Thursday, July 09, 2009

本格化するクリーンエネルギー経済

これまでグリーン経済は、特殊な分野だと見られていた。デンマークや一部の国を除き、国の重点産業政策、主力経済政策になると云うよりは、おまけ的な形で自然発生的に出てきたと言えなくもない。もちろんニーズがあるから伸びているのは間違いないが、政府が政策の根幹においてきていることはなかった。特にブッシュ政権の終了まで、化石燃料からの転換、温室効果ガス排出の抑制、新エネルギー経済への移行などは、議論されていたものの、大幅な実行策はとられていないと云っても良い。手術をしないで済ませたいような疾患治療のようなものだ。しかし、加速度的に世界経済が拡大しはじめると、もはや手をこまねいて待っているようなことができない事情にまで発展してきている。石油産出はピークから下降しはじめていると大方の専門家の判断だからだし、今まで消費市場でなかったところまで「消費型経済」へと突入しはじめたからで、資源浪費は環境から、コストから、その他の要因で難しくなるからだ。何かしないといけないと云う意識が、多くの市民の中で芽生えているのは事実だ。

クリーンエネルギー経済は、これまで、グリーンと云う括りで計測されていなかったので、注目も集めていなかったが、統計的にもクリーンエネルギー経済を測定する必要性が高まり、その扱いがグリーンとしての括りつけが始まっている。そうなってくると、クリーンエネルギー雇用の存在が人々が考えていた以上に大きいことが理解されはじめている。The Pew Charitable Trustsなる団体が行なった統計作業によると1998年から2007年の間の推移を見ていくとクリーンなエネルギー経済化での職の創出は、総体としての就労の推移に比べて二倍半の成長率であることが確認できた。Pew財団は、全米50州でのクリーンエネルギー経済の実質的な雇用口の変化について、実質的な数字を把握した上で、雇用数全体を計測しはじめたのだ。このような具体的な計測が行なわれたのは、アメリカでははじめてなので、その内容には、注目すべき結果が多く出ている。

Pew財団の調査によれば、クリーンエネルギー経済は、1998年から2007年の10年間にわたり全米で9.1%成長したのに対して、従来型の経済分野は3.7%しか伸びなかったという。州レベルでも同じことが言え、首都ワシントンと50州のうち38州で、これを裏付けるトレンドが出ている。報告書によると、この部門は、消費者の需要の高まり、ベンチャー資本の資本投下、連邦や州の政策転換により、かなりの勢いで成長することが見込まれている。これまで、政府よりの支援をあまり受けなくとも、2007年段階においてさえ、全米50州の68,200事業所が、クリーンエネルギー経済雇用を770,000まで広げている。現在、オバマ政権などで、急激にこのセクターに資本投下や重点施策の移行を行ないはじめているので、この勢いはさらに加速していくに違いない。

同財団の集計によると、これまで潤沢に政府の支援策を得てきた化石燃料産業セクター(電力ガス、石炭発掘、ガス採鉱などの分野)は、2007年で雇用水準は127万人だったという。支援対策の方向性が変わってくれば、クリーンエネルギーに雇用がシフトするのは目に見えている。
Pew財団が定義をしているクリーンエネルギー経済は次のようなものだ:クリーンエネルギー経済は雇用、企業や投資を生みだす一方で、エネルギー効率を高め、温室効果ガスの排出量、廃棄物と汚染の削減、節水、やその他資源の節約に貢献する 。これがどんなカテゴリーかと言えば5つのカテゴリにまとめられる:( 1 )クリーンエネルギー、( 2 )エネルギー効率性、( 3 )環境に配慮した生産、( 4 )環境保全と汚染の軽減、( 5 )人材育成とサポートなどである。産業全体を見ていく上で、新旧エネルギーに関わる統計が出ている意義は大きい。これにより、雇用の推移や変動、投資や経済成長の趨勢、政策策定や投資の実質的な効果がどのようなものになっているのか、ガラス張りになる可能性も高い。同レポートは、勃興しはじめているクリーンエネルギー経済は、各州において、高い賃金水準を達成していることが明らかになってきている。しかも、ある一部の職カテゴリーだけでなく、広範囲のの分野で高賃金体系の職種が生まれてきていることを示している。

コロラド州のリッター知事も、当州を新エネルギーのメッカにしようとしており、デンマークのVestas社の生産工場を誘致したり必死だ。ボールダーにおいても、Conoco Phillips社が新エネルギーの大規模な研究所を建設しはじめており、コロラドの環境関連のラボラトリーズの存在から、この地域が大きなクリーンエネルギー経済のメッカになることが見込まれている。ボールダーのロハスは、かなり先端的な、クリーンエネルギーの頭脳集団を擁するに至るだろう。もうすでにSmart Grid関連でも、日本からの視察団を多く受け入れはじめており、この州、この街ボールダーの動きは面白い。


環境保全事業はもはや、付帯的な案件で無くなってきている。先進国も発展途上国も、クリーンエネルギー経済を推進し始めるに至り、これまでの社会インフラをも、覆すような変化が出てくることになろう。オバマ政権は、経済雇用政策の問題、外交の問題、医療の問題、など多くの問題を抱えている。現在まだ国民のサポートを得ているが、このハネムーンもいつまで続くか定かでない。でも、石油、化石燃料中心型の経済は、オバマ政権であるにないに関わらず、終焉に向かっていることだけは事実だ。アメリカの雇用状況推移をきちんと見極めていきたい。

Sunday, July 05, 2009

食品メーカーのイメージ問題

食の安全は、先進国アメリカでも大きな問題だ。しかも、大手メーカーを信用できないという消費者が急増をしているという。この市場調査を行なったのは、食に直接関連しないIBM社だそうだが、市場調査サンプルは1000名、10都市で行なわれたものらしい。何と驚くことに、食品メーカーが安全で健康的な食品を提供すると信じている人は20%にも満たないと云う調査結果が出ているそうだ。

この調査で、過去二年間に発生した食品の回収問題で、具体的な品目を想起できたのは83%にも達している。このように高い想起率は食品に対する意識の高さが窺える訳だが、それだけ食品メーカーが安全対策に対して気をつけなければいけないことを示している。メディアの取り扱いの高さも当然あるので、このような結果が出ると思われるが、いざ、ある特定食品が問題視されると、カテゴリー全体のイメージが下がることが想定され、安全対策をしているメーカーの広報力やアクションの早さも重要になってくる。

昨年3月に、アメリカ人には欠かせないピーナッツ・バターがサルモネラ菌で汚染されているため、連邦食品医薬品局が回収指示をした際に、ボールダーにあるオーガニックのピーナッツ・バターを生産するJustin Nut Butterは、急遽、彼らのピーナッツバターは、回収の対象となっていないことを広報し、売り上げを急増した。牛肉の回収に至っては、比較的毎年どこかで発生しているので、その度に、オーガニック牛の販売が伸びるのだと、やはりボールダーのナチュラル牛を生産販売しているColorado Natural Beef社は語ってくれた。

IBMの調査によるとアンケートをとった49%もの人が、汚染されている際はその食品を買い控えるとしている。8%ものの人は、そのカテゴリーの食品を食べなくなると述べるとともに、大半の人は、原因の究明と対策が打ち出されるまで食べるの控えると言っている。

過去二年間で一時的にせよ、あるカテゴリーの食品を買い控えた人は47%にも及んでいる。また、面白いことは、メーカーが回収対策して、汚染食品をきちんと処分するだろうと見ている人は55%しか居ないのに対して、販売をした小売店、スーパーが回収に際してきちんと当該食品を処分するだろうと見ている人は72%とメーカーの比率よりも高い。ホールフーズなどがイメージを大事にしているのはよくわかる。ホールフーズ、あるいはクロガー、セーフウェーその他の大手スーパーへ食品を納入しようとするところは膨大な資料提出を求められるのが常で、いつか機会があれば、もう少し詳細に書いてみたい。

