Thursday, December 28, 2006

ビッグ・ビジネスになったヨガ

NY Timesが伝えるところによると、アメリカのヨガ人口はここ数年急増している。Mediamark Research社の調査によると、一週間に最低二日ヨガをトレーニングする人は、2001年の130万人から、2006年には300万人になったとのこと。その期間での成長率は実に133%だ。今年の春の別の調査によると、直近12ヶ月でヨガを一回でもトレーニングしたと云う人は1000万人に及んだと云う。

ヨガがこのようにポピュラーになってくると、それに関連するビジネスも大いに伸びてくることは言うまでもない。ビジネス規模を示す最新の数字は2004年のものだが、ヨガ・ジャーナル誌が行った調査によるとアメリカ人がヨガのクラス、衣類、書籍、マットなどヨガ関連商品、あるいはヨガ・リトリート(瞑想合宿)、やヨガバケーションのために使った総金額は29億5000万ドルにも及んだと推計している。

ヨガのトレーニングを行うにあたって、もともと瞑想にふさわしい、ファッション性もないような服装で始まったが、最近ではヨガのウェア関係も大きなファッションのステートメントになり始めており、コットンのような材質だけでなく、ライクラやマイクロファイバーなどを使ったウェアも出現している。そのようなウェアの動きに中で、ヨガ・ウェアブランドのPrana, Be Present, Inner Waves, やLululemon Athleticaなどに加わり一般スポーツウェアのNikeやFilaブランドも出始めている。

これまで、どちらかと云えばニッチ市場だったヨガが如何に主流に影響を及ぼし始めているかを見ていると、大手アパレルブランドのLiz Claiborne社がPranaブランドを取得したことからも分かる。この買収によって、Pranaブランドは一挙に全米、世界の主要市場で買い求められるブランドに昇格した。カナダのバンクーバー発のLululemon Athletica社も、元Reebok社の社長を招き入れ、積極的に日本やアメリカ市場での拡販に努めている。ファッション性が高まってくると、こういった市場でのヨガブームにさらに火がついてくることになろう。

ヨガのブームはブームだけに終わるのか否か。私はヨガはブームではないと見ている。あるいは、人々の生活においてより深いインパクトを与えるようになるのか注目したい。ヨガの持つ瞑想性や自然、環境、健康、食事などのロハス特性があるので、ブームを超えたものになっている気がしてならない。スローフードと平行して、ライフスタイルのスロー化を求める人間的なニーズが産まれているのではなかろうか。当地ボールダーはまさにこの傾向の最先端を走っているところだ。ヨガだけではなく、その周辺をサポートする業態も着実に成長して定着している。ビッグ・ビジネスが入り込むことについては、ロハス的な観点からすれば、何かわだかまりが残る気もする。でも、ウォールマートがオーガニック分野に進出してきているように、ロハスの進化の過程ととらえるべきではなかろうか。ヨガのブームで考えさせられるものがある。

Wednesday, December 27, 2006

矛盾だらけのアメリカの燃費議論(2)

アメリカではこれまで新車を売る場合、そのモデルの燃費を表示する義務がある。しかし、その表示された燃費と云うのは、あまりにも非現実的な数字であったため非難の対象となっていた。そのために環境保護庁(EPA)は、消費者が新車を購入するときにより現実的な基準ができるように今月にその策定方法を変えた。この変更が実施されるのは2008年モデルからとなるので、来年の秋からの実施となる。

このこと自体何もおかしいことではない。消費者のために計算基準をきっちりしていることは大いに歓迎なことと云えよう。しかし、この燃費の策定情報で一番大きな影響を受けるのはハイブリッド車になる模様と云うのには少し懸念が生じた。ハイブリッドの市内燃費がガロンあたり30%も落ちると云うのだから何か作為的なことを感じさせる。

もちろん、影響を受けるのは、ハイブリッドだけでないことははっきりしている。アメリカ人の運転のモードの反映を計算に入れ込むと云うことは大事なことには違いない。急加速、急停車、エアコンの使用など、アメリカ人ドライバーの特性をきちんと入れ込んでおくことがより精度の高い計算式になることは云うまでもない。しかも、今までは燃費表示を求められていなかったトラック(日本的に云ったら大型RVとでも云うのだろうか)も燃費表示の対象に入り始める。実際の施行はずっと先のことだが、視界に入ってきたことはアメリカが大型RVの野放図な売り上げについては何か対策をとらないといけないことを認識しているとも言える。

アメリカの燃費の表示義務は消費者教育のためだけではなく、70年代の2回のオイルショック前後してのアメリカのエネルギー政策の中で、中東依存を下げるために行われた政治的、国家政策的背景もある。連邦政府は全米ハイウェー交通安全行政庁(NHTSA)に対して、自動車メーカーのフリート平均燃費(CAFE=Corporate Average Fuel Economy)を規制する方向でも動いてきた。そのときに決まったのはメーカーのフリート燃費平均が2007年値で乗用車でガロン当り27.5マイル、トラック(ピックアップトラック、バン、RV)がガロン当り22.2マイルと云うことになっている。この水準を超えるメーカーは違反金を徴収される訳だが、燃費表示の計算式を変更したにもかかわらず、この部分だけは旧来通りの計算式で許すことになったようだ。もちろん、ビッグスリーの経営環境からすると、対応できないと云う政治的な妥協もされたのだろう。

この問題を掘り下げていくと、まだまだ多くの矛盾が出てくる。民主党が議会の両院の過半数を占めたが、これとて、選挙区の動向などで政党枠で収まらない問題になっている。アメリカのエネルギー政策は、中東依存からの脱却を狙っているが、議論が良く詰められているとは言い難い。そのような中で、ロハス的な社会を作ると云うもくろみはまだ、現実味を帯びていない。ロハス的な社会を作ると云うことは、この政治的な壁を突き破るものでなければならないだろう。国民一人一人の意識を高め、民意で変えていくしか難しいのかも知れない。

Tuesday, December 26, 2006

矛盾だらけのアメリカの燃費議論(その1)


ワシントン・ポストのコラムニストのジョージ・ウィル氏が掲げた驚くべき数字を紹介しよう。これはアメリカ人の平均体重の変遷とアメリカのクルマのガソリン消費についての関連性を掲げたものである。ウィル氏曰く、「アメリカ人の平均体重は男性で191ポンド(86.6kg)、女性で164ポンド(74.4kg)であり、1960年から見るとそれぞれ25ポンドも増えた。また、別の調査によると、2003年においてアメリカ路上を走っている2億2300万台の乗用車および小型トラックを見た場合、乗員の体重が1ポンド増えるに従い3900万ガロンの年間追加的燃料消費につながると云う結果が出た。アメリカ人が1960年時代のようなほっそりした体型(相対的な話だが)だったときと比較したら、現在は(体重増分により)年間10億ガロンものの追加的な燃料消費を行っている」と。皮肉なことだがアメリカの肥満が、アメリカのエネルギー政策や外交政策、中東に関わる軍事政策までにも大きな影響を及ぼしていることになる。

もちろん、一般的に云ってアメリカのクルマは小型化・軽量化しているろ云える半面、安全面での車体強化、空力特性を引き出すために硝子面の使用の増大、エンジンの高出力化などもあり、台当りの鉄板使用量は減少しているものの決してロハス的なクルマ製造までには至っていないのは事実だ。燃費の改善、クルマの軽量化、安全の強化、空力特性の向上、車内居住空間の快適さ改善、視界の改善、トランクルームの広さ改善などは、一見して当然消費者が求めるものだが、往々にして相対する要件だと云うことは、クルマを設計する人にとっては頭痛の種に違いない。自動車メーカーが各方面での努力をしている事実を否定するものではないが、まだ、ロハスと云う概念に沿ったクルマを創出する余地は大いにあると云える。今後が楽しみなところだ。次回のブログでは連邦の規制について書くが、燃費議論は錯綜している。

アメリカの肥満は、このブログでも引き続き書いていくつもりであるが、エネルギー政策などに関わってくるとは完全に思いつかなかった。アメリカの洋服のサイズも、徐々にアメリカ人の平均体重が増えるに従い、サイズの解釈が緩やかになっていると云う。つまり、今までサイズ8だったヒトが、太っても引き続きサイズ8が着れるような場合がそうだ。クルマにしても、乗員の平均体重の変遷を受けて、シートの強度を高めたりするなど、シートの幅さえ少し余裕のあるものに変えざるを得ないかも知れない。クルマの足回りにしても定員の平均体重が増えるのであれば、それに対応をした基本設計をしなければならないだろう。肥満が、このような見えない分野にわたっても資源の無駄使いに関わってくると云うのはよく考えなければならない。

