Friday, September 29, 2006

ウォールマートが動くとき(3)

ウォールマートは慈善事業や利益を度外視してグリーン化を進めているのではない。冷徹に言えば、市場で追求をしても十分に利益をあげられることが判明をしてきていることがあげられるだろう。リサイクルを行なったり、燃費の良い車両を使うことでもかなりのコスト節減にもなることもある。二酸化炭素の削減達成率が高ければ、現在検討されている、二酸化炭素削減クレジット交換にも使え、削減を達成できていないところにもその余分クレジットを販売できるだろうと目論んでいるようだ。そのために二酸化炭素削減計画をビジネスモデルの中にも組むはじめている。

魚介類の販売についても、サステイナブルな捕獲方式の認定があるサプライヤーに限定をしているのは、乱獲をして行ったらいつしか捕獲する魚介類が減少し始めるだろうと云う純然たる経済的な意義で考えてのことだ。

ウォールマートは14ものsustainable value networksなる作業グループを設立している。この構成員には、社員だけでなく、サプライヤーと環境グループの人も交じって作業をしている。このグループは、いかにして環境に最少限に被害あるいは無被害で商品を手に入れることができるか常に検討をしている。この作業検討グループを通じて、かなりの外部のサプライヤーの下部組織までサステイナブルな行動が定着し始めている。ウォールマートでは、社内の各事業部のどこで環境に被害を与えているのかも検証をしているようだ。そうしてそれらの問題をどのように解決するかが大きな仕事にもなっていく。

日本のスーパーでは考えられないことだが、ウォールマートでは、魚介類の捕獲が乱獲、資源を枯渇させるようになるようなところから購入をしないと云うことを決めたのだそうだ。だから、ウォールマートの商流が激変していると言っても過言ではない。サステイナブル漁業の認定団体であるMarine Stewardship Councilの存在さえ知らなかったサプライヤーは今後はここの団体の認定が必須になるものとは想像もしていなかっただろう。それだけウォールマートは変貌し始めている。

果物や青果物を買うにしても、プラスチックでないビオディグーレダブルなトウモロコシベースのPLA(poly lactic acid)になっているかもしれない。

ウォールマートが展開しているグリーン化はすごい勢いになっていると言えよう。活動的にはこの紙面で語りきれないものを有している。巨人がこのように動き始めると、これまで少数の意識の高い人たちの世界だったサステーナビリティと云う問題が、広く一般に広がりつつある。グリーンウォッシュ(粉飾グリーンとでも訳すか?)と非難されることはあっても、巨人の足跡は無視できるものではないところまで来た。ボールダーでは当然と思われてきた諸策が、主流に乗り始めたと云うことだろう。アメリカのグリーン化はウォールマートの参画で大きく変貌を遂げることは間違いない。

Monday, September 25, 2006

ウォールマートが動くとき(2)

巨大ウォールマートの戦略的なグリーン化方針については、昨日述べたところ。多くの企業がグリーンな方針を打ち出すけれどもその具体策があまりはっきり打ち出されないことも多い。しかし、今回はウォールマートはグリーン施策については公約的なものを出しており、相当注目に値する。市場においてウォールマートの動きをフォローするところも多くあるはずであり、追随するであろう他のスーパーやサプライヤーのメーカーの動きも無視できない。まずウォールマートが公約しているものを列挙してみると次のようなものである:

*まずは、ガソリンの使用を大幅に削減をすること。米国最大規模の輸送トラックフリートを持っているウォールマートは、トラックのハイブリッド化を推進して、3年後には燃料使用効率を25%向上させ、10年後以内には効率改善を倍増させる目標を打ち立てている。これによるコスト節約は、当然現在値での話だが、3億1000万ドルの節約を目論んでいる。

*3−5年以内にMarine Stewardship Councilがサステイナブルと認定をする漁場で捕獲された魚介類だけに(100%)販売を限定していく。これは北米市場を対象にしたものであり、養殖されないサーモンや冷凍魚をも対象としている。世界で魚の漁場がサステインできなくなっていることに対する対応。

*世界中にある7000のウォールマート店舗におけるエネルギーの使用を30%削減をして、既存店における二酸化炭素排出量を7年間で20%削減を使用と云うもの。ウォールマートはちなみにアメリカで民間企業の中では最大のエネルギー消費企業。

*固形廃棄物を米国店舗だけで3年後には25%削減する

*省エネルギー技術のために5億ドル投下をすると発表

*ウォールマートはAuroraコロラド州とMcKinneyテキサス州において環境にやさしい店舗作りの実験を行なっている。この二つの店では、風力発電、駐車場の吸水性アスファルト(地下水に水を戻すための発想)などを含めた実験をしている。これら実験店舗の成果を踏まえ、今後4年の内に、温室効果ガス排出が30%削減される店舗を作り上げようと云う目標を立てている。

*これまで環境グループと距離を置いていたウォールマートだが、積極的に近づくことをして社内プロジェクトの一員的に環境グループと関係強化をしている。

今年の7月のClimate Change DayにAn Inconvenient Truthと云う映画を製作したアールゴア元副大統領をウォールマート本社に招き、映画の試写会を行った。映画が終わった段階で、ウォールマート社員から盛大な拍手が送られた模様。これまで、ウォールマートの真意を測りかねていた疑念懐疑派たちのひとも、ウォールマートが真剣であることを理解し始めている。

ウォールマートの案件はあまりにもインパクトが大きいので明日にさらに、何故ここまでしてこのようなグリーニング化をしているのか引き続き書いていくことにする。まだ、多くのスーパーでの具体的な反応は多くは出ていないが、ウォールマートの動きを恐怖の年を持って見ていることには間違いないはずだ。

ウォールマートが動くとき

公的か民間かを問わず全世界で180万人の従業員を有するウォールマートは世界でも最大規模の会社だ。売り上げもフォーチュンのランキングでは、世界第2位になっている巨大企業だ。自動車の生産・販売で世界ナンバーワンになろうとしているトヨタ自動車の総従業員数が6万6000人(連結企業ベースで29万人弱)だけと云うから、ウォールマートの大きさも推察されよう。日本においても、西友に資本参加するなど、市場参入を図っているところ。日本における戦略は、少し停滞をしているようだが、アメリカでは、ロハスを前面に出すように動き始めているから、今後の成果は楽しみだ。

低価格を前面に出したウォールマートの販売戦略は、多くのリテーラーを恐怖に陥れ、経営的にも揺さぶりをかけると云うことで、多くのコミュニティは、ウォールマートの押しつぶされることを恐れ、市場参入阻止をしている地域も多々とある。ボールダーもその一つの街であり、ウォールマートへの警戒感は強い。しかも今年に入り不法移民の就労などの問題でもウォールマートが標的になり、移民取り締まりの矛先がウォールマートに及んだ事件が発生をした。また、組合の組織化をガントしてはねつける企業姿勢とともに、ウォールマートの労働条件が悪いことも、知的層の人々には受け入れられない要素であるのは事実だ。

守勢に立たされたウォールマートは、企業広報活動を積極的にしていく一方、企業体質とブランドの位置づけを、徐々に変更をしてきている。最近の事例では、ノーブランドの処方薬の販売価格を極端に押し下げ企業イメージ向上に躍起だ。昨年あたりからも、ウォールマートはオーガニックの野菜果物を販売する方針を打ち出していたのも、徐々に巨大リテーラーとしては、大手のスーパーなどに先駆けて地球環境保護を打ち出してきたから他ならない。