量産メーカーが抱える問題は、量産であるが故の問題が多い。トレーサビリティなどをきちんと行なったところで、多くの生産者から調達をする訳だから、事故が起きる可能性は高く、またそのインパクトは量産のために地理的に広範囲に及ぶことも多い。コスト面から、量産メーカー太刀打ちできないが、地産地消やファーマーズマーケットが盛んになって来るのは生産者の顔がより良く見えるからだ。大都会でもファーマーズマーケットが盛んになっていることは言うまでもない。顧客の信頼を失いはじめている食品メーカーは、今後も顧客に厳しい目で見張られていくことになるだろうから、ここをきちんと対策取れるところは顧客の信頼を受けて事業を伸ばす代わりに、対策を怠るところは、顧客に敬遠をされ事業的に失墜することも発生しかねない。

Friday, July 03, 2009

オーガニック(有機)認定連邦基準設定への疑問

オーガニックとして認定されている食品の販売は、より高価格帯なために景気後退の中で減少するだろうと見込まれていたが、伸び率こそ減ったものの安定した市場になりつつあるようだ。2008年の対前年の伸び率は、2008年後半の急激な景気後退時にもかかわらず、年累計で、食品と非食品分野において総売り上げ額246億ドル、17.1%の大きな伸びになった。2009年の統計はあまり出ていないので、ここで書くことにしないが、まだ比較的に堅調なようだ。情報がまた出てくれば、紹介をするようにしたい。

今回、話題にしたいことは、オーガニック市場の急成長は、これまでも紹介しているように大手企業の関しを引き寄せていると云うこと。大手企業がオーガニック市場に参画するとなると、良い面だけでなく、悪い側面も出てくるので、きちんとことの推移を見守っていかないといけない。私が喜んでいるのは、農薬、殺虫剤や化学肥料、遺伝子組み換え種子など生産するような企業の成長鈍化すると云うことだ。現に、自然派運動の攻撃に的になる大手のモンサント社なども従業員削減などを余儀なくされている。経営についても、ピーク時に比べると少し下がっている。下降傾向が一時的なものなのか分からないが、オーガニック食品などの成長に伴い、事業転換が迫られるようになることを願っている。需要の低下は、あくまでも人工的な農業が減ることを意味し、土壌、河川などの汚染も少なくなることを示すからだ。

しかし、より大きな問題がある。アメリカのオーガニック認定基準は比較的最近になってまとめられた連邦基準だ。これまで、各州ベースで認定されていたものを、多くの人の努力で、連邦レベルの基準へと持ち上げ、先端的なドイツなどの基準に近づいたとされていた。しかし、ブッシュ大統領時代から、あまり厳格な基準では、大手食品メーカーの市場参加のメリットが少ない、他社との差別化が難しい、市場参入が難しいなど、本来の食品をより加工度の高いモノへと変更したり、添加物などを混ぜたり、引き続きオーガニック認定を受けたい希望が強いようだ。そうして、これまで、人工添加物を入れれば、連邦の有機認定は与えられないとされていたいくつかの分野で例外処置がとられるようになってしまっている。ワシントンポスト紙が紹介する事例はベビーフードの事例だ。しかも、添加物は、思考能力や視力を改善されるとされる添加物で、オーガニックベビーフードの90%にも添加されているという。困った事態だ。

ベビーフードに限らず、いくつかのカテゴリーにおいて細かいレベルだが、基準の緩和が行なわれているようで、多くの場合、食品メーカーの強いロビイング活動の結果だと見なければならない。大手企業の差別化対策のために使われているとしたら、オーガニック認定が形骸化してしまう懸念も出ている。もちろん、オーガニックの認定には、添加物でもオーガニックのものが手に入らないので一時的に例外処理されているモノもあるとのことだが、それらの例外的処置を受けているものが減少するべきものであるにもかかわらず、数が増えていると云う問題点なども指摘されている。

ビルサック農務長官は、オーガニック認定の基準緩和圧力が出てきていると認めつつも、、一方では、法の精神をしっかりと守るように体制強化をして行く所信表明をしている。オバマ政権下でも、オーガニック基準や関連の行政支出を増やしており、明らかにこの問題は大きなテーマであることを裏打ちしている。

ボールダーには、この厳格な基準を守れという声は高い。大手メーカーの強い圧力をはね除けてでも、オーガニック基準を守ろうとする姿勢は強い。厳格な基準を守るためにロビイング活動をしている団体などもある。PR企業でそのような活動をしているのはFresh Ideas Groupなどの企業だ。何がオーガニックなのか、誰のためのオーガニックなのか、最終的な判断は消費者の財布によるので、政府の基準もさることながら、市民運動の一環で、ローカルなオーガニック、加工度の低いオーガニック、ファーマーズマーケットなどで買うようにして行くことで、大手への圧力を市民がやっていかなければならいだろう。基準は人間が作るもの。ほどよく懐疑的な目で見ていくことが必要だ。企業の立場も守らなければいけないが、消費者を主体としたオーガニック認定であることを忘れてはならない。政府、企業、消費者皆がオーガニックと云う取り決めを守っていかなければ、何のためのオーガニック認定なのかと云う問題になってしまう。

Sunday, June 28, 2009

オバマ政権の自動車政策は?

バラク・オバマが大統領に就任をして5ヶ月が経過をした。まだアメリカ経済は、景気後退のどん底から這い上がったとは言えないかもしれないが、羅針盤無く進んでいたブッシュ政権末期に比べるととても経済が安泰をしている気がする。外交的にも、希望を旗印に進んできたオバマ現象は、アメリカを超えたところでも、好印象を持って迎えられ、カイロでのイスラム世界への演説でも見られるように、亀裂がかっていたイスラム世界との関係にも修復の兆しが見られるようになった。この好転換は南米もしかりだし、大方オバマ旋風は世界の至るところで吹き荒れているようだ。

オバマ政権が、取りかかっている国内、海外の重要政策案件は多い。基幹産業である自動車の問題も、規模としてははなはだ大きい問題ながら、オバマ政権が抱え込んでしまった、諸案件の中では比重が小さく見られるようになったことはあまりにも皮肉だ。もちろん、自動車産業が集中している、ミシガン、オハイオなどの州では、ことのほか大きな政治的な課題だろうが、アメリカが抱え込んでしまった広範でしかも深刻な問題からすると、国内自動車政策重点施策の序列を下げられてしまったことは、致し方ないことだと思える。オバマ政権が、単に彼を推した民主党や労働組合の票を意識した動きをするのではなく、アメリカの根本的な病根を取り除こうとしている動きにはただただ、敬服に値する。日本の政治家でも、このように、派閥や産業などの圧力に揺さぶられることなく、長期的な視野を持って、国造りをして行こうとする姿勢には感銘を覚える。

私は、ボールダーに移る前、14年間にわたり経営破綻をきたしたGMに奉職をした。トヨタとのカリフォルニアでの合弁交渉やスズキ自動車とのカナダでの合弁交渉に関わってりした。直接にサターンとは関与をしたことはないが、GMの小型車戦略や日本戦略などに深く関わった。GMは完全な破産をしている訳ではないが、このように経営的に破綻をした背景には、同社のトップの判断の見誤りも多くあるが、歴代のアメリカ大統領がエネルギー政策を軽んじてきたことにも大きく影響されていると思う。オバマ政権に先立つ、ブッシュ政権は、ブッシュ大統領とチェーニー副大統領が石油産業出身であること、あるいは、遡り湾岸戦争を展開したブッシュ前大統領(父)も石油産業出身者だと考えるとアメリカの石油外交が利権と関わっていたと見られてもおかしくない面もあろう。癒着があったかどうかは別としても、キナ臭い感じがするのは間違いない。ただ、ここでその問題を取り上げるつもりはない。