燃費の議論から少しずれるが、アメリカの糖尿病患者はすでに2100万人いると云う。この直近の10年間だけで糖尿病患者は何と80%も増大したのだそうだ。糖尿患者のすべてがタイプ1であったり、すべてが肥満であったりと云う訳ではないが、それにしても食事の問題、運動不足の問題、社会的なストレスの問題などロハス的な関わりは多い。今後のアメリカの、エネルギー政策を見るにつけ、体重も参照することを忘れたくはない。ロハスにより、アメリカのエネルギー使用の削減を目指せると面白い。

Friday, December 15, 2006

ヨガとワイン、アメリカ化するヨガ

アメリカの文化は長いこと伝道者、宣教師の文化と云われてきた。ソトの世界に自国の優れたものを伝導していこうというものだが、その傾向はまだ収まっていると云えないが、最近では、外国の文化を取り入れるようになってきている。もちろん、アメリカに入ると、アメリカ的な解釈がされることもあり、オリジナルなものと大きく変化をしてしまうこともある。筆者が長年やってきている合気道にしても、アメリカで見る合気道は、解釈が千万であるのは事実だが、これだけDVDやテレビでホンモノが放映されても、何がホンモノなのかと云う判断はつきにくいものらしい。情報が錯綜する時代に入ると、情報伝達が速くなるがホンモノを見極めることができにくくなると云うことだ。でも、オリジナルにこだわらなくとも良いと解釈をすれば、アメリカで行われていることは、時代の要請に基づく変貌と見るべきなのだろうか?

NY Times紙が伝えるところによるとウィスコンシン州マディソンのヨガ教師アンジェラ・ガルガーノさんは、ヨガとワインの合宿を行い始めている。そのきっかけはYahooのMind/Bodyコラムを担当しているDavid Romanelli氏と手を組み、今年の8月にカリフォルニアのFairmont Mission Inn & Spaで週末のヨガとワインのリトリート(瞑想合宿と云うべきか)を行ったことがそうだ。この反響の良さから、2007年は全米で多くの瞑想合宿を計画するに至っている。ガルガノさんは、全米だけでなく、スペインのバルセロナでも合宿を企画しようとしている。ガルガノさんはまた、カリフォルニアのSonoma郡のDeLoach Vineyardsを拠点に使い、シリーズでヨガとワインの合宿を組むことにもなっている。

アメリカのポップカルチャーとヨガを結びつけるのは何も新しいことではなさそうだ。Romanelli氏は現在Yahoo.comにおいて「ヨガ+アルファー」と云うことで色々と組み合わせを作っているところ。多くのホンモノのヨギはこのような傾向にウンザリしているかも知れない。例えばクンダリーニ・ヨガなどを鍛錬している人は神経系統にバランス、平衡感覚をもたらすことを目的にしているだけに、アルコールとクンダリーニはマッチングをしないことに気づくだろうと云う。純粋なヨギの人にとっては、アルコールを飲むことは身体が発生させる脈動派を抑制することになり、ヨガの求める根本概念と異なると云えるからだ。

しかし、ここはアメリカ。アイスクリームなどでもチョイスの多さがモノを云うお国柄だ。真剣にヨガをする人で真の求道者ならともかく、週に2−3回リラックスするためにヨガをやっている人のためならこれもあろうと云う。要するに、ヨガは新たな解釈と応用の世界にも入っていると云う訳だ。先日紹介した日本のUnder the Lightの鈴木真さんなら、受け付けにくい発想かも知れない。でも、何事においてもそうだが裾野が広がると云うことは、純粋な理念が維持しにくいことを意味するものだと思う。ロハスの先駆者的なヒトたちは、さらに尖った方向へ進んでいくのだが、このように先鋭的に進む人がいることによって、さらに裾野が広がる余地ができるとも考えたい。

この大衆的な、ヨガの催し物に関心のある人はNY Times紙のリンクへ行ったらよい。それらの関連リンクがすべて掲出されている。英語のままで、情報を掲出しておこう。

VISITOR INFORMATION

WEEKEND yoga-and-wine retreats will be held once a month May through September next year at DeLoach Vineyards (1791 Olivet Road, Santa Rosa, Calif.; 415-289-4544, www.deloachvineyards.com). The vineyards’ guesthouse has three double rooms, and DeLoach can recommend nearby lodging for up to 10 more people. For those staying on site, the cost is $1,000 to $1,100 a person, all-inclusive. If you stay off site, the cost for the retreat is $600 a person and includes everything but lodging and transportation.

Angela Gargano and David Romanelli’s “Yoga + Wine” workshops are scattered throughout the country next year, and include stops in Santa Monica, Calif.; Chicago; West Palm Beach, Fla.; Scottsdale, Ariz.; and New York. Full listings are at www.yeahdaveyoga.com and at www.blissflowyoga.com. Mr. Romanelli teaches yoga classes at Exhale Spa in Santa Monica and Venice, Calif. (www.exhalespa.com), Ms. Gargano at Bliss Flow Yoga in Madison, Wis.

Thursday, December 14, 2006

不法移民とロハスの問題

2006年11月に行われた議会の中間選挙の一つの大きな焦点は不法移民対策だ。選挙直前に、不法移民の問題で嫌気さしている選挙民対策として、ブッシュ政権は、アメリカとメキシコの国境地帯に壁を作ることを法制化してしまった。建設はこれからだが、まさに万里の長城並みの大きな事業になりそうだ。そんな壁を作ったところで低賃金労働者を求める市場があれば、それに向かってメキシコ人の不法移民は続くだろう。今回のような小手先の政策でこの問題は解決し得ないだろう。問題の根は深く、アメリカとメキシコの相互依存の経済は、かなり深入りしてしまっている。

アメリカにおける不法移民の数はもちろん定かではないが、推定800万から900万人以上いると云われている。その多くはヒスパニック系の人であり、毎年50万人以上増え続けていると云う。数がまだ限定的だった時は、受け入れる余裕はあったが、ここへ来て、季節的な存在からどんどんとアメリカに定着し始めているので、色々な社会費用がかさみ始めているようだ。しかも、不法滞在であるだけに、税金を払っていなかったり、社会保障の積み立てもしていなかったりするにもかかわらず、社会へ負担になり始めている。特に学校や、病院などの公的資金の負担が高まり、税金の貢献が無いのに、社会保障関係の支出が増え続けていることが、アメリカ人の癇にさわり始めた原因。

ヒスパニックやラティノ層の政治への参画は増えているのだが、低賃金に魅力を感じていたアメリカ人が、間接的に公共の費用支出が高まり増税をしなければいけなくなると、一挙に不満が高まってくる。似たようなことは北欧でもあると聞いているが、客人の線を越えてきてしまうと受け入れ側の心情が急激に悪くなっていることは間違いない。メキシコとの国境に接しているテキサス選出のブッシュ大統領が、仲の良かったメキシコのフォックス元大統領の関係があるにもかかわらず、間に壁を作ることを決意したことにも強く現れてきている。

今週の出来事としては、アメリカの国土防衛省(Department of Homeland Security)の移民取締り部隊が、急遽アメリカの食肉加工の企業に押し入って、偽の身分証明書などで仕事をしていた多くの労働者を取り調べのため、あるいは強制送還のために、身柄を拘束した。今回の強制捜査は、アメリカにいる多くの不法労働者が、偽の身分証明だけでなく、他人の身分を偽って仕事していたことに対して、最近問題になっているID Theftの問題から強制捜査をしたとしている。身柄拘束をされたヒトたちの数が多いことがニュースで大きく取り上げられている。しかも、今回の問題は、不法移民を雇っていた食肉加工企業に問題を持っていくことをせずに、ID theftをしたと云うことでメキシコの不法移民だけに法の取締りの矛先が向かったことになる。

アメリカの有機農業などでは、多くのメキシコ人が農作業をしている。厳しく、賃金の少ない手作業の多い分野だけに一般のアメリカ人は扱いたくない仕事の分野だ。不法移民を野放しにすることは当然よくないことだが、両国間の経済依存関係が強くなっているだけに問題は簡単に解決しそうにない。有機産品の需要が高まっているおり、このように生産者側を助ける人員が、身分不安定な状況と云うのは、アメリカのナチュラル、オーガニック産業に大きな問題をもたらすことになるだろう。NAFTAという北米自由貿易体制ができて何年もなるが、それが真剣に検討をされ、賢明な対策を立てられない限り、急場しのぎ、問題先送りの状況は片付かないだろう。ナチュラル・オーガニックの一消費者として気なるところだ。壁作りはロハス的ではない気がする。