一部の人たちは、ウォールマートのこのような動きを彼らに対する批判を牽制するための行動と読んでいるようだ。もちろん、そのようなことが幹部の考えの中にあることは言うまでもないことだろうが、牽制だろうと、PR戦術だろうと、ウォールマートが動き出す効果は計り知れなく大きい。3124億ドルの売り上げがあるウォールマートには、6万社のサプライヤーがいる。ウォールマートはそれらの企業に対してサステイナビリティを実行するように求め始めており、消費者にはグリーンな商品を買うように提案し始めている。ウォールマートは自社の排出する二酸化炭素なども公表し、全世界のオペレーションによって2080万トンの二酸化炭素を排出していることを公にした。このように企業の目がサステイナビリティに向かっていくとなると、その効果も巨大効果に跳ね上がる。短期間においてウォールマートは全世界でオーガニックコットンの最大の購買社になっただけでなく、系列のサムズクラブではフェアトレードのコーヒーを売り始めており、春先に売り始めているオーガニック野菜などは秋にはもっともっと増やす予定だ。また、無駄をなくすために、パッケージングなども小さめのものをサプライヤーに求め始めていると云う。

ウォールマートの行なおうとしている諸活動は多岐にわたっており、明日もその具体的な会社の考えについてまとめてみたい。今日はウォールマートが動き出したと云うことに止め、今後その動きに注目してどのようにアメリカは変わっていくのか見てみることにしたい。いずれにしても、ウォールマートが動くと云うことは、シンボリックな意味だけでなく、ロハスがブールドーザーで押し広げられていく効果に匹敵するものがあるだろう。意識を高めると云うことで、ロハスはエリートと云う考えを払拭してくれるだけでも、もの凄い効果と見なければならない。

Sunday, September 24, 2006

オーガニックワインの強い味方

オーガニックワインは、世界ではまだ主流になっていないが、その販売は徐々に伸びてきている。これまでのオガーニックワインが大幅に成長していなかったのは、技術や伝統のある主流ワイナリーが、どちらかと云うとまだまだ不安定な要素を含んでいるオーガニック葡萄などにどこまで依存し始めて良いのか、決めきれなかったからだと思う。しかも、ワイン愛好家にしても上級ワインでオーガニックの良いものが少ないと云うこともあり、市場全体でのインパクトも比例して少なかったと云える。

しかし、最近では、オーガニック葡萄を使い始めるワイナリーが徐々に増えるに従い、上級志向のものも増え始めているので、勢いが勢いを生んでいる好現象だ。オーガニックワインの定義自体もまだ確定をしているとことには行っていないが、市場が確実に大きくなるに従い、業界内ので調整も進んでくることになろう。

オーガニック葡萄を使うと云う点で素晴らしいことは、土壌を保護して行くと云うことで、葡萄畑の品質の向上はもとより、環境にもすばらしい影響を与えることになろう。しかし除草剤を使えないと云うことになると、人件費やコストが高くつくことになるので、オーガニック葡萄栽培業者にとっては頭痛の種だったであろう。しかも、選挙に向けて不法移民の取り締まりを強化しているアメリカでは、手間ひまのかかる作業は、不法移民のしてきた作業であるために、人手不足になりかなり危機的な状況になっていることだろう。

ロサンゼレスタイムズ紙のJerry Hirsch記者がリポートをするところでは Santa Rita Hills葡萄園農場では、雑草の処理を60センチくらいにしか成長しないBabydolls種の羊に除草作業をさせ始めていると云う。これらの羊は、除草をしてくれるだけでなく、その際に土壌に自然肥料をリサイクルしてくれることになる。コヨーテが羊を何匹かころした事例があるので、現在はコリー犬が羊の保護をしているのだそうだ。Santa Rita Hillsの農園主のPepeさんは、いずれは羊のミルクからできるチーズなども作りたいと云っていると云う。このように循環型の農業ができることは、農薬や殺虫剤を使う必要もなくなるので、地球環境に良いことは言うまでもない。

ボールダーでは、ワインの醸造をする会社はあるが、皆試してみたが、味はまだもう一つと云ったところ。もっとはやく良いワインがコロラドでもできるようになればと思っている。コロラドのワインは成長中だが、ボールダーには結構すごい会社がある。その名をOrganic Vintnersといって、元ハーブティーのセレッシャルシーズニング社や酪農のオーガニックデアリーの社長を経験したBarnet Feinblumさんが世界中のオーガニックワインを取り扱っており、ここをベースにして、欧州、南ア、南米、オーストラリア、アメリカ産などのオーガニックワインの流通の元締めをしており、自社ブランドでもオーガニックワインを持っている。ここのワインには、とても美味しいものが手頃な値段で手に入るようになっている。Barnet Feinblumさんは、彼が世界中から集めたオーガニックワインを日本などにも紹介したいと考えている。アメリカのオーガニックワイン市場が急成長をしているので、日本も早めにその勢いの中に入っておくと良いと感じたりしている。

オーガニック・ビントナーズ(Organic Vintners)

Saturday, September 23, 2006

欧米の超億万長者、政治家と環境

日本でも事業家で大成功をして超お金持ちになっているヒトはいる。しかし、まだ、欧米の金持ちとの精神的な隔たりが何かあるようだ。先日もテレビタレントのオプラのショーを見る機会があったが、そのショーにアメリカで二番目にお金持ちのバフェット氏の孫が出演をしていた。その孫は、祖父には教育費は出してもらったが、その後の財産分与は一切なく、自活するように求められていたと云う。日本のことわざに、かわいい子には旅をさせると云うものがあるが、まさにそれを実行しているような対応だった。財産分与をもらえない孫にどのような気分かとオプラは聞いていたが、孫は、祖父の行動を正当化していたものの、何となくお世辞と云う気がしてならなかった。そのように感じたのは物質的になってしまっている自分の問題か、自分の中に日本的な伝統で一家を守ろうとする習慣があるのか、このバフェット氏の行動は、正当だと思うと同時に、何となく人間としてそこまで割り切れるのかなと思った次第だ。自分の子孫を守ろうとする前に世の中の善を行なおうとしている欧米人の発想の違いを考えてしまうのだった。

今度は、ヴァージンレコードやヴァージン航空でで財を成した、リチャード・ブランソン氏が、環境慈善活動のために今後10年間に30億ドルを寄付/投下することを発表した。30億ドルと簡単に言っても想像できない数字だ。それを地球環境のために資本投下をすると云うことだ。純然たる寄付とは言っていないが、個人資産を地球温暖化をさせない新しいエネルギー源のために投資をするのだと云う。

この発表を行った催し物は元アメリカ大統領のビルクリントが行なっているClinton Global Initiativeと云う慈善活動会議の席上でだ。ニューヨークで催された会合には、多くの事業家などが出席しており、当然クリントン大統領の下で副大統領だったアルゴーア氏が出席した。アルゴーア氏は、リチャード・ブランストン氏に地球温暖化の問題を得々と説明をして、貴方がやるのでなくして誰がやるのかと説得をしたと云う。

もちろん、このような記者発表を一つの企業の宣伝のように考えることもできようが、アメリカの元大統領と元副大統領がそろって、このような活動を行うこと自体すばらしいものだと思う。日本も政権交代を行なうが、小泉首相が日本の財界のトップにこのような働きかけを行ない、慈善活動ができるようになれば良いと思う。何となく日本の風土にはない活動だが、是非とも日本企業もどんどん見習うべきなのかもしれない。ふと、超億万長者、政治家と環境の問題を考えさせられる出来事だった。タイトルリンクは、クリントのグローバルイニシアチブへリンクしている。