先週、下院はオバマ政権のエネルギー法案を可決した。まだ、上院での可決が残っているので、確定的なことは言えないが、オバマ政権がエネルギーを一つの大きな政策目標にしていることを考えると、この法案が、通過した後でのアメリカがどうなるのか、触れてみたい案件だ。私はGMの経営破綻の原因の一つにアメリカ政府がエネルギー政策を軽んじたことも大きく影響していると書いた。つまり、アメリカ政府は、世界的なガソリンの価格状況をまったく無視するような形で、「ガソリンの消費抑制」を目指すどころか、GDPの最大構成要素である「個人消費」を煽ろうとしていた気がする。景気を良くしておくことで、国民の支持を得ようとしていたのだろう。大型トラックに対する相対的な税制優遇などは、市場をいつの間にかRVなどを中心としたトラック市場に仕立て上げてしまった。建設や農作業などに使われるべき悪い燃費のトラックが一般市民の日常の足となってしまった。ロハスのメッカのボールダーでさえ、アウトドア指向と云う言い訳で、不要な超大型車が売られたのだ。アメリカの東海岸、西海岸は別として、中央部の全体におけるトラックの販売台数は昨年のガソリンパニックのときまで続いた。トヨタ自動車でさえ、テキサスにアメリカのGMやフォードを凌ぐようなTundraを生産しはじめたのは、トヨタの意向と云うよりは、政策的に大型車を販売するメリットが大いにあったからに他ならない。

オバマ政権は、ガソリン税や小手先に惑わされることなく、GMなどの国産メーカーの保護に打って出るどころか、GMのリックワゴナー会長を押し出してしまうような政策に出ている。経済的なインパクトを考え、会社を潰すようなことにはしていないが、省エネの方向に進まなければいけないようにがんじがらめに縛り込んでしまっている。インパクトがやや小さいクライスラーに至っては、イタリアのフィアットに好条件を与え、救済するようにしてしまった。フォードだけは、航空機メーカーから社長を引き入れていたこととと社内の資金対策をとっていたことから、政府の援助の手を求めることをしなかった。私は、フォードは欧州フォードの開発力をうまく活用できたのに対して、GMはオペルを活用しきれなかったところに敗因がある気がする。外部からトップを引き入れていたのなら、省エネや小型化に大成功しているオペル車などを活用していただろうと見ているからだ。私はGMはミシガンの田舎企業と見ており、洗練されたオペルなどの欧州の製品を使いこなせなく、サーブも台無しにしてしまっている。

ここで自動車論議をしてもいけないと思うので、今後はどうなるかと云うことだ。オバマ政権が、新技術開発企業への補助として補助金をしたのは、フォード車、日産、そうして電気自動車メーカーのテスラーモーターズだ。テスラーは、量産メーカーではなく、たかだが500代そこそこの販売実績に対して4億ドル以上の補助金を出すことにしているのは不可思議な点だ。オバマ政権は、配電のスマートグリッド化などを推進したり、風力発でなどの代替エネルギー推進に力を入れている。アメリカのバッテリー技術についてもIBMやGEなどが、新技術に力を入れはじめている。リチウムイオン電池を凌駕する新バッテリー技術開発も進められている。当然そのようなバッテリーは実験室段階だろうが、政府が重点施策をそこに移していることは、従来のガソリンエンジン技術の改良では済まない市場が生まれて来る気がする。

自動車のエピセンターはミシガン中心だが、新技術の発祥の地はまだ、ばらついている。そのエピセンターが、IBM, GEあるいはシリコンバレーになるのかまだ定かでない。しかし、内燃機関を中心としたクルマの技術の時代は、オバマの出現で、大きく変貌するようになることだけ間違いではない。一時的に燃費を気にしていて小型車化することはあっても、新技術をベースに再度大型車は復活するだろう。オバマのアメリカは、脱化石燃料を打ち出し、経済の再生を目指しているようだ。このように、アメリカの大統領が、景気後退という、本来ならば、景気活性化をするようなときに、既存企業を潰してしまったとしても経済の基礎工事を打ち出したことはただただ驚くべきことだ。人口の減少や老齢化の進む日本の政治家が、一時しのぎの政策ではなく、基礎工事から経済再構築をして行ってもらえたら嬉しい。そのような政治家がでてきたら、日本の若者もYes, We Canで燃えてくれることだろう。

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Saturday, January 10, 2009

ファーストフードの健闘。マクドナルド体制立て直し

2008年のアメリカ経済は悲惨なものだった。石油価格の乱高下に始まり、サブプライムで膨張しすぎた不動産市場の歪みが一気に冷却すると信用問題の危機に至ったのは皆も良く知っていることだ。まだ、問題は解決していないが、このようなネガティブなエネルギーの中でも、業績が伸び、証券市場の株価で前年比で伸びたトップ2社がリテーラーのウォールマートとファーストフードのマクドナルドであると知っている人は少ないだろう。

筆者もこれまでファーストフードの弊害を書いて来たりしているので、アメリカは逆戻りをしている観がしなくもない。一方では、ナチュラルマーケットのホールフーズの苦戦などについても書いているが、グルメ指向だったスターバックスの低調ぶりも気になるところであり、マクドナルドの復活が何を意味しているのか簡単に触れてみたい。

マクドナルドの株価の推移を見てみると驚くほど着実に上昇をしているのが分かる。もちろん、瞬間的な落ち込みや後退はあるが、趨勢としては堅調な右肩上がりだ。マクドナルドの経営が一丸になって迷いもなく前進していた訳ではないらしいが、現CEOのスキナー氏が登場をして来てから、一時的にファースト・フード・ネイションやスーパーサイズミーなどの映画で非難をされて来たマクドナルド社の量産方式がいかにアメリカ人の食生活を毒したものであるかという非難は和らいでいるらしい。

マクドナルドは一時的に業績拡大のために、拠点の展開に集中していたきらいがあり、そのために既存店のサービスや拠点の店舗模様が劣化していたケースもあるのだ。スキナー氏の前任者はサービスやメニューの朝令暮改をしたらしい。新規メニューなどを出したり引っ込めたりするのは消費者を混乱させるだけでイメージ改善にはつながらなかったのだろう。社是も “being the world’s best quick-service restaurant(世界でクイックサービスのベストなレストランを目指す)” から“our customers’ favorite place and way to eat(お客にとって最も食べてみたいところ、食べたいものを提供する)”へと基本に戻る形で、従業員の教育を深め、離職率を低めるように人材育成の道を取ったらしい。

メニューにしても、消費者の懸念をよく理解する形で、ビーフからより白身の鶏肉を中心としたメニューが増えており、肉牛のハンバーガーの比重は下がっている模様だ。現在では、グリルチキンサンド、チキンラップ、サザンスタイルチキンサンド、あるいは朝食のためのチキンなどとチキンメニューが急増している。現在は、世界で見ると牛肉よりもチキンの調達が超えるまでに至ったらしい。非難が多かったスーパーサイズメニューを引き下げ、よりヘルシーなサラダやアップルスライスなどを加え、お母さん方を味方にするためにアドバイザー的に使いはじめている。要するに消費者の懸念を訊き出し、それにまっとうな形で対応をしていると言うことだ。簡単なようだが、なかなかできることではない。

もちろんマクドナルドは、スターバックスなどに始まるグルメコーヒー市場をこれまで取り逃がしていたので、それを取り込むのにはどうしたら良いのかも戦略の一つとして検討され、見事な対応策を講じている。より上質のコーヒー豆を手に入れ、それに合う機械設備の導入を行なって、マクドナルドチェーンがより低いコストのグルメコーヒーを提供しはじめて成功している模様だ。まだ、正直言って試していないのだが、近々に試してみることにしよう。

要するに、マクドナルドやこれまで述べて来たウォールマートの健闘は、決して消費者や市場が低級だからではなく、企業が消費者のニーズを良く汲み上げ、バランスの取れた社会的なニーズに適った商行為を行なっているからに他ならないと思う。もちろん、まだ、マクドナルドなりウォールマートはパーフェクトではない。しかし、経済的に苦戦を強いられているアメリカ消費者は、その中で最良の決断をしているだけなのだ。ロハスが後退をしているのではなく、バランスが取れたロハスでないと、経済指標が変わるにつけ、コスト効率の用方向に人は動いていくことを示しているだけのようだ。