Monday, December 11, 2006

連邦政府の環境無策に立ち上がる先鋭的な州や市

写真はNASAの作成した地球温暖化の経過と予想を含んだ温度上昇地図だ。米国の航空宇宙政策を司るNASAの資料がこのようなものであるにもかかわらず、ブッシュ政権は、地球温暖化抑制に対しての行動計画は無視に近い状況だと云える。今回11月に行われた議会の中間選挙においても、この温暖化の問題が多く表面化するに至り、反ブッシュ勢力に大きな追い風を与えたことは云うまでもない。

ロサンゼレスタイムズは、連邦政府の無策に対して、地球温暖化阻止に何かでも役に立てようとするアメリカの州や市が立ち上がっている状況を紹介している。特にブッシュ政権が、二酸化炭素などの温室ガス効果抑制を取り決めた京都議定書に、中国やインドが含まれないのなら意味は無いとして調印しなかったことに言及。これを受けた形で、ブッシュ政権の方針に関わらず西海岸シアトルの市長であるNickels市長は、全米の市長に呼びかけてローカルレベルで京都議定書が決めた目標水準を達成しようと動いている。同市長の呼びかけに応じて、全米で330市長の参加誓約を取り付けるまで至った。この市長たちは、今後数年間にわたり、各市における二酸化炭素排出レベルを1990年レベルに戻そうと誓約をしたのである。

私の住んでいるボールダーの参加は云うまでもない。当地のMark Ruzzin市長はより積極的に動いており、全米に先駆けてClimate Taxなるものを先回の中間選挙で住民投票にかけて、通してしまった。これは電力消費がある一定以上行くと課税されると云うもので、そこでの税収は地球温暖化対策や活動のための資金源に使用としているようだ。シアトルは駐車料金税を導入したりした上に、今後は道路交通税を導入し、御誌注がす効果ガスの発生原因として大きな原因となっているクルマの利用を抑制しようとしている。

このような動きは、リベラル的な市だけが行っていないところが今回の特徴。ノースダコタ州のFargo市のWalaker市長はすべての交通信号をエネルギーの消費が通常の電球に比べて80%も低いダイオードのランプに変えたと云う。インディアナ州のCarmel市のBrainard市長は、市の使用するクルマのフリートをすべてハイブリッド乃至はバイオ燃料のクルマに転換しようとしている。

小さい市町村はもちろんのこと、二酸化炭素排出削減を誓約した街には、ロサンゼレス、サンフランシスコ、ニューヨーク、マイアミ、デンバーなどの大都会も含まれていると云う。このような市長たちの意気込みをサポートをするような形で、映画俳優で社会運動家のロバート・レッドフォードなども自分のユタ州Sundanceの牧場に何十人もの市長を招いて地球温暖化などについて話したと云う。市長たちが、政策の比較などができるようなウェブ上でのサイトも作られている。クールな市長たちのネットワーク

国がやらなくとも、自治体レベルでもやっていこうとする。そのような強い運動が市民運動としてできつつある。エネルギーや資源の浪費国アメリカは変わるのか。ロハスの動きは新たなウネリとなりアメリカの政界も動かし始めたようだ。連邦だけではない、市町村の草の根運動から、どこまで発展をするのだろうか。震源地の一つであるボールダーから観察をするのは今から楽しみだ。

Saturday, December 09, 2006

トランス脂肪酸規制へ動くアメリカ

ここ数日のコメントは飲料や食品関係に集中している。もちろん筆者の関心事であるからだと云えばそれまでだが、アメリカにおける食品関係の動きは大きくなってきているのも事実。衛生当局についても、従来は伝染病などの防止や対策が重要な課題だったのが、最近の死亡率は伝染病、衛生面などを遥かに超えて食事を通じた栄養過多や健康に悪影響を与えるような食生活による成人病の方が大きくなってきてしまったことが大きくあるのではなかろうか。

つい先日ニューヨーク市の衛生当局は、同市における25000軒のレストランに対してトランス脂肪酸の利用を無くすように指示した。ニューヨークが動いたとなると、全米の先例になるだけに他の大都市などは戦々恐々だ。アメリカでは、連邦で動くより、市のレベルで、禁煙条例の発令や、シートベルトの装着義務などが始まっている訳であり、トランス脂肪酸などもこの事例で、かなり速い段階で全米ベースに広まると見られている。

トランス脂肪酸は、天然のものではない。人間が約100年前に油を固形化するために植物油に水素を添加して作ったものなので、人工的なものなのだ。最初に商品化したのはCrisco社で、1911年に商品開発されたもの。

トランス脂肪酸とはどのような技術なのだろうか。ニューヨーク市衛生当局のリストを見るとそれがはっきりしてくるらしい。つまり、トランス脂肪酸で作られたものの中に、フライドポテト、タコシェル、ドーナッツ、ピザ生地、クラッカー、クッキー、パイクラストなどがあげられている。これら商品に共通することと云えば、スポンジのように柔らかく始まり、熱を通すとカリッとなると云うことだろう。つまりトランス脂肪酸は、フレーバーではなく、テクスチャーを変える傾向があると云うことだ。やけ上がりが速いために、水分をあまり失わずに焼き上がるのだ。しかも保存期間が長いので、無駄も少ないとなる。

そもそもトランス脂肪酸が普及をしたのは安かったかららしい。1970, 80年代に飽和脂肪が、循環器系に毒だと判った段階で、レストランやメーカーは飽和脂肪を捨て、トランス脂肪酸へと移行した。全米レストラン業界は今回の措置に真っ向から反対しているのは、まさに、トランス脂肪酸の使用があまりにも普及しているからだろうと見られている。

トランス脂肪酸は、飽和脂肪よりタチが悪いらしい。つまり、悪玉コレステロールを引き上げるばかりか、何と、善玉コレステロールも引き下げてしまうのだそうだ。だから、ニューヨークの衛生当局者が云うのには、人工的に作られたトランス脂肪酸は身体に良いことは一つもなく、どんな少ない容量でも身体に害を与えるのだそうだ。天然の脂肪だったら、少しだったら健康的なダイエットの一環としてみていけるのに、健康に百害あるトランス脂肪酸は、今後は喫煙のように抹殺される方向で進むことだろう。

この規制の進む方向はとてつもなく大きな出来事だ。アメリカのファーストフード産業に与える影響は甚大だ。タバコ産業が禁煙運動で受けた影響とは比べ物にならないかも知れない。アメリカの食料油の生産・供給体制がどのようになるのか、供給が足りない現象が起こらないのか、コストの引き上げなどでファーストフード自体にどのように影響を与えるのか、多くの事象が不確定な状況と云える。でも、アメリカの肥満や糖尿病などのインパクトも待ってくれていないので、アメリカの食料事情が大きく変わるきっかけがニューヨークのトランス脂肪酸規制で始まったと云える。

Friday, December 08, 2006

ペプシーのナチュラル・マーケット参入努力


ホールフーズやワイルドオーツのナチュラル系スーパーに行くと、アメリカと云う市場なのにどこにでもあるコカコーラやペプシコーラのような清涼飲料が無い。商品の取り揃えを考えるときに、コンベンショナルな商品は入りにくい。誰かに指摘されないと気がつかないことだが、床面積などがこれまで比較的小さかったホールフーズやワイルドオーツに参入する障壁はある意味では高いといえる。これまで、ナチュラル系のスーパーの存在は異端児的であったのが、徐々にではあるが主流との接点が高まりつつある。それは、健康や環境などの意識が高まってきていることと強い関係がある。コンベンショナルなスーパーだとしても、基準を今までの通りにしていくと、大市場では知的層、裕福層、健康派、環境派などの客層が離れていくようになってきている。

コンベンショナルグッズを売っている食品メーカーとしては、ナチュラル系スーパーに無視されていてもつい数年前までは無視し得たことだが、ここへ来て、このままで行けば、将来的には大きな市場を失いかねないと考えだしてきている。だからペプシコ(ペプシコーラの親会社)としても、ホールフーズに受け入れられるような商材を作り始めていると云う。もちろん、オーガニック・ナチュラルを目指す顧客層をターゲットにした商材開発だ。ペプシコはホールフーズでチップスの試験販売を行い始めた。しかもスムージなども何店舗かで試験販売を始めている。面白いことに、それらのラベルには親会社のペプしこの名前は伏せてあると云うことだ。