Wednesday, September 20, 2006

ミー・タイムを求める現代女性

先進国ハイストレス社会における母親を含む女性たちのメンタルヘルスは大きな問題だ。好むと好まざると、女性たちの於かれている社会的な環境は厳しく、社会のペースが速くなるにつけてどんどんきつい状況になっている。しかも、以前だったら、大家族制のもとで助けがそばにあったが、最近では本、雑誌やインターネットなどでの情報は氾濫をしているものの、精神的なサポートが足りないと言えるのではなかろうか。

CNNの一部であるHealth.comのEmily Yoffe記者がミー・タイムの重要性についてリポートをしている。ミー・タイムとは何だろうか?文法的にはマイ・タイムなのかもしれないが、ここで意味しているところは、狭義の私「だけ」の時間を強調していることだろう。女性の権利はここ数年で飛躍的に拡大してきていると云われるが、それでも、女性が真に男性と平等になると云う状況にはない。女性として、職場と家庭で、権利を主張し続けても、改善してきていると云っても、女性には男性にも増して負担が被されることが多い。

母性本能のなせる技か、女性はヒトのために献身的に動くことが多い。多くの人の母親を思い起こせば、その献身ぶりが分かると云うもの。しかし、世の中の要求は、社会的なプレッシャー、見栄、子供への教育の欲求、近所付き合いから多方面に厳しさを増す。そのすべてに対応をしていると、一つだけ忘れかけたものが出てくる。それは、自分だけのミー・タイムなのだ。

最近出版された「What Women Really Want」において世論調査専門家で、著者のCelinda Lake と Kellyanne Conwayは、多くの女性が彼女らにかけられる欲求に対して苦悩していることが判明した。彼女らが一番求めているものは「平穏」と「時間」だと云うことも判明している。睡眠ももっと多く取りたいともの調査結果が出ている。

The Families and Work Institute (FWI)と云う団体は、最近の女性と25年前の女性を比べて、最近の女性の方がもっと忙しくなっていると云う調査結果を発表している。そうしてどこでその時間の穴埋めを行なっているかと云うと、自分たちの貴重な時間を削り取っていると云うことだ。心臓内科医のMarianne Legato医師は、ヒトのためばかりにすることがあると、自分がすべてのことを掌握していることにはならない。何かしようとしてもいつでも邪魔ばかりされてしまうのだ。そうなると脳神経は、寝ているときでも休めないことになる。このように恒常的な疲労困憊はストレスホルモンの分泌を促し、血糖値も上昇してしまう。これが、通常の状態になってしまうと糖尿病、心臓病、記憶問題などに問題が波及していく。このように精神的ストレスがピリピリのヒトのホルモン分泌は、ウェストのまわりに脂肪を付着させる結果にもなってしまう。恐ろしいことだ。

今の社会的な枠組みがこのような女性の問題に対して反応する術を持たないことが多い。女性のストレスを解決してあげるような理解とサポート体制も少ないと思う。ロハス的にこれをどのように解決に向かわせるかと云うことだが、そこには新たな基軸でストレスを見直し、周りの人が理解を高めるとともに、女性に大いにミー・タイムを作り上げていくことが重要だろう。ロハスの聖地ボールダーの男性はどうか検証をしている訳ではないが、女性への理解は少しは多いと思う。ここの女性のミー・タイムは、全米での中でどのような位置づけか分からないが、いつか検証をするようにしたい。家内はきっとそれでも少ないと云うだろうが、、、

Tuesday, September 19, 2006

排ガス規制の声高めるアル・ゴーア氏

元大統領候補のアル・ゴーア氏のAn Incovenient Truthと云う映画のことは、これまで何回に分けてかリポートをしてきたが、ここへ来てゴーア氏の主張は一段と声を高め始めている。ニューヨークタイムズ紙が報じるところによると、同氏はニューヨーク大学のロー・スクールにおいて地球温暖化の原因となっている煙突や排気パイプからの排ガスを「即時凍結」する運動を起こすべきだとスピーチをしたようだ。ゴーア氏がこのように過激な立場を取り始めている点については、このような立場を取らない限り、選挙で選ばれた政治家たちは何にもアクションをとらないことを恐れているからだそうだ。ゴーア氏の発言は、核拡散が問題になっていた冷戦構造のときのように、ある意味では「核兵器の即時凍結」を求めるのに匹敵するような危機感を提示したいらしい。

その背景にあるのは、ブッシュ政権を始めとして多くの識者は、理論的な排ガス削減の理屈については話を多くしているが、実際は具体的な活動があまりされていなく、それらの議論が人々に何か行なわれていると云う幻想を抱かせる点で、却ってマイナスだと主張をしている。ブッシュ大統領は、排ガスを抑制して経済に打撃を与えるよりも、将来的に排ガスを全く出さない新しい産業技術に期待をかけていると云える。実際、ホワイトハウスのKristen A. Hellmer報道官は、経済に打撃を与えず、仕事を海外に移転をさせない排ガス抑制策プログラムが60も機能をしていると反論をした。議会や経済界の重鎮などもゴーアしに反発をしているようだ。

この講演会において、必ずしも新しいことではないが、ゴーア氏は源泉徴収税を止め、それに代って二酸化炭素排出を含む公害税を取るようにするべきだとの主張を繰り返した。そうして、ブッシュ大統領が、署名を拒否した京都議定書を調印するようにも求めた。

ゴーア氏のこの講演会は、今週から予定されているいくつかの地球温暖化のイベントに先駆けたシュプレヒコールのような感じだが、多少過激な発言とも受け取れるものを講演した背景が他にもあるだろうと推測される。11月の中間選挙を前に地球温暖化の危機と云う問題で、ブッシュ大統領の反論を出させ、共和党政権の無策ぶりをあぶり出していく戦略ともとれる。いずれにしても、2004年の大統領選挙のときは、環境問題は、テロやその他の保守派の課題に押しつぶされた経緯があり、それを許すまいとの動きだろう。

巨大州カリフォルニアやボールダーのような小さな行政単位での温暖化に反対する動きと、連邦のとろうとしている政策の乖離が、今回11月の選挙でどのようなインパクトを与えるのかが見物だ。

Sunday, September 17, 2006

サン•フラワーマーケットの動向


ボールダーのスーパーマーケットについては、これまでも何回かリポートをしてきた。そうして変化が激しいジャンルなので今後もリポートを続けたいと思っている。その中で、特出してリポートの矛先を向けたい一つの企業はSunflower Farmers Marketだ。この会社を創設したのは、ボールダーのオーガニックスーパーのWildOatsを設立したMike Gilliland氏に他ならない。なぜ注目をするかと云うとワイルドオーツ社を年間売り上げ10億ドルにしてから、会社を売却してしまっていたものが、2002年にSun Flower Marketsを設立して、4年あまりで規模を11店舗、年間売り上げを1億2000万ドルの売り上げを見込む(2006年)無視できない存在になりボールダーに戻ってくることを表明しているからだ。このサンフラワーマーケットが開店する場所は、アラパホー通りとフォルサムと28番が交差する市の中心部になり、近くにはホールフーズ、新たなワイルドオーツの旗艦店などところ狭しと並んでいる地域だからだ。どのスーパーも負けられない覚悟で規模拡大を狙っているところであり、よほどの差別化要因を打ち立てないと、それぞれの併存が難しいと見られているからだ。

新規店舗は25000平方フィートの床面積と云うことで、ワイルドオーツの旗艦店やホールフーズには劣ることになるが、そこの商売戦略がどこになるのかボールダーのマスコミが注目をしているところ。Gilliland氏は、以前のワイルドオーツ時代の仲間を引き連れてきているし、これまでワイルドオーツがウォールストリートの期待を受けてやりたくない拡販戦略をとらざるを得なかったことで本来自らやりたいと思っていた戦略を邪魔されたと思っているGilliland氏の巻き返し戦略ともとれ、面白い状況が想定される。

