳だから、果たしてこれが機能するかどうか、見ていく必要はあろう。しかし、より大きなインパクトは、加州が、連邦政府に先駆けて環境規制を強化するだけでなく、環境改善クレジットを前面に出そうとしていることが、連邦議会でも注目を浴びないことは考えられないからだ。

これまで、アメリカでは、ガソリン価格は乱高下し、人々は、一時的に上がってもまた下がるだろうとの希望と観測を持ちながら、引き続きエネルギー浪費を続けてきた。しかし、徐々にではあるが、エネルギー資源は無限だと云うことは言われなくなってきている気がする。お金持ちはいくらガソリン価格やエネルギーコストが上がろうと屁とも思っていないだろうが、選挙民がこの問題に注目始めたことは、単にコスト面からだけでなく、環境政策論議をも高めていくことになれば、意義は大きい。

コロラド州は、保守的な共和党支持者が多く、どちらかと云えば州単位での議論は、加州ほどのレベルに行っていない。もちろんコロラドには排ガスを生じさせる産業は少ないと云う状況はあり、空気も比較的にきれいなので州単位での議論や意識が今イチ低いのは事実だ。ただし、ボールダーは、この点で、環境保護都市としての意識が高く、今後も報告する案件は増えるだろう。環境は誰かが守ってくれるのではなく、自分たちの日常の活動が、それを反映していることを理解しなければならない。

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