ペプシコが試験販売を始めているスムージーはFuelosophyとの名前であり、まだ中西部とアメリカの東北部でした売られていない。Sun Snackと云うチップスは全国のホールフーズで売られ始めている。ペプシコとしてもナチュラル系市場をターゲットしてモノを開発し始めている。この、新たな裕福な市場を放っておく手はないと云うことだろう。健康の関心が高い層をどうやって取り込むのか大事な戦略となっているのだ。

これまでに、独立系の企業の商品だったもので、すでにホールフーズなどで売られていた飲料のIzze、Stacy's Pita ChipsやMother's Natural Cerealsなどを買収しているのだ。これ商品は、今後もホールフーズで売れ続けられていくことだろう。

親メーカーの名前を伏せておいて、ナチュラル系スーパーに参入をする。考えてみると社名も出せないなんてかなりみっともないことだが、それだけ消費者は大企業のブランドに懐疑的だと云えよう。でも、このように密かに売らなければいけないと云うことは、悲しい現実なのだろう。参入努力は並大抵のことではない。大手企業も、徐々にではあるが、ナチュラルの洗礼を受けてきていると云えそうだ。

ナチュラルまでの洗礼を受けなくとも、大手飲料メーカーは商品の変更を余儀なくされている。CNNが報道する記事によると、コカコーラは2007年にビタミンやミネラルを含んだダイエットコークの発売をすると予測記事を出した。業界筋によるとペプシコーラも負けてはおらず、来年はTAVAと云うビタミンなどを含んだ炭酸飲料を発売することが見込まれている。いずれにしても機能的な飲み物でないものは苦戦を強いられるようだ。

Tuesday, December 05, 2006

マクドナルドのアスレチック・ジム?

マックドナルドのゴールデンアーチと云えば、アメリカの食文化の象徴のようなロゴだ。アメリカにおける認知度の高さは抜群のロゴだ。そのマクドナルドも、利便性、手頃な値段、スピーディー、標準化された味付けなどで世界中で長い間伸びてきたブランドだ。マクドナルドをあまり健康的でないと見ているアメリカ人でも、空港や異国の地においてあのロゴを見つけるとつい入りたくなる場所と云えるような気がする。そういう筆者も子供が小さかった頃は子供と一緒にマクドナルドに行ったりしたものだ。健康のメッカボールダーに移ってきてから、マックドナルドへ足は遠のいているが、それはアメリカのメディアが、アメリカにおける肥満の問題が社会問題化するにつけて、徐々にマクドナルドのネガティブな面をどんどんと取り上げてきて、これまであったポジティブな側面は一挙に吹っ飛んでしまったからと云える。コレステロールや高血圧などが気になると、どうしても利便性や手頃さなどだけでは食べたくなってしまうのは当然だ。

マクドナルドは、そのメディアからの非難をかわすためにメニューの改善を行ってきたりしている。その傾向は収まるどころか、今後の社会ニーズによってどんどんと高まっていくことになっていくだろう。いっぺんでの改革はできないにしても、企業イメージを改善せずして放っておけば大きなしっぺ返しが予想されるために、着実に改善していくことになるだろう。それを怠れば、新たな競争相手を作り出していくことになりかねないからだ。

成功しているコンセプトを変えると云うことは容易なことではない。しかし、無策と云うのも将来性を潰すことにもなりかねない。現在、マクドナルド社のウェブサイトにも掲載されていないが、静かな実験がすでに行われている。アメリカの6店舗でアメリカでは郊外店舗に附属しているPlayPlaceを大幅に改修してR Gymなる子供向けのアスレチック・ジムを設置し始めている。子供の年齢によって分けたアスレチック活動が展開されていると云う。ボールダーに近いブルームフィールド市のお店にもこの仕組みが取り入れられたようだ。

マクドナルド本社としても、スポーツ生理学やその他の専門家を動員しての大きな動きだ。恐らくは、多くのカメラやその他のアンケートなどを通じて、マーケットリサーチも行っていることだろう。アメリカは、肥満の問題、成人病の問題を無視し続けてビジネスは行えなくなる時代がくるだろう。すでにニューヨーク市では、市の衛生当局がレストランなどでトランス脂肪酸を使った料理を制限する動きが固まりつつある。アメリカの食を変えるのは難題だが、何もしないでいることはできない。前にもレポートをしているように、アメリカにおける人気メニューのトップを行くのがハンバーガーだが、それをどのように健康と結びつけるかの戦争は、今から始まったばかりだ。

Wednesday, November 22, 2006

大衆化、商業化と闘う真のヨギ(ヨガ探究者)

前にもアメリカにおけるヨガの普及ぶりについて書いた。アメリカの主要な新聞を読んでいるとヨガについての記述が多く見かけるようになっている。ヨガの普及が如何に大きなものかを知ろうとすれば、ニューヨークタイムズ紙の推計によればその実践者が約1500万人に達していると云うことからも判る。アメリカの総人口が3億人だから、老若男女すべてを入れて総人口の5%と云うことになる。下手をするとアメリカンフットボール実践者の人口を凌駕しているかもしれない。凄いブームに違いない。

最近でフィットネスと云うと、ヨガ抜きに語れなくなってきている。アスレチック・ジム、公共のヘルスセンター、スポーツクラブ、YMCA、老人ホームなどでヨガが浸透し始めている。クリスチャンの伝統からすれば、異宗教の雰囲気を漂わせるヨガに対しては警戒感が強かったものが、自己健康管理の思想が強くなっている中で、ヨガが多方面から取り上げられるようになってきているのではなかろうか。ベジェタリアン、マクロバイオティック主義者、スタイルを重視する映画スター、ストレス解消を求めるヒトたち、代替医療従事者、リハビリ関係者、あるいは、何か霊的なものに引かれるヒトたちだ。このような中で、ウェブによる情報の交流が高まったこともあり、ワークショップ情報の発信が増え、セレブ的なヨガインストラクターが出現をしているのは前にも述べた通りだ。

誰でも、それぞれの好きな側面からヨガができるとなると、裾野が広がることは十分に想像できる。ヨガの応用範囲はとてつもなく広がりつつあるのだ。マクロビオティックを実践し、身体のシェイプを気にしているマドンナがヨガをしていることは知られている。また、アメリカではストレス対策としてヨガをやっているグループもあり、そのグループの代表的なセレブはベストセラー作家のDean Ornish氏らしい。また、霊的な指標を求めるヒトたちはDeepak Chopraに従うだろう。

これだけ爆発的にヨガが伸びてくると、いろいろなヨガ教室やワークショップも無数開かれるようになる。Yoga Journal誌主催のカンファレンスは1994年に始まったらしいが、その年は一回だけだったものが、最近では年に3−5回開催されるようになり、1500名くらいの参加規模になり、応募者数は定員のために打ち切りとなるとのこと、その凄さが判る。そういったワークショップはヨガだけに限らず、ヨガ+サーフィング、ヨガ+ロッククライミング、ヨガ+スノーボードなどと多彩な形でのヨガワークショップが開催されるようになっている。アメリカ国内だけでなく、世界各地で開催されると云うのだから、ヨガビジネス大繁盛と云うところか。セレブ的な先生などの話は、アメリカのロハスの動きを見るのに参考になるので、今後もフォローして行きたい話題だ。

先週まで東京へ行っていた。日本(特に東京)でも、いまヨガブームである。すでに東京都内で100以上のヨガスタジオがあるそうだ。

ヨガはアーサナ(ポーズ)の体操ではなくインドの哲学体系であるが、日本のヨガスタジオの多くは、アメリカの悪いところを真似してしまい、ダイエットや美容のための体操教室に過ぎないのではないだろうか?