今回のBoulder County and Business Report誌の取材を受けて、サンフラワーマーケットが何を狙っているのかが徐々に明らかになってきている。これまでは自分たちのニッチは何なのかを実験してきたと云うが、やっとどのようにしてボールダーに乗り込むことができるのか分かってきたので成長戦略を打ち出すことになったと云う。

サンフラワーマーケットが競合しているのは、ホールフーズやワイルドオーツだけでなく、コンベンショナルなセーフウェーやキングスーパースーパーマーケットであり、ボールダーでは直接競合はしていないがウォールマートも競合相手と見なしている。ウォールマートを敵に回すと云うことになるとかなりの覚悟をしていると見ざるを得ない。新聞広告や店内広告のメッセージは:"Serious food, silly prices," そうして "Better-than-supermarket-quality at better-than-supermarket prices."明らかに価格と品質に重点を置く政策になってきている。店内の什器や飾り付けなどはホールフーズやワイルドオーツとはほど遠い質素なもの。店内には喫茶店などもない。サンフラワーが重点施策にしているのはシンプリシティーだ。ゴタゴタしたものにカネをかけない。

ここの給与体系も珍しい。店舗の純利益の5%は店舗のトップに回ることになっている。その次の10%はアシスタントマネジャー以上の人々で分けられる仕組みになっている。当然幹部の意気込みが断然違う。オーガニック、コンベンショナルの比率も20:80においていると云う。しかも、中間業者を使わずに直接生産者からバルクで買っているだけでなく、支払いサイトは即金だそうだ。もちろん生産者の受けも良く、好条件を出してくれることになり、中間を省いていることから、最近競合相手との青果物や肉類などの価格比較をしたところ、ワイルドオーツよりも32%、ホールフーズよりも28%、しかも価格の王者のウォールマートよりも5%も低かったと豪語している。

オーガニックの割合なども、思ったより少なかったが店舗戦略が明らかになりにつけ、この商法はボールダーで相当受け入れられるだろうと云う気になった。それにしても、ワイルドオーツを巨大企業に押し上げ、その後もう一度ゼロから出発して戦略を立て始めているその実力と執念には驚くべきものがある。ボールダーでは大いに期待をしたいところ。今後もその他のスーパーの動きに合わせて報告するようにしよう。

Friday, September 15, 2006

果敢な省エネ政策をとるカリフォルニア



今日はNew York Times紙のFelicity Barrineger記者のカリフォルニア省エネリポートをご紹介しよう。カリフォルニアのことなのに、ニューヨークタイムズ紙が力を入れて、紹介していることに注目してみたい。アメリカの各州のエネルギ動向などのチャートもふんだんにあるので、関心のある方は是非参考にしていただきたい。

アメリカは合衆国であり連邦政府を持っているのに対して、最大州とはいえ、カリフォルニアは非常に環境に前向きな姿勢を見せてきた州である。しかも、カリフォルニア州だけの成果に止まらず、全米あるいは、世界にもインパクトを与えるような施策をとってきた。その一つの例が、70年代に自動車の排ガス規制を強化させるきっかけとなった触媒などの導入などがあげられる。

カリフォルニアがこのように地球温暖化阻止に力を入れているのには訳がある。もちろん、加州を一つの国だと想定すると、二酸化炭素排出にレベルでは、世界で12位の国なってしまうことだ。しかも、現在の加州の二酸化炭素の排出量だけで見ても全世界の2.5%も排出していることになる。地球の温暖化の直接の被害も受けている。つまり、今年の夏のヒートウェーブで140人もの人がヒートで死んだと云う。この傾向がどんどん増えていけば、2100年には今の5倍以上の人が死ぬだろうとの予測もある。

カリフォルニアは多方面で、省エネ関係の施策をとり始めている。今までは、洗濯機、冷蔵庫、クーラーなどの家庭電化製品の省エネを指導してきたが、最近で細かいところでは、コンピューターや携帯電話の充電器、ひいてやテレビなどのリモートなどについても節電対策を求め始めている。しかも、この記事の冒頭にでているのは、確かに一人当たりでの電力消費は30年間ほぼ同じ水準と言う立派な実行力を見せているのにも関わらず、人口増大のために電力需要増加があるのも事実であるが、安易に電力会社が脅かしをかけても電力を簡単に購入するつもりがないことを表明している。もちろん、このことによりビジネス業界の中には、カリフォルニアの公共料金が引き上がるだろうとの予測を建て、それが他州からの企業直接投資に悪い影響を及ぼすだろうと脅かしをかけている。

カリフォルニアは2012年からはすべての新築の家はソーラーパネル発電を法制化するなど、着実に地球温暖化を抑制する方向性を打ち出している。一部の学者などは、この省エネ対策を押し広めることよって、代替エネルギ関連のコストは引き下がり、新たな産業が生まれてくるだろうと見ているようだ。こうなってくると、カリフォルニアでの実験が全米へ着実に伝播をしていくことになろう。もはや連邦政府の新たな政策を待つことなく、カリフォルニアのリーダーシップで、アメリカの省エネ活動は広まっていくことだろう。

この記事ではModestoのトヨタ社のディーラーの話が紹介されている。昨年は毎月260台くらいのクルマを販売していたようだが、今年は月販400台に上がっていると云う。しかも、下取りに持ってこられるクルマは、この記事の場合はフォードのSUVだったりすると云う。下取りに出されたフォード車はかなりの値引きをしても中古車でさばけなくなっていると云う。カリフォルニアは、全米でのプリウスの販売の4分の1を占めているとのことであり、省エネについては先端的なカリフォルニア州に大いに注目をしていきたい。

コロラド州の知事選挙は今年の11月に行なわれるが、民主党候補は省エネの施策を打ち出している。ボールダー市が小型車促進の市政策を打ち出そうとしているところでもあり、この辺りのことを引き続き探っていくことにしよう。ロハスのライフスタイルは、物質的なものの考え方を促してくれる。地球環境を守りながら生活するための、要件とは何なのか、最近の議論は大いに考えさせられるものがある。

Wednesday, September 13, 2006

骨皮筋だけのモデルさんは、モデル業御法度


ファッション・モデルはいつ頃からあのように痩せてきたのか分からないが、60年代のTwiggyが始まりだったのだろうか?ファッションには詳しくないので、そこまでコメントをするともりもないが、この2ー30年は痩せ形でないとモデルとしては売れない傾向が強まったことは確かだ。ファッションモデルではないが、ダイアナ妃などに見られるように身体のラインを守ると云うことでanorexia(拒食症)になった事例に始まり、最近のハリウッドのセレブたちも骨皮筋だけの体型になってきていると言えよう。

肥満が増えている中で、痩せていること自体問題ではないのだろうが、不健康な痩せ方になってくると、そうしてこのように若い人のあこがれの対象になるようなことになると、病的なほど痩せているモデルをそのまま放置しておけないと云う運動がヨーロッパで始まった。Reuters通信社のニュースをCNNが報道している。この報道ではマドリッド市政庁が、トップモデルが病的に痩せていることは、マドリッドの若い女性の価値基準を間違ったものにしてしまうと云う理由で、体重がある一定以下のトップモデルを出演禁止する処置にでると発表。しかも、市の衛生関係担当者の人がショーの開催日にモデルの肥満度検査をすることになったと云うことでモデルエージェンシーなどが大きく反発をしている。モデルの検査をする基準は、Body Masss Index つまり体格指数、肥満度指数◆体重(kg)÷(身長(m)の2乗)を使うのだそうだ。20から24が標準的とされる。果たしてこのモデルたちはどのようなレベルなのだろうか?