地元のボールダーのサンフラワーマーケットもナチュラルマーケットの最大手のホールフーズと競争をして大いに善戦している。客寄せに必死なホールフーズの記事を書いたが、まさに市場は動いているのだ。良いモノを売っているから安泰ではなく、消費者のニージにマッチしているかとが肝要のようだ。

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Wednesday, December 24, 2008

客寄せに必死なホールフーズ

アメリカの経済的な状況は、まだ、出口が見えない暗闇の中にある。マネーサプライがタイトになっている原因は専門家でない私にはよく判らないが、いずれにしても多くの業態で困難な状況が生じているのは事実だ。もちろん、生活必需品などは、支出を倹約しても買わざるを得ず、低価格路線を打ち出しているウォールマートやボールダーのサンフラワーマーケットなどは比較的うまくいっていると言えよう。しかし、これまで、高価格路線を歩んで来たいくつかのリテーラーでは、消費者離れが起きており、そのためにリテーラーなどが利益を無視するかのような価格付けでモノを販売しているようだ。ニューヨークにいる息子たちの報告では、メイシーズやバーグドルフ・グッドマンなどの高級店で感謝祭の翌日のブラックフライデーにはブランドモノの投げ売りのような状況があり、バーゲンセールを目がけて多くの淑女たちがブランドモノを取りあうような醜い状況だったと言う。

食品について言えば、ナチュラルやオーガニックの王者としてこれまで業績を上げていたホールフーズがここへ来て苦戦をしている。ホールフーズが悪くなったのではないと云う気がする。どの店舗を見ても、前と変わらない素晴らしい品揃えだが、ホールペイチェック(給与ごと吹っ飛んでしまうことへの皮肉)と揶揄されて来た価格政策の見直しが迫られている。

もちろん、これまでホールフーズの独断場的な存在だったナチュラル商材市場は、多くの競争相手の参入で、変化させるべきところ変化の対応が遅すぎた観がある。私はホールフーズは甦るだろうと信じたいが、確かに直面している問題は多い。特に今の経済的状況では需要は消費者の懐と切り離すことができないだけでなく、マーチャンダイジングを強化することを怠ったり、景気後退の影響で低いマージン商品に移っていく消費者の購入動向に敏速に対応をしなければどうしようもなく遅れていくだろう。

ホールフーズはこれまで、自社の名前が持つ吸引力で、販促などあまり打って来た試しがない。しかし、今年に入ってから、コンベンショナルなセーフウェー、キングスーパーがライフスタイル店を導入したり、ナチュラル商品を重視する政策を打ち出すと、オールマイティだったホールフーズも重い腰を上げ、チラシやディスカウントを行なうようになった。当然、ボールダーの郊外に拠点を構える、Costcoやウォールマートなどもオーガニック商品を増やし始めており、いくら上級ランクと言っても、客足が遠のきはじめたのは無理もない。

クリスマスイブに一大イベントとしてホールフーズが大セールを行なうことにしたのは、新聞の全面広告でも分かる通りだ。予告のために3日以上も連続して15段広告を打って来た。50%値引きの破格価格もさることながら、24日の朝6時に来た100名のお客様で25ドル以上の買い物をした人にはプレゼントを贈呈するという客寄せとなった。また、通常は開店していない夜中から朝5時までにはコーヒーやピザを無料でサービスすると言う販促だ。

同社の株価の推移を見てみるとかなりきびしいことが分かる。投資家からも相当なプレッシャーがかかっていることだろう。しかし、私はホールフーズの置かれている問題はナチュラルビジネスの低下を意味することではなく、逆に多くの競争相手の参入で競争環境が激化していることの証左であると見ている。専門店から通常店へのナチュラルの広まりは、今後ますます勢いを増していくことだろう。

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Friday, December 19, 2008

クルマ共有の概念広まる

今日は任期残り少ないブッシュ大統領がゼネラルモーターズ及びクライスラー救済のための処置を打ち出した。救済ではなくメーカーは融資だと言っているが、国民の目には救済だと映っている。アメリカの景気後退の凄まじさから言ったら、何らか措置を講じなければいけないということだろうが、経営が傾いた背景には市場の資金の流れがタイトになったのはあるにしても、メーカーの自己責任が多いと多くのアメリカ人は感じているようだ。

自動車の販売はかってない水準へ落ち込んでいるが、これまでの資源利用効率の悪さから見てみると、アメリカの自動車利用の仕組みを見直すことは必要なことだろう。特に居住密度が高い都市部や既にかなりの公共輸送機関があるところでのクルマの所有が見直されてもおかしくない。都市部と言ってもクルマが全くないことも困るときがあるだろう。しかし、高い駐車場、クルマ保険、修理、などなどを考えていくとあまり必要がないのに、無理矢理所有してきた観がしないでもない。私はボールダーの郊外近いところにいるので、ないととても不便だが、無理をすれば、なくても生きていけなくもない。ニューヨークや東京のような都会だったら、特別なときにあればということで十分に用が足りるだろう。

このような背景を前提にして北米ではクルマの共有のような仕組みのZipCarが出現して、今では大きく伸び始めている。クルマを「所有」することで受けるデメリットを回避することが目的だ。ZipCarの優れていることは、単に足になるクルマを必要なときに持つということではなく、レンタルのタクシードのごとく、TPOに合わせて、クルマの車種を選定できる点だろう。もちろん、それには事前に予約する必要はあるが、所有をすれば、多くのクルマを持ち、ニーズに応じて使い道を変えていくということなどできないからだ。このZipCarのコンセプトを作り上げた人たちは、ロハスの視点でものごとを考えてきた先駆的なビジネスマンと言えるだろう。

ただ、ZipCarが大きく注目を浴びるに付けて、既存企業が手をこまねいている訳にもいかない。下手をすると新しいビジネスの動きに取り残されていくからだ。その例が今月発表になったクルマレンタルの最大手、Hertz社のZipCarについて随する行動だろう。アメリカだけでなく、ロンドンやパリなどでも動き始めているが、都会でのクルマ所有率の低下につながることは間違いないだろう。物質的なモノの所有にこだわらなければ、一時的な時間借りのシステムは資源の効率的な活用につながっていくだろう。

自転車などの貸し出しシステムも欧州を中心に始まっているが、クルマの所有パターンの変化も今後大いに予想されうるので、自動車メーカーの将来モデルを研究している人たちは、移動の自由確保、資源の効率化且つ再利用、利益確保などの要素を考えながら、動いていかざるを得ないだろう。クルマの時代が終わったとは思わないが、社会的位置付け、その存在意義などは大いに再検討をされることになるだろう。

Monday, December 15, 2008

シンプル・ライフのトレンド

ギャンブルや華やかなショーなどで多くの観光客を引き寄せ、急成長していたラスベガスが昨年あたりから景気の落ち込みで苦労をしているらしい。ギャンブル好きには景気の状況がどうなろうとも関係ないかもしれないが、無駄の多い奢侈なライフスタイルは、ロハスの時代にはそぐわないのだろう。砂漠の中でのホテル前に打ち出される強烈な噴水群、大きなエネルギーを無駄遣いするネオンサインなどは、自然との調和を求めるのではなく、あたかも自然に挑戦しているような姿勢だ。私にとって、砂漠の中に建てられているホテル群は、ロハス経済の中では蜃気楼のような、幻想的な存在でしかないように見える。住宅バブル、投機的な市場や石油で大儲けをした中東の資産家などが、実体のない博打の経済で遊び狂っていたのだ。