「ホットヨガ」「ニューヨークヨガ」「ロハスヨガ」「ビューティヨガ」「アロマヨガ」などと手を変え品を変え”何でもあり”の状態である。ちょっと商業的になり過ぎではないだろうか?私も長年本流の合気道を訓練しているが、アメリカにはヘンテコな合気道道場がいくつもある。違いを付けるためにいろいろな工夫をしているが、本流の精神が理解されていないところに合気道がモノになっていないことが多い。ヨガも合気道も表層だけを見ると云うのは、ロハスが広がっているようで良いけれども、実質的には商業主義の比重が高すぎて、遺憾なところである。

今回の日本滞在中に一人のYOGI(ヨガ探求者)に出会った。アンダー・ザ・ライト ヨガスクールのディレクターを務める鈴木真さんである。彼は私と同じくソトコトで「ヨガを極める」という連載を持っている。彼と夕食をともにしながら、楽しいひとときを過ごした。チャラチャラしない、まじめな姿勢で、生活様式などにも彼の生き様を感じ取れた。彼がヨガスタジオチェーンのディレクターを辞めて、新しい”ヨガスクール”をつくった訳はソトコト12月号を読んで欲しい。ヨガスタジオとヨガスクールは違うのだ。

Sunday, November 19, 2006

食品の「ワル」、ロハス運動への抵抗

どこの文化にも、小悪魔的なものを好むところがある。アメリカでは、文法的には間違っているが、「bad」「badder」「baddest」などと「ワル」の比較級から最上級を現す表現が一般化してきた。クルマで言えば、プリウスが良い子ならば、燃費が極端に悪いHammerなどのクルマはbaddestの分類に入るだろう。Worstと云うと、小悪魔的な意味合いが薄れるので、baddestがピッタリなのだろうか?

食事にしてもそうだろう。身体に良いものだけを食べるべきなのだが、身体に悪いものの中に美味いものが多くあったりあったりするから、たまには羽目を外して食べたいのが人間の性だろう。クリームコロッケ、トンカツ、チーズなどのように、私も好きな食べものを制限しないといけないことも多い。一昨日に書いたアメリカの外食の事例などで見ていくと、アメリカ人はハンバーガーが一番食べたいようだ。もちろん、アメリカの食文化は、メキシコ料理の影響や寿司その他のものがどんどんと入ってきているので、10年後には変わってくるだろうが、今のところ外食の王様はハンバーグなのだろう。

最近では、マックドナルドなどのファーストフードチェーンでは、サラダを出したり、トランス脂肪の使用を止めたり、その検討をしたりしていると書いた。しかし、市場の反応はどうかと云うと、引き続き、外食するときくらいは、コレステロール、ソディウムなども気にしない傾向が強いのだろう。そのようなヒトのマインドを読み込んで、逆に健康にきわめて悪いものをメニューに入れて発売をしているところがある。それが大当たりと云うから、困ったものだ。

ファーストフードチェーンのハーディーズ(Hardee's)がその例だ。ハーディーズが出したメニューは徹底的にバッドなのだ。つまりbaddestを追求することで、市場に大いに名を売っていることになる。そうして事業的にも成功をしているからアメリカ人のbadな食生活を変えるのは至難の業だと云うことはよく判るだろう。

このハンバーガーの名前はMonster Thick Burger(モンスター)と自ら極悪の名前を冠している。発売開始をしたのが2年前だが、順調に伸びてきているようだ。この商品は驚くことに一個だけで1410カロリー、そうして脂肪だけで107グラムだと云う。セットでミディアムのフレンチフライを入れると520カロリー、ソーダーは約400カロリーと云うから凄い。コレステロールだけでも229ミリグラムだと云う。こんなものをいつも食べていたら肥満になるのは当たり前だ。会社としては、個人の選択がそれを求めているとしてうそぶいているからひどいものだ。ちなみに、このHardee'sはコロラドにもボールダーにもないファーストフードのチェーンだ。来てもすぐに廃業になるだろう。

ボールダーなどもハンバーガーは売られている。ボールダー発のチェーンでGood Timesと云うところがあるが、ここのバーガーにも悪いものがあるが、ハーディーズには到底及ばない。ここのビッグ・ダディー・ベーコンチーズバーガーは960カロリーであるが、脂肪は33グラムでモンスターの三分の一だけだ。しかもビーフはColeman のナチュラルビーフだ。パールストリートから少し入ったところにあるが、一度訪ねてみる価値はあろう。もちろん、カロリーや脂肪を減らす意味でベーコンやチーズはないメニューにすることをお奨めする。

Good Times of Boulder

アメリカに来てハンバーガーを食べるのなら、badderからbaddestにいかずに、少しでもgooder, goodestのところに行くべきだろう。そんなときに役に立つのは、アメリカのフランチャイズの大手のカロリーデーターがある下記サイトを訪れ、少しでも情報武装をするべきだ。
脂肪カロリーなどのデーターバンク

ハイブリッド技術は、究極の技術ではないが、現状の最悪の状況から脱出するために経過的な技術と言えるだろう。ハンバーガーについても、モンスターに行くのではなく、努力をしてGood Timesへ行くことによって、少しでも状況を改善していくべきなのかもしれない。人間は一朝一夕に変わらない。意識を高め、行く方向の選択が大事なのだ。Good Timesのボールダー所在地

Friday, November 17, 2006

ファースト・フードとアメリカ

アメリカにおける異常とも言える肥満と成人病などの問題を受けて、ファーストフード業界は、提供するメニューを一層健康的なものにしようと努力し始めている。昨日の発表によれば、メキシコファーストフードのタコ・ベルがトランスファット脂肪使用を取り止めることを発表したところだ。これまで、大手のウェンディーズやKFCがトランスファット使用を取り止めたことになり、最大手のマックドナルドは取りやめの検討をしているとのことだ。スーパーサイズミーと云う映画で、ファーストフードがいかに健康に悪いかを示そうとしているハリウッドであるが、アメリカ人のファーストフード指向はなかなかなくなりそうにもない。

ニューヨークタイムズ紙のベストセラーになったFast Food Nationと云うフィクションが映画化されてアメリカで上映されるようになっている。この映画はEric Schlosser氏の同名の小説が原作であり、アメリカ人のファーストフード好きがいかに健康および社会に影響を与えているかをドラマ化したものらしい。映画を見るまでもないと思うが、要するストーリーは巨大ファーストフード産業がいかに怖いことをしでかしているのか警鐘しているものらしく、この映画を見るとファーストフードは食べたくなるだろうとの書評も読んだ。

ハリウッドは、社会的な責任にかられているのか、最近ではこのような映画を制作するようになってきている。アメリカにおけるひどい食生活と云うことが大きく問題になっているだけに、こういう映画の貢献は計り知れないものがあろう。そういう前向きな活動はあるが、ハリウッドは、その一方でタバコの促進をしているか疑われるようなところや、食品のプレースメントで広告収入を得ていることもあり、必ずしも一体となって動いているとは言えない。しかし、エンターテインメントで取り上げられるとしても、食事の取り方が注目を浴びる効果は否定できないし、アールゴア元副大統領のAn Incovenient Truthが盛り上げた環境問題への関心は大きいので、この映画に続くものがあっても良かろう。

しかし、アメリカの肥満は一朝一夕で解決するものではないだろう。この問題は長い間に形成されたものであり、食生活はそう簡単に変わるものではない。市場調査で有名なNPD Groupは30年以上もの長年にわたってアメリカ人の食事の習慣を追跡してきた会社だが、
彼らの調査結果は驚くものがあり、アメリカの肥満解決は困難だろうと云うことが判る。同社は1976年から毎日3500人に対して外食をしたのかどうか訊いてきたのだと云う。そうしてその際何を注文したか聞き出している。その結果判ったことは、外食した女性が注文したトップ商品はなんとフライドポテト(フレンチフライ)だと云う。外食注文の2番手がハンバーガーであり、3番手はピザと云う。メインディッシュにサラダをとったのは7番手に出てくると云う。

男性は、多少違うが、それにしても大差はない。トップはハンバーガーであり、2番手がフライドポテト、3番手がピザだ。サラダをメインディッシュにするのは10番手と出ている。

ボールダーにいるとこのようなことは考えられないが、たまたま日本へ戻って講演会で話をしたときに、ある女性にボールダーで一般的に人々が食べているのは何ですかと訊かれて返答に困ってしまった。明日もアメリカの食事について書いてみたいが、ボールダーの食事については、徐々に調べて書いていくようにしよう。確かにロハスの人々が朝ご飯に何を食べているのかは、知りたくもなった。

Tuesday, October 24, 2006

進化するロハス基準

ここ数ヶ月アメリカのオーガニック産業で大きな問題として出現をしてきたのは、オーガニックの定義そのものだ。オーガニックの定義の中に、従来だったら考えられなかった、より厳しい基準が求められ始め、活動家たちは、今までのオーガニックを数段厳しいところまで引き上げた。その定義というのは、牛乳の生産に関わる定義の中で、乳牛の扱いがどのようなものかをいうものだった。乳牛が、牛舎に閉じ込められ、牧草地での運動もできず、ただ単に乳牛として機械的に働かされているということが活動家たちの攻撃の矛先になった。大手になってきた、オーガニック牛乳メーカーが、生産効率を求めるが故に、乳牛たちの人道的な扱いを忘れていることへ、活動家たちは怒りを向けた。