モデルエージェンシーは、これは人を体格係数で差別することだと云うことで、デザイナーの自由やモデルの自由を束縛するものだと云うが、マドリッドの市政庁は、あくまで若年者への悪影響と云う点を楯にガンと引かない。これを受けて、ファッションの大中心であるミラノの市長も同様の処置をとると云うことを表明しており、この問題はどのように行くのか面白くなりそうだ。トップエージェンシーとしても、稼ぎ頭の女性たちが規制されたらアガッタリなので困っていることだろう。でも、どうも市政庁の動きをサポートする人たちも多いようだ。

現実離れをした体型の人がモデルをすると云うことで、それを見る若い女性はどうしてもそのような体型に憧れ、食は乱れたりするのだろう。ファッション雑誌などを見ていると確かに病的な人が多く写っていることは事実であり、それがファッションなのかと見ていたが、やはり、社会的にも影響力の大きなトップモデルの身体の形状が、多くの若年層にネガティブな影響を与えていると云うことで、見過ごすことはできないとの判断になったものと思う。

果たしてこのようなことを市政庁が決めるべきかどうか分からないが、ファッション業界が自らの健康基準を作らずにいることに、社会が反発し始めたと云うのも理解できないでもない。若い女の子の親たちも喜んでいることだろう。でも、ファッション界はマドリッドだけではないので、全世界が対象なので、この影響がどこまで及ぶものなのか見てみたい。

ボールダーにも痩せた女性は見ることは多いが、とても健康的なイメージの方が先に立つ気がする。夜中過ぎに出歩けば事情は違うかもしれない。しかし、何と言っても拒食症が、肥満と並んで問題になっていることが今回の大きな動きに発展している。ロハス的な美形と云うものはどのような定義なのだろうか?ちょっと検討をしてみたくなった。

Tuesday, September 12, 2006

格差あるアメリカの寿命(八つのアメリカ)


アメリカは大きな大陸だ。そうしてそこに住む人たちも多種多様だ。人種のるつぼと云われたり、るつぼではなくサラダボウルのように違ったものが寄せ集まった国とも表現されている。軍事大国であり、月に人を送り出せるような技術を持っている経済技術大国だ。多くのノーベル賞科学者を出す研究大国だ。しかも先進国の中ではただ一国人口的にも増大をしている国だ。人口増大の大きな原因が移民の増大と云うことも含んでいるが、それにしてもこの国の魅力は、衰えることを知らないらしい。

あまりにも大きいこの国の実態を見ていくと、アメリカとはモザイク模様のような格差のある国だと云うことが分かってくる。ハーバード大学を中心とした7人の学者が、アメリカの諸々の人口、出身人種、所得、居住地域の人口密度、殺人ケースや寿命統計などから、アメリカを特性のあるグループに分類をしてみたとき、アメリカは八つの特異なグループに分けられることが判明したと云う。その八つのグループとは、アジア人、北部低所得農村部白人、ミドル・アメリカ、アパラチア・ミシシッピー渓谷低所得者白人、西部ネイティブアメリカン、黒人ミドルアメリカ、低所得者南部農村部黒人、ハイリスク都市部黒人などがそのようになっているようだ。

長い間にわたって、アメリカの人種間においては寿命には大きな格差があるだろうと云うことが云われていたので、今回の検証は、地域、所得、人種、犯罪などの特性によって格差が厳然としてあると云うことが証明された。もちろん、健康の不均衡がタバコ、アルコール、や肥満などでどのように差が出てきているか迄は調べられていない。もちろん、きちんとした医療設備やスタッフの有無と云うことも、どのような差につながるのかも分かっていないのが現実だ。

格差の事例として、2001年のデーターとしては、ハイリスク都市部黒人とアジア人女性を比べてみると平均寿命は何と21年もの違いがあった。ネイティブアメリカンや黒人などの平均寿命が極めて低いことが判明したのは、社会的弱者の問題を浮き彫りにした事例と云っても良い。その他、アジア人の寿命が高いことは、理由までは述べていないが、教育レベルなどの原因なども考えられよう。

以前も書いたが、ナチュラルフーズのホールフーズスーパーが店舗拠点を検討をする時に、プライオリティ付けをするのはそれらカウンティーの教育水準を見ていくのだと云う。つまり教育水準が高ければ、所得も高く、健康意識や環境意識についてレベルが進んでいるとの判断があるものだと思う。地図を見ていただくと、コロラド地域の平均寿命は相当高い。今回は細かい数字は検証していないが当然ボールダーのようなロハス的な地域は、健康指数や寿命などでもダントツに良いのだろう。

格差の数字がでてきたのは良いとしても、それを是正するような、施策がとられることを願っている。このような寿命研究はマーケティングなどでも大きな意味を持っているのであり、民間企業は大いに利用をするべきだが、政府としては格差が広がらないように何らかの対策も必要としているだろう。

Sunday, September 10, 2006

ファースト・フードからファースト・シャワー

今日はロサンゼレスタイムズ紙のKimi Yoshino記者がリポートをするあまりロハスでない話題を一つ。ヨシノ記者は、面白い傾向に注目してリポートをしてくれている。内容は、アメリカの高級ホテルが改装をする際に、浴槽のあるバスからより高級なシャワーだけに絞ったバスルームに転換をしていると云う。アメリカのホテル宿泊客が、浴槽につかって「風呂」に入るのではなく、より速い時間でシャワーで済ましてしまっていると云う傾向が強くなっているからだと云う。

その理由の最大手は、もちろんバスタブにお湯がたまる時間さえ惜しいのだろう。速く簡便に済ませたい気持ちからシャワーになっているのが事実のようだ。ただし、その他の理由としては、バスタブをどのように掃除したのかも分からなく、他人と共有する空間では、バスタブに入りたくないと云う衛生的な側面の理由もあるようだ。記事には書いていないがホテル側にしたって、バスタブの掃除は時間がかかりコスト高になっていると云う理由も考えられよう。

この写真は、LATの写真(Glenn Koenig撮影)だがビバリーヒルズのヒルトンホテルのシャワーのようだ。写真に写っているのはHilton President Matthew Hart氏。高級ビジネスホテルでのバスタブの利用が減っている一方で、ヒーリングの里のようなところの湯船につかった安らぎを得ているところもある。そちらはロハス的であり、今後もリポートをするつもりでいるが、シャワーだけで済ましてしまう点には少し寂しい気がする。

ファーストフードと同じであり、時間を節約するために短時間で何でもかんでも済ましてしまうやり方には抵抗を感じる。この時間に迫られて生活しているところがあるからこそ、アメリカのロハスニーズも高まったと云えるのだろうか?どうもそのような感じがしてならない。このシャワーはKohler社の上級シャワーユニットだが、もうこうなると、シャワーで身体をきれいにすると云うことを超えてしまい、滝にうたれて修行をする行者のようなものだ。The BodySpa eight-jet towerはヒーリングやマッサージをするためのような機能も付け加わっていると思う。資源とカネをかけないでやれるやり方があれば最高だろう。日本的なお風呂の入り方のように、風呂桶の水を取り替えないで水資源を大事にしていく姿勢は今後重要になろう。ロハスのメッカであるボールダーで日本的なお風呂屋さんあるいはソーラーエナジーなどで温泉事業を展開したら、すごい繁盛をすると思うのだが誰かやりたい人はいないだろうか?それだったらお手伝いは喜んでするつもりはある。

