Monday, September 25, 2006

ウォールマートが動くとき

公的か民間かを問わず全世界で180万人の従業員を有するウォールマートは世界でも最大規模の会社だ。売り上げもフォーチュンのランキングでは、世界第2位になっている巨大企業だ。自動車の生産・販売で世界ナンバーワンになろうとしているトヨタ自動車の総従業員数が6万6000人(連結企業ベースで29万人弱)だけと云うから、ウォールマートの大きさも推察されよう。日本においても、西友に資本参加するなど、市場参入を図っているところ。日本における戦略は、少し停滞をしているようだが、アメリカでは、ロハスを前面に出すように動き始めているから、今後の成果は楽しみだ。

低価格を前面に出したウォールマートの販売戦略は、多くのリテーラーを恐怖に陥れ、経営的にも揺さぶりをかけると云うことで、多くのコミュニティは、ウォールマートの押しつぶされることを恐れ、市場参入阻止をしている地域も多々とある。ボールダーもその一つの街であり、ウォールマートへの警戒感は強い。しかも今年に入り不法移民の就労などの問題でもウォールマートが標的になり、移民取り締まりの矛先がウォールマートに及んだ事件が発生をした。また、組合の組織化をガントしてはねつける企業姿勢とともに、ウォールマートの労働条件が悪いことも、知的層の人々には受け入れられない要素であるのは事実だ。

守勢に立たされたウォールマートは、企業広報活動を積極的にしていく一方、企業体質とブランドの位置づけを、徐々に変更をしてきている。最近の事例では、ノーブランドの処方薬の販売価格を極端に押し下げ企業イメージ向上に躍起だ。昨年あたりからも、ウォールマートはオーガニックの野菜果物を販売する方針を打ち出していたのも、徐々に巨大リテーラーとしては、大手のスーパーなどに先駆けて地球環境保護を打ち出してきたから他ならない。

一部の人たちは、ウォールマートのこのような動きを彼らに対する批判を牽制するための行動と読んでいるようだ。もちろん、そのようなことが幹部の考えの中にあることは言うまでもないことだろうが、牽制だろうと、PR戦術だろうと、ウォールマートが動き出す効果は計り知れなく大きい。3124億ドルの売り上げがあるウォールマートには、6万社のサプライヤーがいる。ウォールマートはそれらの企業に対してサステイナビリティを実行するように求め始めており、消費者にはグリーンな商品を買うように提案し始めている。ウォールマートは自社の排出する二酸化炭素なども公表し、全世界のオペレーションによって2080万トンの二酸化炭素を排出していることを公にした。このように企業の目がサステイナビリティに向かっていくとなると、その効果も巨大効果に跳ね上がる。短期間においてウォールマートは全世界でオーガニックコットンの最大の購買社になっただけでなく、系列のサムズクラブではフェアトレードのコーヒーを売り始めており、春先に売り始めているオーガニック野菜などは秋にはもっともっと増やす予定だ。また、無駄をなくすために、パッケージングなども小さめのものをサプライヤーに求め始めていると云う。

ウォールマートの行なおうとしている諸活動は多岐にわたっており、明日もその具体的な会社の考えについてまとめてみたい。今日はウォールマートが動き出したと云うことに止め、今後その動きに注目してどのようにアメリカは変わっていくのか見てみることにしたい。いずれにしても、ウォールマートが動くと云うことは、シンボリックな意味だけでなく、ロハスがブールドーザーで押し広げられていく効果に匹敵するものがあるだろう。意識を高めると云うことで、ロハスはエリートと云う考えを払拭してくれるだけでも、もの凄い効果と見なければならない。

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