かなり前にも書いたが、ホールフーズスーパーが、活ロブスターの販売を中止したということがあった。これもロブスターが非人道的な扱いを受けているとして、人道的な扱いができるようになるまで、販売を取りやめるというのがホールフーズの立場だ。水槽で動きを制限されているロブスターを見ていて、ビーガンであるホールフーズのジョンマッキー社長は何かを感じたのだろう。

日本の捕鯨問題にしても、日本不買運動まで行ってしまったアメリカ人活動家。ツナ缶にしてもマグロの捕獲のときに一緒に捕獲されるイルカを守る方式をとらない漁業をしているメーカーのボイコットなど、事例が事欠かない。また、発展途上国の社会ピラミッドの最下層にある農業生産関係の人々、(例えばコーヒー豆などのピッカーたち)の救済を求めるフェアトレードなどなどこれまで、一部の先鋭的な活動家の活動目標だったようなことが、どうでも良いではないかということが徐々に大手リテーラーが無視し得なくなるような事態となってきている。もちろん、どうでも良くないのだが、日本の消費者だったら、これが大手の販売政策にまで影響するような事態には持っていくとは考えにくい。消費者も冷めているのかもしれない。

ただ、どちらが仕掛けているのか判らなくなる事態をニューヨークタイムズは報道している。つまり、その先鋭的な活動家のテーマをちゃっかり借用してホールフーズは人道的に飼育された家畜であることを積極的にラベルで打ち出している。そのために他のディストリビューターやリテーラーとの違いを打ち出し、プレミアムを付けて豚肉や鶏肉を売り始めているという。殺されるのは殺されるのだが、人道的に飼育されたことが消費者の間で付加価値になってきているのだ。

確かにストレス下で飼育された動物を食するのはどのようなものか、今まで考えても見なかったことだが、それが一つの社会価値観になりつつあるのだろう。ロハスは人間だけの基準ではなくなるのだろうか?いろいろと考えさせられるものは多い。

Sunday, October 22, 2006

肥満抑止運動に動き始めたディズニー




世界保険機構(WHO)が最近発表した統計によると世界で栄養失調になっている人は60億人のうちの約8億人にも及ぶという。しかし、もっと驚くのは、反対の肥満の人の数が、栄養失調の人々の数字を凌駕して10億人以上になると云う。まさに世界人口の6人の内の一人が肥満ということになる。アメリカの数字は、その中でも突出していることは述べるまでもない。

そんな中で、エンターテインメントの大手であるディズニーがテーマパークで販売する食品の健康的な度合いを増やすことを発表している。トランスファット脂肪を使った食品をテーマパークで販売中止をするというものだ。しかも、徐々にキャラクター使用権についても不健康な子供食品については廃止をしていく旨発表している。



アメリカ人口の肥満の状況があまりにも危機的な状況になっているので、ディズニーの動きは注目に値する。もちろんディズニーだけなら、全体へ与える影響は限られているが、ディズニーが動いていくことで、サプライヤーもこの事態を無視できない状況が強くなることが予想される。ディズニー社は、現在の動きについては、段階的な導入を望んでいる訳だが、もっとも厳しいのはディズニーチャネルなどを運営していく中で既存の広告主の商品をすべて無視していくことは難しく、健康食の導入は徐々に展開されなければならない。経済的に成り立ってはじめて企業としても動かざるを得ない状況となろう。現にこの発表後、ディズニーの株価は下降した。市場は、そんなに簡単なことだとは考えてくれていない証拠だ。

しかい、ロハスは少しずつ動き始めている。ウォールマートが有機のビジネスを展開したり、ディズニーが健康食を推進し始めていることに対して懐疑的な人もいよう。しかし、今後は、このような視点を持った企業が増え始めると、英語で言うところのティッピング・ポイント、つまり潮が逆流をするときが近づいていることが出ていると言えよう。少なくとも健康派が主流になっていく時期が近づいていることを示している。

どちらかというと、健全な食事をはじめてきていたのは、知的層であったと言える。これまでは自分たちの問題だけを考えておけば良かったのだが、肥満は、健康保険料率にも影響を及び始めさせ、全体に対しても無視できない状況になったことを示している。まさに環境と同じだ。自分だけ良ければという発想は成り立たなくなってくるだろう。市場に悪者ととらえられるか、時代を先取りした会社としてみられるか、今後も多くの企業が悩んで上に、転換を初めていくだろう。会社だけの利益を追求する時代は終わってきている。そんなことをボールダーで考えてみた。

Friday, October 06, 2006

有機食品基準で泣き言を言う大企業


ビジネスウィーク誌の10月16日号はThe Organic Mythと云うタイトルで有機産品市場が揺れていることを伝えている。これまで何回にわたってウォールマートの記事で伝えてきたように、有機農産物が大手によって主流になってくるとどうしても有機農産物の供給が追いつかない現象があると云う点だ。ただ、記事の取り上げられ方は、有機農産物の定義は守りきれなくなるだろうと云うトーンにはいささかうんざりする。

確かに、有機農業と云うのは、これまで小規模のところが、心を込めて丁寧に仕事をしてきたところだ。そこに大手が入ってくると、大手なりの考えが発生して、独立系のオーガニックファームのやり方ではついていけないことが出ている事象も多くあるだろう。しかも大企業の論理や、投資家との関連で従来型の投資利益率を求める大手企業が出てくることは致し方ない。そのような過程で真剣にオーガニックを追求していた農家や企業が、一部において妥協をすることもあり得る。

ボールダーにおけるオーガニック産業アクティビストと話をしていると、ナチュラルとオーガニックの需要が大きくなってきたことを歓迎するとともに、小規模生産者と大規模生産者との調整が今後の大きな課題と見ている。オーガニックミルクの需給がバランスとれなくなり、供給が追いつかない現象が比較的長いこと続いている。その背景にあるのは、大規模生産者が、オーガニック認定を受けるためには、牛舎をはじめとして、飼料の調達、生産設備の新規増設など大幅な転換を試みなければいけないことと、乳牛のサイクルが生まれ変わったりしなければいけないと云う相当な圧力がかかっているからに他ならない。需給関係がバランスをしていないのは、転換をするにもこのような変更は時間とカネがかかると云うことが大きい。

このような移行期にいろいろと問題が発生することは当然考えられる。すべてが簡単に移行をしたのなら誰でも前からやったはずだ。このオーガニック農業がいかに大変かと云う点は十分承知をしているものの、オーガニックでないものを放置していく社会コスト、環境コスト、健康コストなどを考えていくと、この改革の流れを止まらせると云うよりは、大規模生産者の体質改善を徐々に行っていく心のゆとりが必要だ。金銭的なリターンだけを求めて、ルールの根本を変えると云うことになれば、地球温暖化は不可能だからといって諦めるのに等しい。

ボールダーの多くの心あるロハス的な人々は、長期的な目での変更を求めていると思う。そう、Naturally Boulderと云う会合が、今月の19日と20日に開催される。日本からもソトコトの編集部の人も来られる。より多くのまともな人たちの意見が、ビジネスウィーク誌などの出版物のトーンを変えさせるようにしてほしい。

Monday, October 02, 2006

ウォールマートが動くとき(4)

これまでウォールマートのグリーン化についてとても前向きなリポートを書いてきた。しかし、ウォールマートは引き続き労働組合やインテリ・リベラル層には毛嫌いされているところも多い。

今回はニューヨークタイムズの記事だが、ウォールマートがフルタイムを減らし、パート比率を現在の20%から40%に引き上げようとしていること、賃金に上限をつけようとしていることが非難の対象になっている。ウォールマートは、小売業界の中でも低賃金で知られ、医療費負担をしないためにいろいろと画策してきたことが暴かれている。不法移民を雇い入れ、夜中の清掃などを缶詰のような状況でさせていたと云うことで大きな非難を受けたりしている。

この従業員を扱う態度についてはロハスの世界では知られたホールフーズが対照的なので、機会があれば紹介をしてみたい。全世界の従業員数が180万人という巨大戦艦がグリーン化をする点は大いに評価し、今後の社会のよい方向での変貌に期待はするものの、株主だけに向けた目は、あまりロハスの根本精神をトップが理解していないと云えるだろう。人件費、オペレーションコストなどをどのようにみていくか、管理者の大いなる仕事だが、従業員の犠牲で成り立つと云うことであれば、かなり大きな問題と云わざるを得ない。この辺りについても、少し目を向けたいところだ。