Saturday, September 09, 2006

変わるアメリカのクルマ文化



70年代の2回のオイルショック後、一時アメリカは小型車開発に力を入れた時期があった。80年代の半ば頃にキャディラックの出来の悪いシマロンなどの小型車などを出したときがそのころだ。その当時の日本やアジア中心国からの競争で、アメリカは相当苦労していた時代だ。議会はいろいろな反日規制法案をちらつかせながら、日本に政治的に圧力をかけ、日本のメーカーの対米進出を促す結果となった。アメリカは日本の鉄鋼、テレビ、半導体、クルマなどで相当叩かれ、日本のバブル絶好調のときだ。日本の企業のアメリカ企業を買収したりしたのもこのころだった。しかし、日本のバブルがはじけ、アメリカ自身の経済再生が行なわれた段階では、今度はアメリカが、長期間にわたって経済的に潤い始めるようになる。アメリカの小型車開発は徐々に姿を消し、海外メーカーのOEMで済ませるようになってしまい、自らは大型、多目的、安全、居住空間、(ごく最近までは)7人乗りと云う大型車全盛を思わせる時代が到来をした。小型車は売れなくとも利益率の高い大型車が売れていたために、アメリカは下からの攻撃に注意を向けなくなり、油断をした。

しかし、日本が一時的に経済的に停滞し、潜んでいる間でも、日本に変わる世界の工場として中国などが出現をした。また、これまでは経済的にテークオフできないでいたインドなどもソフトウェアやシステムと云う点から力をつけ始め、無視できない経済大国になってきている。その経済力は、当然消費市場としても大きな力をつけ始め、世界の石油需給動向でさえ大きく変わってきた。これまで、どの先進国の中で最も相対的に安いエネルギーコストを享受してきたアメリカは、省エネを怠り、世界人口の5%が、世界の二酸化炭素排出の25%と云うアンバランスを生み出す結果となった。これを急激に変えることはライフスタイルを大きく変えざるを得ず、アメリカのエネルギインフラの変更苦悩は始まっている。

アメリカのビッグ3は、高ガソリン価格により、はじめて自らの消費浪費姿勢の見直しを迫られている。高利益率の大型車重視政策が突然に売れなくなり、昨年は工場稼働率維持のためにビッグ3は、従業員価格で売ると云うすごい値引き作戦で市場回復などを達成して乗り切ろうとしたが、結果的には大変な経営負担になってしまい、今は身動きとれない感じだ。今秋にブッシュ大統領がデトロイトに赴いたのにも関わらず、フォード会長に面談せずに、面談は11月の中間選挙後に延期と云うことで逃げられてしまった。ブッシュ大統領がデトロイトに行ったにもかかわらず、GMのワゴナー会長にも面談せず、フォード会長をも避けたことの意味は大きい。

これに前後して、トヨタ自動車がミシガン州のアンアーバー南に追加的な研究施設投資を行なうと発表している。トヨタ自動車も、最量販車のカムリにも2007モデルからハイブリッド投入。本田技研は、この春に近々に6番目の北米での工場を建設する旨発表している。その工場は、ハイブリッド専用工場になることが見込まれているようだ。


フォードやGMはエタノール車の大幅導入、新規ハイブリッドの投入、そうして、消費者を引き戻すためにクルマの保証期間を延長する方針を打ち出したところ。フォードは以前に買収していた欧州の高級ブランドを手放す噂も流れるなど、体制を回復するのに躍起だ。フォード会長はCEO職を、ボーイング社からスカウトしてきた人に移譲している。

報道によると、メキシコ湾岸に新規に油田が発見され、その確認埋蔵量だけ見ても、現行のアメリカの石油埋蔵量を50%近く引き上げるものだと云う。しかし、この油田が開発され、石油が掘削され始めるのはまだまだ先のことであり、その間に、中国、インド、東ヨーロッパなどの自動車市場の発展で石油事情がさらに逼迫することも予想されよう。アメリカの自動車メーカーは、資金も厳しくなり、商品群的に市場が求めるものを十分に持っていないこと、中古車価格維持を怠ってきたことから、急激に売り上げを高めることは考えにくい。かなり辛いところにあるのだ。


日本の自動車メーカーあるいは韓国自動車メーカーの躍進により、前と比べて大きく変わった点は、燃費と云う基準がクルマを見る上で重要な指標になってきていることだ。クルマに頼るライフスタイルそのものが、ガソリンの高価格が定着していくだろうと云う考えと、地球温暖化などが是正されなければいけないと云うグリーンの勢いが増してきていると思えてならない。大型車に乗っている人は、ガソリンスタンドで、今までは成功した富の証のように思っていたクルマだったものが、ガス・ガズラーの象徴と見られ、気まずい思いをしていることだろう。最も一部の金持ちは、そんなことを意識していないだろうが、社会の勢いとしては、何が善で何が悪かの判断の尺度は少しずつ変わってきていると思えてならない。ボールダーにおいて小型車推進プログラムが検討されていることをすでに書いた。このロハスの街がどのようなアクションを続けて出してくるかは今後の楽しみの一つだ。他のアメリカの街に比べてロハス度が高いだけに、面白い変化になることだけは違いないだろう。

Thursday, September 07, 2006

アスリートのためのカロリー・スキャナー


昨日は栄養指数を星の数で表示するスーパーの話を書いた。これは分かりやすく可愛いと思った。今日は、ボールダーの会社でTraining Peaks LLCと云う会社をご紹介したい。もちろん対象マーケットは、まだ一般の消費者ではないので、このデーターの表示の仕方があまりにも過激なので自分としてはついていけないもの。しかし、行なおうとしている仕組みは、他のアプリケーションは大いに伸びていくだろう。



Training Peaksのソフトがすることと云えば、吸収した栄養とトレーニングのデーターを合体させ、より統合的なトレーニングを実行するのに役立てようとするもの。もちろん耐久レースのアスリートやコーチにとってはどのようなトレーニングをするかと云うことだけでなく、栄養とトレーニングの分析を行なうことが不可欠になる。

ボールダーに住む4人の耐久レースのアスリートは自分たちのトレーニングをするにあたって、十分にトレーニングの記録と栄養などの記録分析システムがなくて困っていた。そのために1999年に力を合わせてTraining Peaks LLC社を打ち上げた。これによってランナー、サイクリスト、マウンテン売価ー、トライアスロンアスリートなどが更なるパーフォーマンスを達成するべくモニターしたり、計測したり、分析したりする仕組みを作り上げた。

会社を創業した4人は Joe Friel, Dirk Friel, Gear Fisher および Donavon Guyotだが、すべてホームオフィスから仕事をしている。驚くことに、彼らが販売するソフト料金は、月額19.95ドルから年額119ドルまである。現在のアカウント数は5万件を超え実際の訓練ログは1100万件を超えていると云う。これだけの記録が集まってくると、耐久アスリートの運動生理学のデーターとしては世界でも最大級のものになってくる。このデーターは Garmin, Polar と Timexなどのハードウェアーと共有できる。

同社が導入した新事業と云うのがCalorie Scannerであり、写真にも見られるように、キーチェーンにでもつけて持ち歩くことができて、500,000 UPCバーコードを認識するだけでなく、ブランド食品のバーコード50,000件を認識すると云う。今秋からNutri Peaksという新しいオンライン事業となる。この事業は栄養士と患者が共同で使う仕組みに仕立て上がっていくだろうとみられている。ダイエットと云う新規分野の事業開拓が可能になる訳だ。

もちろん加工食品のバーコードを読み込んで、ダイエットもできるだろうが、このように最先端を行く技術を使い、耐久力を引き上げる努力したり、ダイエットをしたりする点については、ロハスの観点から何か抵抗を感じる。糖尿などの病気の人が、体重を減らす努力をしている時には当然あってしかるべきシステムかも知れないが、何となく科学の行き過ぎを感じてしまう。ただ、技術が進むことによって、従来は一部の最先端にいる人のためのものだったのが、技術の改良と一般化によって、普通の人も使えるようになるかも知れない。自転車ロードレースのツール・ド・フランスのように、あまりにも過激になり過ぎるのは、人間の性なのだろうか?自分の人生ステージが円熟したからかも知れないが、味気ない感じがする。