豊かな生活をすると云うことは、もちろん悪ではない。しかし、その豊かさの定義がどのようなものかとなると、単なる物質的なモノの所有や贅沢尽しの財を利用するということになると問題が多い。自然との調和がないこと、あるいは精神的な健康とかけ離れていることも、人の本来の充足感を満たすものではないのではなかろうか。これまで多くの場合、豊かさの定義の中に精神的な、情緒的な豊かさが忘れ去られていたものが、復活してきていると言える。もちろん、ハイペースの中で仕事をしている人にとって、経済的な余裕がない限り、精神的や情緒的な余裕を求めることさえ難しいのかもしれない。しかし、アメリカにいるとそれを求める人々が徐々に増えてきている気がする。資本主義の牙城とも言われるアメリカが、変化していることが面白い。

私は個人的に長いこと合気道の指導をしてきているが、昔はセルフ・ディフェンス、つまり護身術のためということが多かったが、最近ではより精神的な充足感を求めて来る人が多い。ロハスのコンセプトをまとめたポール・レイ博士、シェリー・アンダーソン博士なども、彼らの名著The Cultural Creativesの中で、ヨガ関係のビデオの販売がディズニーのライオンキングのアニメのビデオ販売を凌駕したと書き記したのがもう8年以上も前だ。

ニューヨークタイムズ紙のSHIVANI VORA記者がまとめているところでは、シンプルライフを求めて、ヒンズー教的なアシュラムや仏教的な禅寺などで、週末やより長期にわたり瞑想や禅の修行に来る人が増えていると言う。しかも、その来る人々が、これまでだったら、何らかヒンズー教、仏教、禅などの信者などが中心だったものが、最近では一般の市民の参加者が増えてきているのだそうだ。

朝4時半に起床をしたり、他の参加者と口を交わすことなく黙々と落ち葉を掃き掃除したり、地産地消の有機野菜をふんだんに使った菜食主義の食事をしたり、都会の喧噪を離れ、現代社会のリズムを断ち切る生活をすることによって、精神的な豊かさを経験する人が多くなってきていることは嬉しい。毎日ストレスが多い中で生活をしていると、生きるプライオリティが何なのか見失うことも多くなることだろう。こうやって喧噪から離れる体験は、記事では現実からの逃避とも書いているが、私はストレスに対抗する抵抗力になる気がする。

この記事は、ニューヨークタイムズの記事なので、同地域に近いアシュラムや禅瞑想場のことを書いているが、この現状はアメリカ中に広がっていると言って良い。特にボールダーは、ナロッパ仏教大学がある街でもあり、チベット仏教の一大センターでもあるシャンバラセンターの所在地としても知られるので、特にこの街の人々の中で瞑想をする人は多い。

現代社会は、大量生産方式を打ち出してきたことから、過剰消費を奨励し、その中で多くの人は、疑問を持ち始めてきたと言える。複雑怪奇な生活も、便利になった側面は喜べるとしても、ストレスが増えたのも事実。だからこそシンプルライフも求められるようになるのはおかしなことではない。ボールダーのロハス的な生活が、一つの回答を出してくれている気がする。

Wednesday, December 03, 2008

転機を迎えたアメリカのエネルギー政策

二年近くも続いたアメリカ大統領選挙運動が終わり、オバマ候補が44代目のアメリカ合衆国の大統領になることが決まった。大統領選挙戦終盤戦において発生した金融危機はアメリカ金融界だけでなく、経済界、産業界などにも大きな影響を与え、その余波は世界経済にも及び、11月の半ばに世界20各国の首脳が対策を練るためにアメリカに集うことになった。しかし、任期残すところわずかのブッシュ政権は、各国首脳と新たな新政策を打ち出すことができず、各国との協調策をとるという声明文だけで終わった観がある。実際のところ、大きな政策の変化は2009年1月20日に就任するオバマ新大統領を待つということになったと言って良い。

オバマ新政権は、アメリカの大統領就任の歴史の中でも最も難題が多く、複雑困難な政策課題を抱えた状況で大統領に就任をすることになった。ビッグスリーの自動車問題への救済策を含めたアメリカの経済金融危機は言うまでも及ばず、イラクからの撤退、国民の健康保険問題、不法移民の問題、グアンタナモの捕虜処遇の問題、そうしてエネルギー環境政策などへの緊急な取り組みが求められる難しい局面にある。

エネルギー環境については、今年の夏頃にはエネルギー価格が高騰していたものが、経済金融危機に陥ったことで世界的にエネルギー需給関係が緩和され、一時的に原油コストが大幅に下がってしまっている。従来であれば原油コストが下がっているときに、エネルギー政策に政策のフォーカスがいかないところだろうが、まさに、エネルギー価格が下がっているこのときに、経済活性化とエネルギー政策を同時に進めようとする政策が打ち出されるのではないかとの推測が強い。大統領に選出されたオバマ氏が、就任後10年以内でアメリカの中東やベネズエラからの石油依存を無くそうと大きく公約しているからだ。

ビッグスリー経の公的資金援助の是非についても今週後半に上下両院で二回目の公聴会が開かれる。前回はコーポレットジェットで議会に乗り込み公的資金援助を求めてきたものの、その経費削減に対する繊細さがない無神経さを議会やメディアに叩かれ、公的資金援助を受けるのであれば、その資金でどのような企業の再生を行なうのか具体策を出してこいという強い指摘を受けて、今回は、具体的な再生策を準備して乗り込んでくることになった。コーポレットジェットで殿様の様相でお出ましでなく、今回は3人とも揃って各社のハイブリッドでデトロイトから運転してくると言う。クライスラーにもハイブリッドがあったのかと今になって知るような話だが、60%以上の人が支援に反対と言うから米国民にここまで見放されてしまったのかと感じると、3社の首脳も低姿勢でいかざるを得なくなったのだろう。

とにかく、2008年夏のエネルギーコストの急騰と秋口から本格化したサブプライムローンの破綻にはじまる大幅な景気後退は、いつものアメリカだったらエネルギー価格が急落してしまえば、エネルギー政策が無策になるところが、今回は未だかってない米国産業構造の大幅な転換のきっかけになりそうな気配だ。ビッグスリーは、これまで、利益率の高い大型のトラック系のクルマに販売の重点を置いてきた。小型車開発やハイブリッド、電気、水素自動車の開発をやっているのだが、本腰を入れていたというよりは、必要になったときに技術を持ち合わせていれば良いというような安心感があったのだろうか。労組側も、コスト削減につながるような譲歩は行なってきたが、経営側と労組共々ことの重要性に気がつかないようだったと言えまいか。しかし、ここへ来て、一時的であったにせよ、ガソリン価格がアメリカでは未曾有のガロン当り4ドルを超えたときに、地球温暖化などで多くの人々が謳ってきた省資源の課題に急に火がついたように市場が転換してきているようだ。大型車を売って利益を上げていたビッグスリーは、知らずのうちにアメリカのクルマ市場の50%を切ってしまっており、いつの間にか多くの国民に切り捨てられていたのだ。だから、今回の公的援助の嘆願にも関わらず、国民のサポートが少なくなっているのだ。アメリカ国民のエネルギーを見る目は、ビッグスリーよりも健全だったと言えるかもしれない。

石油資源の自給度が30%を切っており、70%近くの石油を多くの反米的なところから購入している事実を見せつけられた点も大いにアメリカの国民感情を揺さぶったと言って良い。地球温暖化については、まだ、大問題にしていない人も多い中で、中東、ベネズエラ、アフリカ、ロシアなどの産油国を潤し、勝手なことをさせてはならないという気持ちを持った愛国心強いアメリカ人も多いようだ。もちろん、今回の大統領選挙の公約でもグリーンエネルギーへの転換を標榜するオバマ次期大統領の方向性に賛同をする若い人、まっとうな人も多いのは事実。それらの複雑分子が結集することになり、アメリカのエネルギー政策を転換せざるを得ない勢いを作ったと言える。