ボールダーで懐疑的にみられるウォールマート。ロハスだと云うことが社会的に認められなかったら、この街への進出はまずはあり得ない。ボールダーの人は良くて安ければ、という視点だけで買う姿勢を持っている人は少ない。そのロハス的な発想はボールダー特有のものと云えよう。

Friday, September 29, 2006

ウォールマートが動くとき(3)

ウォールマートは慈善事業や利益を度外視してグリーン化を進めているのではない。冷徹に言えば、市場で追求をしても十分に利益をあげられることが判明をしてきていることがあげられるだろう。リサイクルを行なったり、燃費の良い車両を使うことでもかなりのコスト節減にもなることもある。二酸化炭素の削減達成率が高ければ、現在検討されている、二酸化炭素削減クレジット交換にも使え、削減を達成できていないところにもその余分クレジットを販売できるだろうと目論んでいるようだ。そのために二酸化炭素削減計画をビジネスモデルの中にも組むはじめている。

魚介類の販売についても、サステイナブルな捕獲方式の認定があるサプライヤーに限定をしているのは、乱獲をして行ったらいつしか捕獲する魚介類が減少し始めるだろうと云う純然たる経済的な意義で考えてのことだ。

ウォールマートは14ものsustainable value networksなる作業グループを設立している。この構成員には、社員だけでなく、サプライヤーと環境グループの人も交じって作業をしている。このグループは、いかにして環境に最少限に被害あるいは無被害で商品を手に入れることができるか常に検討をしている。この作業検討グループを通じて、かなりの外部のサプライヤーの下部組織までサステイナブルな行動が定着し始めている。ウォールマートでは、社内の各事業部のどこで環境に被害を与えているのかも検証をしているようだ。そうしてそれらの問題をどのように解決するかが大きな仕事にもなっていく。

日本のスーパーでは考えられないことだが、ウォールマートでは、魚介類の捕獲が乱獲、資源を枯渇させるようになるようなところから購入をしないと云うことを決めたのだそうだ。だから、ウォールマートの商流が激変していると言っても過言ではない。サステイナブル漁業の認定団体であるMarine Stewardship Councilの存在さえ知らなかったサプライヤーは今後はここの団体の認定が必須になるものとは想像もしていなかっただろう。それだけウォールマートは変貌し始めている。

果物や青果物を買うにしても、プラスチックでないビオディグーレダブルなトウモロコシベースのPLA(poly lactic acid)になっているかもしれない。

ウォールマートが展開しているグリーン化はすごい勢いになっていると言えよう。活動的にはこの紙面で語りきれないものを有している。巨人がこのように動き始めると、これまで少数の意識の高い人たちの世界だったサステーナビリティと云う問題が、広く一般に広がりつつある。グリーンウォッシュ(粉飾グリーンとでも訳すか?)と非難されることはあっても、巨人の足跡は無視できるものではないところまで来た。ボールダーでは当然と思われてきた諸策が、主流に乗り始めたと云うことだろう。アメリカのグリーン化はウォールマートの参画で大きく変貌を遂げることは間違いない。

Monday, September 25, 2006

ウォールマートが動くとき(2)

巨大ウォールマートの戦略的なグリーン化方針については、昨日述べたところ。多くの企業がグリーンな方針を打ち出すけれどもその具体策があまりはっきり打ち出されないことも多い。しかし、今回はウォールマートはグリーン施策については公約的なものを出しており、相当注目に値する。市場においてウォールマートの動きをフォローするところも多くあるはずであり、追随するであろう他のスーパーやサプライヤーのメーカーの動きも無視できない。まずウォールマートが公約しているものを列挙してみると次のようなものである:

*まずは、ガソリンの使用を大幅に削減をすること。米国最大規模の輸送トラックフリートを持っているウォールマートは、トラックのハイブリッド化を推進して、3年後には燃料使用効率を25%向上させ、10年後以内には効率改善を倍増させる目標を打ち立てている。これによるコスト節約は、当然現在値での話だが、3億1000万ドルの節約を目論んでいる。

*3−5年以内にMarine Stewardship Councilがサステイナブルと認定をする漁場で捕獲された魚介類だけに(100%)販売を限定していく。これは北米市場を対象にしたものであり、養殖されないサーモンや冷凍魚をも対象としている。世界で魚の漁場がサステインできなくなっていることに対する対応。

*世界中にある7000のウォールマート店舗におけるエネルギーの使用を30%削減をして、既存店における二酸化炭素排出量を7年間で20%削減を使用と云うもの。ウォールマートはちなみにアメリカで民間企業の中では最大のエネルギー消費企業。

*固形廃棄物を米国店舗だけで3年後には25%削減する

*省エネルギー技術のために5億ドル投下をすると発表

*ウォールマートはAuroraコロラド州とMcKinneyテキサス州において環境にやさしい店舗作りの実験を行なっている。この二つの店では、風力発電、駐車場の吸水性アスファルト(地下水に水を戻すための発想)などを含めた実験をしている。これら実験店舗の成果を踏まえ、今後4年の内に、温室効果ガス排出が30%削減される店舗を作り上げようと云う目標を立てている。

*これまで環境グループと距離を置いていたウォールマートだが、積極的に近づくことをして社内プロジェクトの一員的に環境グループと関係強化をしている。

今年の7月のClimate Change DayにAn Inconvenient Truthと云う映画を製作したアールゴア元副大統領をウォールマート本社に招き、映画の試写会を行った。映画が終わった段階で、ウォールマート社員から盛大な拍手が送られた模様。これまで、ウォールマートの真意を測りかねていた疑念懐疑派たちのひとも、ウォールマートが真剣であることを理解し始めている。

ウォールマートの案件はあまりにもインパクトが大きいので明日にさらに、何故ここまでしてこのようなグリーニング化をしているのか引き続き書いていくことにする。まだ、多くのスーパーでの具体的な反応は多くは出ていないが、ウォールマートの動きを恐怖の年を持って見ていることには間違いないはずだ。

ウォールマートが動くとき

公的か民間かを問わず全世界で180万人の従業員を有するウォールマートは世界でも最大規模の会社だ。売り上げもフォーチュンのランキングでは、世界第2位になっている巨大企業だ。自動車の生産・販売で世界ナンバーワンになろうとしているトヨタ自動車の総従業員数が6万6000人(連結企業ベースで29万人弱)だけと云うから、ウォールマートの大きさも推察されよう。日本においても、西友に資本参加するなど、市場参入を図っているところ。日本における戦略は、少し停滞をしているようだが、アメリカでは、ロハスを前面に出すように動き始めているから、今後の成果は楽しみだ。

低価格を前面に出したウォールマートの販売戦略は、多くのリテーラーを恐怖に陥れ、経営的にも揺さぶりをかけると云うことで、多くのコミュニティは、ウォールマートの押しつぶされることを恐れ、市場参入阻止をしている地域も多々とある。ボールダーもその一つの街であり、ウォールマートへの警戒感は強い。しかも今年に入り不法移民の就労などの問題でもウォールマートが標的になり、移民取り締まりの矛先がウォールマートに及んだ事件が発生をした。また、組合の組織化をガントしてはねつける企業姿勢とともに、ウォールマートの労働条件が悪いことも、知的層の人々には受け入れられない要素であるのは事実だ。

守勢に立たされたウォールマートは、企業広報活動を積極的にしていく一方、企業体質とブランドの位置づけを、徐々に変更をしてきている。最近の事例では、ノーブランドの処方薬の販売価格を極端に押し下げ企業イメージ向上に躍起だ。昨年あたりからも、ウォールマートはオーガニックの野菜果物を販売する方針を打ち出していたのも、徐々に巨大リテーラーとしては、大手のスーパーなどに先駆けて地球環境保護を打ち出してきたから他ならない。

一部の人たちは、ウォールマートのこのような動きを彼らに対する批判を牽制するための行動と読んでいるようだ。もちろん、そのようなことが幹部の考えの中にあることは言うまでもないことだろうが、牽制だろうと、PR戦術だろうと、ウォールマートが動き出す効果は計り知れなく大きい。3124億ドルの売り上げがあるウォールマートには、6万社のサプライヤーがいる。ウォールマートはそれらの企業に対してサステイナビリティを実行するように求め始めており、消費者にはグリーンな商品を買うように提案し始めている。ウォールマートは自社の排出する二酸化炭素なども公表し、全世界のオペレーションによって2080万トンの二酸化炭素を排出していることを公にした。このように企業の目がサステイナビリティに向かっていくとなると、その効果も巨大効果に跳ね上がる。短期間においてウォールマートは全世界でオーガニックコットンの最大の購買社になっただけでなく、系列のサムズクラブではフェアトレードのコーヒーを売り始めており、春先に売り始めているオーガニック野菜などは秋にはもっともっと増やす予定だ。また、無駄をなくすために、パッケージングなども小さめのものをサプライヤーに求め始めていると云う。