Wednesday, September 06, 2006

栄養指数の表示で頑張るスーパー



スーパーへ買い物に行くといくらショッピングリストを持っていったとしても、ついつい要らないモノまで買ってしまう。スーパーは消費社行動を研究し尽くし商品などを売りやすいように動かしては、また動かしていく。スーパーとしてはもっと余計に売るための行動なのだ。棚での陳列は、まさに一つのたゆまぬ消費行動研究の成果だ。

AP通信のCandice Choiがニューイングランド一帯に商権を展開しているHannaford Bros. Co.の面白い販売の実態を報道している。AP通信社伝なので多くの新聞に掲載されていると思うので、出所だけ明らかにしておこう。Hannaford社は、東海岸を中心に約150店舗の店を展開しているスーパーのグループ。同社は、より大きな小売店チェーンのDelhaize America傘下の一員だそうだ。



Hannafordスーパーは、商品の購入の際に迷ってしまう消費者を助けるために、栄養価指数をベースに食品の値段タグに星印をつけてどれがより健康的なのかという簡単に判別できる仕組みを作り上げている。食品のデーターについては、ラベルについているそれぞれのデーターを使って身体に良いものを評価してくれている。星数が多ければ、さらに健康的だというシステムだ。消費者はこれで、二つの似たような商品を手にしたとき、多分星数で品物を選ぶような仕組みになっていくことだろう。Hannaford社が独自に行なっている、ランキングについて買い物客に訊いたところ8割の人が参考にしていると云う。

ただ、ここでは、カロリー数を加味した計算をするのでなく、食品の構成要素を吟味した上でビタミン、ミネラル、食物繊維、全粒粉などはプラス要因、トランス脂肪、飽和脂肪、コレステロール、追加的ナトリウーム、追加的砂糖などはマイナス要因と判断され、それによってスターの数が決まるという訳だ。すばらしいと思うのは、Hannaford社には著名な科学者を顧問として雇い、いろいろとアドバイスを得ていると云うことだ。このようにきちんと理論構築できていると云うことで、消費者も安心をして買い物ができるだろう。

このようなガイド的な仕組みは、これまでも一部の上級スーパーではあったようだ。しかし、この方向は次第に勢いをつけ始めており、アメリカの Food Marketing Instituteの最新のアンケート調査によると、スーパー全体の中で2004年の67%から2005年には72%のところが何らかの指数を使うようになったようだ。ただ、Hannaford社のように体系的なものはまだ数が少ないだろう。

Texas州のUnited Supermarketsにおいては心臓機能に良い食品を赤札で表示し、糖尿病に良いものは紫色のタグを使って識別をしているようだ。

これまでの加工食品の販売は、テレビなどの大量マス広告で販売を上げるような手もあっただろう。しかし、有機食品や健康食品が氾濫をしてくると競争にさらされている小売りの次元でもこのように消費者側にたって行動を起こし始めている。ボールダーなどはまさにこの点で、最も健康指標ベースの競争が激化しているところであり、引き続きリポートをしてみたい。

老年性認知正予防にジュースを飲もう


日本では果物全体の価格は相対的に高いが、その果物をいっぱい食べたり、ジュースにして飲んだりすると老年性認知症になりにくいと云う研究成果が、Nashville, TennにあるVanderbilt University Medical CenterのDr. Qi Dai によって発表された。認知症をなくすことはできないとしても、発病時期を遅らせることができると云うすばらしい研究成果だ。つまり、搾り立てのジュースを週に3回くらい飲むだけで、認知症になりにくいという訳だから、きちんと実践するべきだろう。

カナダの統計によると65歳の人口の10%ほどのヒトが認知症にかかっていると云う。この病気では、徐々に記憶が消失していき、行動が変化し出し、認知症に至ると云うもの。これによって人々の理解力、思考力、記憶力と意思疎通力が無くなっていく重大な病気だ。
糖尿のときと同じように、認知症により酸素ラジカルが多く発生をするようになり、新陳代謝の家庭で作られた多くの化合品を台無しにすることが多い。

最近、カリフォルニアの研究者たちは認知症は老化現象の一つだという結論を見出している。つまり、脳の活性酸素という毒を清浄する能力が衰えてくるのだと云う。これを防止するのは、anti-oxidants酸化防止剤などを利用することが必要なのだそうだ。

Qi Dai 教授の研究は、日本人とアメリカに居る日系アメリカ人の比較対象を行なったようだ。こうすることによって、食事やライフスタイルの違いから、発病の要因を浮かび上がらせることができるからだ。ジュースを毎週3杯以上飲むヒトたちと、いっぱいしか飲まないヒトの発病率の差は76%も低かったと云う。そのためにフルーツや野菜のジュースが極めて重要な鍵を握っていると想定されている訳だ。ビタミンをとったからという違いはあまり大きくないらしい。

ロハスと云う観点で言えば、生活の差、生き甲斐、教育のバックグランド、ストレス、高年齢になったときの脳機能の使う環境、家族との接点の違いなど、必ずしも、ジュースだけの違いでそうなっているとは思えないところもある。しかしながら、もし、にたような環境のヒトの中での差が出てくるのであれば、果物や野菜のジュースは飲むべきだろう。英語で言うところのto err on the safer sideつまり、間違うのであれば、安全な方に賭けをすると云うことになろうか。

人々の平均寿命が高まっている中で、ただ生きているというだけでは困りものだ。ロハス的な生活をするためにはジュースの他に多くの自然とのかかわり合いを持つことで、健康に生きることが重要なのだ。そんな気がしてならない。アメリカのジュースの方が安いのに、なぜ日本の方が認知症発症が低いことになるのだろう?この辺りも良く事情を調べ、団塊の世代のわれわれが、長いこと元気でいられるように是非とも努力したい。

Monday, September 04, 2006

化粧品は本当に安全?



女性は美しくなりたいと考えたのは太古の昔からのようだ。そのために、化粧品の産業は、かなり歴史は古い。ここで化粧品の定義をしようとするものでないが、この化粧品の安全についてイギリスの団体が警告書を出してきた。この団体は、イギリスのナチュラル化粧品のメーカーと問題意識が高い消費者が集まって出来た団体らしい。ナチュラル化粧品を作っている企業の団体なので、それなりにロハス意識の高い団体なのだろう。

ここの事例はイギリスを中心にした警告なので日本の事情とは違うものかも知れないが、いずれにしても警告している内容は知っておいても損はないので概要を説明しよう。つまり、イギリスでは一般的に女性は12種類の化粧品やトイレタリーを使うのだそうだ。そのことにより、175種類もの化学品を身体に塗りたくっていることになると云う。しかし、これらの化学品は必ずしも、身体に良いとは限らないのだ。モノによっては、発がん性、ホルモン問題や肌の炎症を来すものがあると云う。

この団体によればパラベンと呼ばれる保存料は、モイスチュライザーやボディークリームに使われるのだが、乳がんや肌の炎症と関係があると云っている。シャンプーなどに含まれているラウリル硫酸{りゅうさん}ナトリウム(sodium lauryl sulphate)とラウレス硫酸{りゅうさん}ナトリウム(sodium laureth sulphate)は、泡立ちを良くするために使われるのだが、肌を刺激し過ぎるものと云う。そうして消毒のために使われているホルムアルデヒドは、シャンプーやハンドワッシュのためのもののようだが、肌荒れにつながっているようだが、もっとひどいことに頭痛や喘息にも関連していると云う。