世界の人口の4−5%の国が、エネルギー消費は25%近くにも達する異常さが解決するときになるのだろうか?少なくともかけ声は大きい。それが政策的にどのように変革するのか、オバマ次期大統領のエネルギー長官や人事を見てみたい。国家安全保障、経済のブレーンなども発表されているが、今後の人事発表は大いに期待しているところ。エネルギー政策とグリーンな雇用創出が一体化して来る可能せいもあり、アメリカの今回の経済金融危機は、改革のための障害ではなく、大きな起爆剤になったと言えるのではなかろうか。

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Thursday, October 23, 2008

求められるグリーン・ニューディール政策


アメリカを震源とする世界の景気後退が、深刻化しており、1929年世界恐慌以来最悪の不況になるだろうとの見通しだ。各国の蔵相などが緊急対策をとっているが、各国政府の財政金融支援にも関わらず不安定な状況が続いている。このような不況状況になると懸念されるのは、地球温暖化対策やポスト京都議定書やグリーンに関わる施策が、景気対策や財政金融支援など取って代わられ、プライオリティを下げられるだろうと云う思惑だ。現在は、景気後退のおりでもあり、石油価格などもバーレル当り150ドルの高騰から70ドルを割るような状況でもあり、再生可能なエネルギーへの関心も薄まっていく観もある。一時ガロンあたり4ドル台に高騰したアメリカの自動車用のガソリン価格は、3ドルを割り込んでおり、省エネしようとする勢いも下がっているとの観測にもつながる。石油資源が枯渇するのではないかと云うパニックの状況でパーレル当りの価格は200ドルに到達するかもしれないという悲観的な観測から、今では70ドルを割っているだけでなく、下手をすると60ドルも割ってしまうかもしれないほどの急落ぶりだ。それが何と半年という期間の間に起こった事実なので、市場の乱高下の現実はきびしい。現状では恐れられていた、資源の問題は吹き飛んでしまったかのようだ。

果たしてどうなのだろうか?グリーンな政策も後退してしまうのだろうか?気になるところだ。だが、このような時期だからこそ、世界の経済を根幹から見直す必要もあるのではないかと思う。景気後退や不況と云う言葉が出てくる以上、その根本的な対策を真剣に考えるべきときが来たと言えまいか?


約79年前の1929年に発生した世界大恐慌の対策として出された政策は、ルーズベルト大統領のニューディール政策だった。大不況から抜け出すための政策は、国家的大型公共事業の展開だった。フーバーダムなどの建設やTVAなどの建設が行なわれたのもこの頃だ。経済を学んだ者ならよく知っている事象だ。

2008年の大不況に直面して、イギリスやアメリカの学者の中にグリーン・ニューディール政策を推奨する人が多く出始めている。このグリーン・ニューディール政策は、金曜市場の不安、長期的な石油市場の問題解決、そうして食糧をも含む環境問題の解決と云う三大問題を同時に解決しようとしている学者たちの提言なのだ。今年の半ばから、気象条件などが取り返しのつかない状況になるのに後100ヶ月しかないと云う危機意識が芽生えている。この、時限的な危機意識から人々が立ち上がり始めているのだ。特に政治家たちが、大局を見ることをせずに、個別の問題にしか目が行かないところに不満を抱き動き始めている内容のものなのだ。彼らの提言が含まれている内容は下記の通りだ:

1、再生可能なエネルギーやより広範なグリーン産業への産業構造転換のための巨大投資を行なう
2、上記によって、グリーンな雇用創出(グリーンカラー)を求める
3、金融セクターの管理を高める一方で、グリーン雇用につながる資金フローを高めようとすること
4、金融バブルの状況から、その国家的指導のエネルギーを産業、環境、農業、労働組合などを結束するような方向性に転換をすること

これまでバラバラだった、問題の対応を、より包括的な目で次世代にニーズに合った形で転換しようとする環境運動派や学者たちの提言と見て良い。ルーズベルト大統領のニューディール策も、単に雇用創出としてだけでなく発電・エネルギーや農業用灌漑などの基幹産業を大公共事業を通じて展開したものであり、アメリカの経済再興を可能にしたことが知られている。

このグリーンなニューディール策を展開するのには、もはや一地方や一国だけの問題ではなく、世界的に同時に展開をすることが求められてくるわけだが、大統領になるのが徐々に確実視されてきているオバマ大統領候補も意思表明をしてきているように、2009年になれば、消費を促すための景気対策でなく、より社会のインフラを転換するような産業投資への動きが出てくるものと予想される。まだ、具体的な処方箋は出されていないが、オバマ候補のこれまでの動きからすれば、基幹産業へのグリーン転換投資がされるのは間違いないだろう。グリーン・ニューディール策が、次期政権の中でどのような姿で現れて来るのか、これからも大いに注目をして行きたいところだ。

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Friday, August 29, 2008

オバマ民主党候補指名と米国エネルギー政策

アメリカの新エネルギー・ニューディール政策か

昨晩、デンバーで開かれていた民主党党大会が閉幕した。この民主党党大会は党の大統領候補を指名する大事なイベントであり、既にオバマ候補が事実上指名されているのは、周知の事実であるとはいえ、それを公式化するイベントだった。党大会の最後を飾ったのは、オバマ候補の指名受諾演説だったが、名演説家として知られているオバマ候補の名に恥じない素晴らしい歴史に残る演説だったと言えよう。

オバマ大統領は、19ヶ月間にわたる予備選の期間において多くの演説や方針を明らかにしてきたが、アメリカ国民の中には、具体性がないと云う批判も多かった。もちろん、上院議員を一期も勤め上げていない候補だけに、彼の実績は未知数のところも多く、大統領候補として人物評価できないと多くの国民が評していたのは事実。同じ民主党のヒラリークリントン候補と競り合っていたときも、変化を求める理想論を述べることが多く、具体策が見えないと言われていたからだ。私にとっては、オマバ候補は、施政方針は比較的によく見えていたと判断しているが、主流派でないこと、黒人マイノリティーであること、ヒラリーを蹴り落としてしまった結果ヒラリー陣営の不満を買ったことなどで、具体的な非難ができないことから、オバマ候補は未知数の人とのレッテルを貼られてしまったものと思う。

デンバーのインベスコ競技場において開催された民主党党大会において、オバマ候補は「政治的」な指名受諾演説を行なったわけだが、そこで、具体的な政策目標などをはっきりと打ち出した。もちろん、民主党党大会と云う性格もあり、まだ、政策にどのように反映して行くのかは、大統領に選出されるまではどのような施策となるのか、詳細はまだ未知数だ。しかし、オバマ候補が、テレビに釘付けになっていた国民の前で公約したことは、大きな政策指標になることだけは間違いない。オバマ候補のエネルギー政策についてのところを抜粋して翻訳を試みてみた。読者にオバマが大統領になったときの方向性をご理解いただければと思う。

「、、、そうして、わが国経済、安全保障、そうしてわが地球の未来のために、大統領になったときの目標をきちんと定めておきたい。つまり、10年で中東からの石油依存を終わらせたい。われわれは、これを実行する。」

「ワシントンはこれまで30年間にもわたり、わが国の石油依存症について話をしてきた。ジョンマッケインはその内の26年間ワシントンにいた訳だ。その間に、彼はクルマの燃費規制強化についてはノーと言ってきたし、再生可能なエネルギーへの投資にもノーと言ってきた。再生可能な燃料にもノーと言ってきた。そうして、マッケイン候補が上院議員になってから、石油の輸入量は3倍にも膨れ上がっている。」

「この石油依存症を断ち切る時が来た。われわれは、(新たな)石油掘削が単に応急処置だけであって、長期的な問題の解決策ではないことを理解しなければならない。政策として取り上げるのにはほど遠いものだ。」

「私が大統領になったのなら、天然ガス資源の活用、クリーンな石炭の技術への投資、そうして原子力エネルギーをどのように安全に使うことができるか模索する。自動車メーカーに対して、未来の燃費効率の良いクルマが、アメリカで生産されるように、設備投資のために助成をして行こうと思う。また、アメリカの消費者が、これらの新しいクルマに買い替えられるように施策を講じたい。また、次の10年間にわたり、1500億ドルの資金を経済的で再生可能なエネルギーのソース:風力、ソーラー、そうして次世代のバイオ燃料に資金投下をしたい。この投資により、新規産業が形成され、高給で、しかも、アウトソースできない新規の500万人の雇用を創出するようにしたい。」

