Tuesday, September 19, 2006

排ガス規制の声高めるアル・ゴーア氏

元大統領候補のアル・ゴーア氏のAn Incovenient Truthと云う映画のことは、これまで何回に分けてかリポートをしてきたが、ここへ来てゴーア氏の主張は一段と声を高め始めている。ニューヨークタイムズ紙が報じるところによると、同氏はニューヨーク大学のロー・スクールにおいて地球温暖化の原因となっている煙突や排気パイプからの排ガスを「即時凍結」する運動を起こすべきだとスピーチをしたようだ。ゴーア氏がこのように過激な立場を取り始めている点については、このような立場を取らない限り、選挙で選ばれた政治家たちは何にもアクションをとらないことを恐れているからだそうだ。ゴーア氏の発言は、核拡散が問題になっていた冷戦構造のときのように、ある意味では「核兵器の即時凍結」を求めるのに匹敵するような危機感を提示したいらしい。

その背景にあるのは、ブッシュ政権を始めとして多くの識者は、理論的な排ガス削減の理屈については話を多くしているが、実際は具体的な活動があまりされていなく、それらの議論が人々に何か行なわれていると云う幻想を抱かせる点で、却ってマイナスだと主張をしている。ブッシュ大統領は、排ガスを抑制して経済に打撃を与えるよりも、将来的に排ガスを全く出さない新しい産業技術に期待をかけていると云える。実際、ホワイトハウスのKristen A. Hellmer報道官は、経済に打撃を与えず、仕事を海外に移転をさせない排ガス抑制策プログラムが60も機能をしていると反論をした。議会や経済界の重鎮などもゴーアしに反発をしているようだ。

この講演会において、必ずしも新しいことではないが、ゴーア氏は源泉徴収税を止め、それに代って二酸化炭素排出を含む公害税を取るようにするべきだとの主張を繰り返した。そうして、ブッシュ大統領が、署名を拒否した京都議定書を調印するようにも求めた。

ゴーア氏のこの講演会は、今週から予定されているいくつかの地球温暖化のイベントに先駆けたシュプレヒコールのような感じだが、多少過激な発言とも受け取れるものを講演した背景が他にもあるだろうと推測される。11月の中間選挙を前に地球温暖化の危機と云う問題で、ブッシュ大統領の反論を出させ、共和党政権の無策ぶりをあぶり出していく戦略ともとれる。いずれにしても、2004年の大統領選挙のときは、環境問題は、テロやその他の保守派の課題に押しつぶされた経緯があり、それを許すまいとの動きだろう。

巨大州カリフォルニアやボールダーのような小さな行政単位での温暖化に反対する動きと、連邦のとろうとしている政策の乖離が、今回11月の選挙でどのようなインパクトを与えるのかが見物だ。

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