個人的経験だが、アメリカからナチュラル化粧品やトイレタリーを輸出しようとしたことがある。その時に直面したのは、多くの化粧品の規制だった。もちろんすべて消費者保護を謳ったものだが、既存の化粧品メーカーの権益を保護しようとする意図があるような動きだった。アメリカでは嫌がられている動物実験を高額のお金をかけて検査させると云うのも輸入の邪魔をしているように思う。アメリカやヨーロッパに一般的な化粧品やトイレタリーが日本で少ないのは、何か裏で問題がある気がしてならない。化粧品は、値段が高いから良いとは限らない。しかし、化粧品やトイレタリーメーカーは多くの広告投資を行ない、商品を買うように促していく。大企業でないとなかなか市場に進出できないような仕組みができ上がっている。コロラドの小さな企業では日本になかなか入れないのはさびしい。

ボールダーやコロラドには多くの自然系の化粧品メーカーが多く誕生をする。もちろん大きな研究所を擁していないものも多い。しかし、このような自然系のところがどんどん伸び始めている。いつの間にか、ワイルドオーツや、ファーマカなどで売られるようになったりしていつの間にか、ブランドが成長をしていく。化粧品やトイレタリーの持つ先進性は少ないかも知れないけれども、人工的なものを肌や洗髪の時に使用しないだけでも、メリットは多いはず。女性の美しさは、化学品を塗りたくるのではなく、身体の内側からにじみ出てくることが最も美しい。ロハスにかかわる女性がボールダーに来ると、ほぼ必ずと言って良いほど、当地の化粧品を買って帰る。そのような商品がもっと早く、ボールダー産に限る必要はないが、日本でも意識のある人たちが作るロハス的な商品がどんどんと生まれて欲しい。

Sunday, September 03, 2006

ニコチン中毒促進するタバコ・メーカー?


アメリカの禁煙運動はものすごい勢いで進んでいる。コロラド州などはレストランやバーでの喫煙を禁止したのは前にもリポートをした。タバコメーカーなども、相当の公共広告を行ない、喫煙の害などについてテレビ広告をやっている。メーカーが自社製品を取り扱うなと云う広告をしているのは、多分タバコ訴訟の条件だったのだろうが、少しおかしなことをやっているなと思った。

このように全米的に禁煙運動が盛んになっているのに、若い人の間での喫煙は増えていると云う。タバコの害などについては十分に認識されているけれども増えているのである。何か不思議な感じがしていた。もちろん、ハリウッドの映画では、いろいろな場面で有名タレントが煙草を吸う場面があるので、裏に何かの仕掛けがあるだろうなと感じている。正面きってのタバコ喫煙促進の広告を打てなくとも、映画などは「芸術的表現」「表現の自由」を主張するだろうから、タバコのシーンをやっても構わないのだろうが、意識をしていなくとも、タバコは大いに奨励されている場面に出会う。特に若い人たちを対象にした映画ではそのような傾向がある気がしてならない。

今回はマサチューセッツ州厚生省の驚くべき報告が出てきた。この報告によると、1998年からタバコに含有されているニコチンが10%以上も高まっていると云う。マサチューセッツ州などいくつかの州は、タバコに関する多くのデーター提出を求めてきたようだが、そのデーターを吟味したところこのような結果が出ていると云う。ほとんどのブランドでのニコチンの量は増えていると云う。しかし問題なのは特に若い人が好むとされているMarlboro, Newport そうしてCamelなどのブランドが確実に増えていると云う。メディアの問い合わせなどに、メーカーはノーコメントと言っているようだ。

また、同州の調べによると、「ライト」と言われているブランドについても、ニコチンは少ないどころか、普通のタバコと何ら差はないと云う結果も出ている。もちろん、この手あの手で、新規顧客を開拓して、既存のところも止めさせないように努力をしているのだろう。しかし、ティーンエージャーを対象にこのような姑息なやり方で、ニコチン中毒依存症を高めていると言うのはあまり許せたものではない。まだ、健康は当たり前と考えているティーンエージャーを餌食にすると云うのは問題になろう。

小生は資本主義を否定をするものではないが(共産主義かの元でもタバコはあるからだ)、ロハス的なコンセプトを推進することによって、このような企業の隠れた活動が行なわれないようにしなければならないだろう。もちろん、大人が個人の責任で吸うことについて反対をするものではないが、判断がつかないうちから依存症を促進するその考えには到底賛成できない。

ロハスとは、ある意味では、既存のビジネスを再点検して、健康や地球環境に良いものなのかどうか見直す尺度としても考えられるだろう。ボールダーにも、少ないけれども、喫煙は存在している。しかも喫煙ティーンエージャーの存在は確かにあり、少し異様に見える。

Friday, September 01, 2006

先行者の苦難大、頑張れ加州!


昨日のブログで書いたが共和党のシュワーツネーガー州知事が、州議会の民主党議員と手を組んで、温室効果ガス排出削減の州規制を決めたことを紹介した。自分の政党である共和党とではなく民主党と手を組んで二酸化炭素排出の規制を始めた訳だからすごい。ハイテク産業の多い加州だが、重工業などもある訳であり産業界が二分していることを今日のニューヨークタイムズは報道している。

連邦政府が、産業界全体の意向を受けてか、地球温暖化に向けた統一的な対策を積極的に推進していない訳だが、今回の州ベースによる規制はカリフォルニアが先鞭を切った。その背景については、ニューヨークタイムズ紙が掲出している統計を見れば十分にうなづける。加州一州だけでフランス一国よりも二酸化炭素排出をしていると云う数値を見ても、無視できない状況にあることがわかる。加州は、また、自動車の燃費規制などにも州独自の基準を設け始めるなど、連邦政府がやっていないことを暗に非難するかのように、次々に環境に良い施策を打ち出している。今日のブッシュ大統領の演説などもイラク戦争を正当化することだけに費やされているが、アメリカ国民の支持はだんだん薄れてきている。願わくば、テロリストがアメリカ国内でまた何か凶暴なことをしでかして欲しくはない。ブッシュはその恐怖を国民に訴え、先回の大統領選挙に当選したようなものだから、、

州規制を厳しくし過ぎると、企業の投資意欲が高まるのではなく、州から離れていくことも考えられる。法人税の高い加州はすでにその現象は大いにある。それは共和党の連中が言っていることのようだが、排出ガス規制の対象になるような企業は、発電、石油精製、セメントなどの業態であり動きにくいところもあるだろう。彼らが規制反対に回っているが、例外が出てきた。北加州に本拠を持ち事業しているPacific Gas and Electric Companyは環境対策を打ち出さない限りは、より大きな地球的な問題に直面することを受け入れたらしい。同社のPeter Darbee社長は、多くの著名な気象学者にヒアリングを行ない、地球の温暖化と排出ガスの関連性を聞いたと云う。それによると、もはや待った無しの状況であることが明らかになり、PG&E社としても排ガス規制を受けれる側に回った。もちろん、何らかの策があってのことと思うが、とても勇気のあることと言えよう。

政治家や官僚は、とかく現状維持を好む。あるいは、現状維持に近い、予測できる方向性を求めるきらいがある。その中で、カリフォルニアの政治家は、追い詰められたと云うべきか?あるいは真剣に環境のために考えてのことか分からないが、いずれにしても、連邦政府としても無視しえない状況をカリフォルニアは作り始めたと言えよう。人口10万人のボールダーが叫んでも、ワシントンでは無視し得るが、カリフォルニア州が動くとなるとインパクトがとても大きい。ロハスの意識があるために、政治も変わってこざるを得ない。ボールダーから加州の実験に大きなエールを送りたい。