オバマ候補のエネルギーの政策目標でわかることは、アメリカのビッグスリー、あるいは既にアメリカに来ている海外メーカーの設備切り替えに、オバマ大統領は本格的に経済的な援助を行なって行くことを示していることだ。この演説を聞いて、アメリカの石油産業はどのような反応を示して行くのだろうか。自動車メーカーも、燃費効率を高める投資でなければ、政府援助を受けられない訳であり、アメリカの自動車市場は3−5年で相当変革をすることが予想される。しかも、現在の悪い燃費のクルマを持っている人の買い替えを補助することも暗に述べていることから、現在市場にあるクルマが大いにスクラップ化され、燃費効率の高いクルマの比率が高まることは、アメリカのクルマ文化の革命と同時に、政府主体としたエネルギーの「ニューディール政策」色を感じるのは、私の勝手な想像なのだろうか。燃費効率の高いクルマへと一斉に切り替えて行くとなると、その経済的なインパクトは計り知れない。もちろん、輸入車にではなく、国内で生産しているメーカーでなければ、助成策は活用できないだろう。想像するだけでも面白い事態になりそうだ。

アメリカは、世界の総人口の4−5%くらいなのに、石油消費は25%くらいだそうだ。だから、クルマの燃費改善を強行して推進して行くことで、世界の石油消費に大きなインパクトを与えて行くことは十分に想像できる。どのような具体的な政策になるのか、大いに注目したいところだ。

いずれにしても、指名受諾演説において、サステイナブルな施策が不可欠になったのは、アメリカの方向性変化を強く物語るものだ。

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Thursday, August 21, 2008

ゴミの埋め立て地に風力発電か、ニューヨーク市

最近ディズニーとピクサー社が作ったアニメの映画「Wall-E」を見てきた。子ども向けだけでなく、大人にも評判が高いアニメであり、おおむね全ての映画評論家から4−5星をもらっている環境問題を主題とした映画だ。地球がゴミに埋もれ、生活環境に適さなくなったので、人類が宇宙へ脱出して、ソーラーエネジーで機能するゴミ処理の機械一台が、700年にもわたって人間が残して行ったゴミの処理を続けていると云う物語だ。主人公はロボットなのだが、そのおかれた社会環境をみると考えさせられることが多い。きれいとは言えないゴミ処理の問題を扱っている割には、実に可愛い映画だ。

当然人間が生活をすると何らかのゴミを排出している。人間が多く集まる都市ともなると、ゴミ処理は一般人はあまり目にしないが、大きな問題であることには違いない。チリも積もれば山となると言えば、少しは前向きな発言なのだが、ゴミの場合は、その処理が大きな問題になるのだ。どこへ捨てるか、どうやって燃やすか、どうやって運ぶかなどが大きな問題となる。もちろん、ゴミには生ゴミもあったりするのでメタンガスが発生するなど、その跡地の利用でもそう簡単ではない。環境汚染につながる産業廃棄物などもあり、ゴミ処理場の取り扱いには頭を悩ますものだと思う。

世界的な大都市は全て同じような悩みを持っている。しかも、近代化している都市であればあるほど、その問題は先鋭化してくると言える。ニューヨークのような大都会も同じような悩みを抱えてきた訳だが、ゴミの埋め立て地として使われてきたところがにわかに脚光を浴び始めている。その場所は、ニューヨーク市南西のスターテンにあるフレッシュ・キルズゴミ処理場跡地だ。このゴミ処理場は、操業をしているときは世界で最大の埋め立て地だったのだ。2200エーカー(890ヘクタール)のこの埋め立て地は、20世紀後半のニューヨーク市の主たるゴミ処理場となっていたのだ。開所されたのは1948年だが、地元住民の嘆願などもあり、2001年の3月に閉鎖された。(9/11の事件の時には、ゴミ処理のために一時的に再開された)。単に埋め立てだけでなく、山盛りもした関係で、ゴミの山は最盛期では、自由の女神より25メーとも高くなってしまったという。それ程チリも積もってしまった訳だ。

スターテン島の行政関係者は、ゴミ処理としての機能を閉鎖するように長いこと嘆願や運動をしてきたのだが、ここへ来て、その跡地に風力発電の基地を作ろうと運動し始めている。もちろん、ニューヨークのブルームベルグ市長もニューヨーク市をよりサステイナブルな都市になるように発言をしていることもあるので、スターテン島の関係者は、、跡地の再利用で、風力発電プロジェクトに熱が入ってきている。

これまで、ニューヨークの環境汚点の代表格だったフレッシュ・キルズゴミ埋め立て地がニューヨーク市にとって初めての大型風力発電所になる可能性を秘めてきている。7機の風力タービン(400フィートの大きさ)を設置すると云う計画になっており、それにより17メガワットの発電ができるだろうと見込まれている。この発電量は5000家庭の電力をまかなうのに十分なものだそうだ。この案は、十分な下調査のもとで作成をされているものらしく、スターテン島の電力需要の3%をまかなうものらしい。

スターテン島の話とは別個だが、カリフォルニア州の会社で屋根に風力タービンをつけているMarquiss Wind Power社が、風力発電の実力を見せるために、ニューヨーク市のビルの屋上に無料でデモ用に風力タービン設置の申し出を行なっている。高層ビルが建ち並ぶニューヨークの景観がどのように変わるか見物だが、実際問題、今後のビル設計などには当初から風力や雨水の取水、ソーラーなどの設計が当初から組み込まれることは当然になりそうだ。

ボールダーの風力についても、フォローして行くようにしたい。

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Friday, August 15, 2008

ロハスな合気道、世界に浸透

今日は、通常と違った内容を書くことにしたい。と云うのも、私が英訳した「合気道開祖植芝盛平伝」が講談社インターナショナルから国内発売になったからだ。世界での発売は12月1日からだと云うことで、すでに英文のアマゾンドットコムで予約受付が始まっているくらいだ。講談社インターナショナルという出版元が良いと云うだけでなく、合気道開祖の伝記が初めて英訳されて出版されているので、それに対する期待も高いのだろうと推測している。

日本で始まった合気道は既に世界中に広まっている。合気道は植芝盛平翁によって昨世紀に創立された武道だが、武道としての位置付けだけでなく、人々の思想観までに影響を持ち始め、合気道は武道を超えたライフスタイルの領域まで進んできたものと思う。言い過ぎかもしれないが、ある意味では禅の思想のようなインパクトも持ち始めている。アメリカなどではコンフリクトリゾルーション(つまり、対立・紛争状況を解決する)するための経営的手段にも使われたり、事業を展開する上で合気道的なマインドで衝突を回避しながら皆が前に進む際のビジネスモデルに合気道を導入している人もいる。だから、英文版アマゾンドットコムにキーワードとして"Aikido"を入力すると、何と4277もの書籍の案内が出てくる。もちろんその中には絶版になったものもあるが、合気道がいかに武道を超えたところまで広まってきているのか示す一つの尺度だ。

合気道には試合がない。人々が稽古をする時にお互いに切磋琢磨する訳だ。決して弱者の武道ではないのは、機動隊や逮捕術として婦警にも合気道の指導がされていることからも判ると思う。試合がないから合気道にはオリンピックの対象にもならない。しかし、ゲーム化しないでいられるために合気道が真の武道としての奥深さが残されて行くのだと思う。もちろん、ヨガやピラテスのように健康のために稽古されている方も多いだろう。しかし、欧米だけでなく、中東、アジア、中南米、アフリカなどでも日本的な礼儀も浸透してきており、稽古する相手との切磋琢磨の過程で自然に対する畏敬の念が高まる感じがする。自分だけが、あるいは勝者だけでこの世の中で生きているのではなく、他の人々あるいは自然界との共存があってできるのだという自然のことが、植芝翁の伝記を読むにつけ理解できてくる感じだ。武農一如を唱えた植芝翁の考えはきっと、多くの人々の心を癒すことだろう。日本の武道が、武闘ではない、壮大な精神文化論、社会的なヒーリング、そうして多くの人々の健康のために一つのロハス的現象として世界に広まっているのは、心から喜ばしいことだ。

訳者としての苦労話はここで書くことをしないが、私の英訳を、見事に流れるような英語に書き直してくれたMIT大学の先生であるメアリー・フューラー女史にチーム・メイトとして感謝の言葉を捧げたい。

Sunday, August 10, 2008

節電、代替エネルギーに走る米企業


自動車文化の発達は、アメリカの都市をだだっ広く押し広める効果があった。国土が広いアメリカは、一部都市部において超高層ビルがあるが、ほとんどの街の郊外のショッピングセンターと言えば、せいぜい2−3階建ての建物だが、とてつもなく広い敷地に広大な面積で建物が建てられているのが現状だ。だから、一方では、容積に対する空調などの効率は悪いが、平たい屋根面積は多く、採光を確保したり、ソーラーパネルなどを設置するのには最適だ。私も長い間、あれだけの面積を活用しない手はないなと思っていたが、ここへ来て、特に税制面での優遇策をとっている州では、急速的にソーラーパネルの設置が行なわれるようになっているらしい。

ニューヨークタイムズは、次のように報じている。この数ヶ月、ウォールマート、Kohl's, セーフウェー、ホールフーズなどが大規模なソーラーパネルを店舗の屋根に設置はじめている。この背景には、12月末日に期限切れする税制優遇策を確保すると云うことらしい。まだ、まだ、屋根にソーラーパネルを設置したチェーンストアは限られており、設置したところでも拠点数の10%にも満たない。しかし、連邦政府が、税制優遇策を再度施行したり、州政府などでも実施するところが出てくれば、ソーラーパネルの設置は急加速化してくることが予想される。

これは、税制面だけの問題ではなく、代替エネルギーを設置している姿勢を見せることによって、環境派としてのレッテルを貼ってもらうとするPR面での意義も大きいようだ。すでに、ボールダーの店舗をはじめ、多くのところでは「グリーンエネルギ店舗」のステッカーを張り出しているところも多いが、今後このペースはますます広がってくるだろう。

デパートのKohl'sは、すでに43拠点がソーラーパネル設置をしているが、今後数ヶ月でそれを85拠点まで増やそうとしている。Macy'sにしてもしかりで、現状では18拠点あり、年末までには後40拠点に設置をすると云うことだ。スーパーの大手、セーフウェーも23拠点にソーラーパネルを設置しようとしている。その他に多くのところでソーラーパネルの設置がとり行なわれるようになっている。

慎重派として知られているウォールマートは、現状では17拠点にしかソーラーパネルを設置していないが、規模の経済を欲しいままに動かせるウォールマートとしては、かなり大掛かりなことを考えているに違いない。世界で最大のリテーラーである巨人ウォールマートは、アメリカにおけるスーパーセンターやディストリビューションセンターだけでも4100カ所を誇っており、ニューヨークタイムズ紙が報じる数字によると、その屋根面積を合計するだけでもニューヨークのマンハッタン島にほぼ匹敵する面積であるというから恐ろしい。つまり23平方マイル(約60平方キロ)と云うことだ。

現在、各企業がソーラーパネルの設置のために動いていることから、ソーラーパネルの値段はかなり高いらしい。供給が需要に追いついて行けないと云うのが、現在の状態かもしれない。しかし、需要はさらに高まりそうなので、ソーラーパネルのメーカーもキャパを増やす方向で動くのは想像できるだろう。実際株式市場のアナリストは、現在のソーラー市場は昨年までの70億ドルの市場規模から2010年までには300億ドル規模に成長するだろうと見ているらしい。これを後追いするかのように、州政府は2010年までには石炭以外などの代替ソースから発電量の20%を引き出すように義務づけているし、その数字は2017年までには33%までに引き上げられるようになっている。

一つのチェーンがソーラーパネルを設置したところで、インパクトはあまり大きくないだろう。しかし、社会的な気運の盛り上がり、グリーンなイメージの必要性から、多くの企業がソーラーパネルを設置するようになると、勢いが高まるのは事実だ。そうして、その勢いいつの間にか、ソーラーパネルの生産効率とコストの低下をもたらす直接の引き金になるだろう。ポジティブスパイラルの始まりだ。しかも、一回設置したら、その後のエネルギーコストが下がってくるので、企業側の反応もさらにポジティブになってくるだろう。

ソーラーパネルだけではない。多くのチェーン店は、最近ではUSGBC (US Green Building Council)が発行するLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認定を取得するべく動き始めている。当然、認定書をもらうことは申請手続きも面倒であり、コストも高いが、それだけ系統的にエネルギーの効率化を求め始めていることを示しており、ただ、単にオペレーションコスト削減だけでなく、それを消費者や投資家にもきちんと説明できるような内容にするべく努力している証左だ。こうなると、設計、建築事務所なども省エネから、より積極的な代替エネルギーを活用するビル設計へと変化することになり、認定の意味するところは大きくなってくるのは環境のためにもとても良い結果になるだろう。ロハスは、アメリカではあまり知られていない言葉だが、その概念は着実に広まりつつある。

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Saturday, August 09, 2008

ホールフーズ、牛のひき肉を自主回収

ナチュラルやオーガニックビーフなどを取り扱うホールフーズが、病原性の大腸菌問題で、発病者が大量に発生する前に自主回収をすることに決めた。この牛肉の生産者は何と、コロラドのコールマン・ナチュラル・ビーフ社なのだが、原因は不明だが、衛生上問題が多いとされ、アメリカの食品衛生局としょっちゅう問題を起こしていたことがある食肉加工業者のNebraska Beef社経由で調達していたものであることが判り、ホールフーズが自主回収という緊急策に出たというものだ。

ネブラスカ・ビーフ社は、度々、衛生管理の問題からFDAの査察を受けるなど問題を引き起こしていたところとして知られ、今回、ホールフーズ以外のスーパー(クローガーなど)に卸していた牛肉のひき肉が、東部においてO157の大腸菌発生のために31人が発病するなどリコールが先行していたばかりだ。衛生当局は8月1日にホールフーズから牛のひき肉を買った人も7名発病したと聞いた段階で自主回収に立ち上がった。

ホールフーズは、信頼のあるコールマン・ナチュラル・ビーフ社から調達していたので安心仕切っていたのだろう。なぜ、ナチュラルとして伝統あるColeman Natural Beef社がこのようなネブラスカ・ビーフのような問題の多い食肉加工業者を使ったのだろうか?コールマン・ビーフ社がMeyer Natural Angus社に身売りされることになっていたこともあり、コールマンの体制に何か問題があったことだけは事実だ。とにかくホールフーズ社にとっても不思議な現象のようだ。コロラドのように、自然の恵みの雨があまり多くないところの牧草はあまり青々としていないだけか、最近では餌用の穀物の値段も高騰していたこともあり、ただでさえ、競争力がないナチュラル・ビーフのコストが、最近高くなっていたために、経営が苦しくなっていた可能せいもある。今後の関係者の情報をかき集めてみたいと思う。

コロラドは回収の対象となっていないようだが、いずれにしても地元の安心企業の不手際もあり、しかも、拙宅でもよく使うコールマン・ビーフなので、じっくりフォローをしてみたい。関係者ではないので全ての背景が判るようになるとは思えないが、少しだけ調べてみたいと思う。いずれにしても、大手の食肉加工業者のレベルの低さが、毎度問題にされてきている背景は何なのだろうか?このような事件が起きると、多くの食肉が処分されたりしているので経営的にも大きな打撃のはず。繰り返される背景に、何か訳があるのだろう、、、