ウォールマートの行なおうとしている諸活動は多岐にわたっており、明日もその具体的な会社の考えについてまとめてみたい。今日はウォールマートが動き出したと云うことに止め、今後その動きに注目してどのようにアメリカは変わっていくのか見てみることにしたい。いずれにしても、ウォールマートが動くと云うことは、シンボリックな意味だけでなく、ロハスがブールドーザーで押し広げられていく効果に匹敵するものがあるだろう。意識を高めると云うことで、ロハスはエリートと云う考えを払拭してくれるだけでも、もの凄い効果と見なければならない。

Sunday, September 24, 2006

オーガニックワインの強い味方

オーガニックワインは、世界ではまだ主流になっていないが、その販売は徐々に伸びてきている。これまでのオガーニックワインが大幅に成長していなかったのは、技術や伝統のある主流ワイナリーが、どちらかと云うとまだまだ不安定な要素を含んでいるオーガニック葡萄などにどこまで依存し始めて良いのか、決めきれなかったからだと思う。しかも、ワイン愛好家にしても上級ワインでオーガニックの良いものが少ないと云うこともあり、市場全体でのインパクトも比例して少なかったと云える。

しかし、最近では、オーガニック葡萄を使い始めるワイナリーが徐々に増えるに従い、上級志向のものも増え始めているので、勢いが勢いを生んでいる好現象だ。オーガニックワインの定義自体もまだ確定をしているとことには行っていないが、市場が確実に大きくなるに従い、業界内ので調整も進んでくることになろう。

オーガニック葡萄を使うと云う点で素晴らしいことは、土壌を保護して行くと云うことで、葡萄畑の品質の向上はもとより、環境にもすばらしい影響を与えることになろう。しかし除草剤を使えないと云うことになると、人件費やコストが高くつくことになるので、オーガニック葡萄栽培業者にとっては頭痛の種だったであろう。しかも、選挙に向けて不法移民の取り締まりを強化しているアメリカでは、手間ひまのかかる作業は、不法移民のしてきた作業であるために、人手不足になりかなり危機的な状況になっていることだろう。

ロサンゼレスタイムズ紙のJerry Hirsch記者がリポートをするところでは Santa Rita Hills葡萄園農場では、雑草の処理を60センチくらいにしか成長しないBabydolls種の羊に除草作業をさせ始めていると云う。これらの羊は、除草をしてくれるだけでなく、その際に土壌に自然肥料をリサイクルしてくれることになる。コヨーテが羊を何匹かころした事例があるので、現在はコリー犬が羊の保護をしているのだそうだ。Santa Rita Hillsの農園主のPepeさんは、いずれは羊のミルクからできるチーズなども作りたいと云っていると云う。このように循環型の農業ができることは、農薬や殺虫剤を使う必要もなくなるので、地球環境に良いことは言うまでもない。

ボールダーでは、ワインの醸造をする会社はあるが、皆試してみたが、味はまだもう一つと云ったところ。もっとはやく良いワインがコロラドでもできるようになればと思っている。コロラドのワインは成長中だが、ボールダーには結構すごい会社がある。その名をOrganic Vintnersといって、元ハーブティーのセレッシャルシーズニング社や酪農のオーガニックデアリーの社長を経験したBarnet Feinblumさんが世界中のオーガニックワインを取り扱っており、ここをベースにして、欧州、南ア、南米、オーストラリア、アメリカ産などのオーガニックワインの流通の元締めをしており、自社ブランドでもオーガニックワインを持っている。ここのワインには、とても美味しいものが手頃な値段で手に入るようになっている。Barnet Feinblumさんは、彼が世界中から集めたオーガニックワインを日本などにも紹介したいと考えている。アメリカのオーガニックワイン市場が急成長をしているので、日本も早めにその勢いの中に入っておくと良いと感じたりしている。

オーガニック・ビントナーズ(Organic Vintners)

Saturday, September 23, 2006

欧米の超億万長者、政治家と環境

日本でも事業家で大成功をして超お金持ちになっているヒトはいる。しかし、まだ、欧米の金持ちとの精神的な隔たりが何かあるようだ。先日もテレビタレントのオプラのショーを見る機会があったが、そのショーにアメリカで二番目にお金持ちのバフェット氏の孫が出演をしていた。その孫は、祖父には教育費は出してもらったが、その後の財産分与は一切なく、自活するように求められていたと云う。日本のことわざに、かわいい子には旅をさせると云うものがあるが、まさにそれを実行しているような対応だった。財産分与をもらえない孫にどのような気分かとオプラは聞いていたが、孫は、祖父の行動を正当化していたものの、何となくお世辞と云う気がしてならなかった。そのように感じたのは物質的になってしまっている自分の問題か、自分の中に日本的な伝統で一家を守ろうとする習慣があるのか、このバフェット氏の行動は、正当だと思うと同時に、何となく人間としてそこまで割り切れるのかなと思った次第だ。自分の子孫を守ろうとする前に世の中の善を行なおうとしている欧米人の発想の違いを考えてしまうのだった。

今度は、ヴァージンレコードやヴァージン航空でで財を成した、リチャード・ブランソン氏が、環境慈善活動のために今後10年間に30億ドルを寄付/投下することを発表した。30億ドルと簡単に言っても想像できない数字だ。それを地球環境のために資本投下をすると云うことだ。純然たる寄付とは言っていないが、個人資産を地球温暖化をさせない新しいエネルギー源のために投資をするのだと云う。

この発表を行った催し物は元アメリカ大統領のビルクリントが行なっているClinton Global Initiativeと云う慈善活動会議の席上でだ。ニューヨークで催された会合には、多くの事業家などが出席しており、当然クリントン大統領の下で副大統領だったアルゴーア氏が出席した。アルゴーア氏は、リチャード・ブランストン氏に地球温暖化の問題を得々と説明をして、貴方がやるのでなくして誰がやるのかと説得をしたと云う。

もちろん、このような記者発表を一つの企業の宣伝のように考えることもできようが、アメリカの元大統領と元副大統領がそろって、このような活動を行うこと自体すばらしいものだと思う。日本も政権交代を行なうが、小泉首相が日本の財界のトップにこのような働きかけを行ない、慈善活動ができるようになれば良いと思う。何となく日本の風土にはない活動だが、是非とも日本企業もどんどん見習うべきなのかもしれない。ふと、超億万長者、政治家と環境の問題を考えさせられる出来事だった。タイトルリンクは、クリントのグローバルイニシアチブへリンクしている。

Wednesday, September 20, 2006

ミー・タイムを求める現代女性

先進国ハイストレス社会における母親を含む女性たちのメンタルヘルスは大きな問題だ。好むと好まざると、女性たちの於かれている社会的な環境は厳しく、社会のペースが速くなるにつけてどんどんきつい状況になっている。しかも、以前だったら、大家族制のもとで助けがそばにあったが、最近では本、雑誌やインターネットなどでの情報は氾濫をしているものの、精神的なサポートが足りないと言えるのではなかろうか。

CNNの一部であるHealth.comのEmily Yoffe記者がミー・タイムの重要性についてリポートをしている。ミー・タイムとは何だろうか?文法的にはマイ・タイムなのかもしれないが、ここで意味しているところは、狭義の私「だけ」の時間を強調していることだろう。女性の権利はここ数年で飛躍的に拡大してきていると云われるが、それでも、女性が真に男性と平等になると云う状況にはない。女性として、職場と家庭で、権利を主張し続けても、改善してきていると云っても、女性には男性にも増して負担が被されることが多い。

母性本能のなせる技か、女性はヒトのために献身的に動くことが多い。多くの人の母親を思い起こせば、その献身ぶりが分かると云うもの。しかし、世の中の要求は、社会的なプレッシャー、見栄、子供への教育の欲求、近所付き合いから多方面に厳しさを増す。そのすべてに対応をしていると、一つだけ忘れかけたものが出てくる。それは、自分だけのミー・タイムなのだ。

最近出版された「What Women Really Want」において世論調査専門家で、著者のCelinda Lake と Kellyanne Conwayは、多くの女性が彼女らにかけられる欲求に対して苦悩していることが判明した。彼女らが一番求めているものは「平穏」と「時間」だと云うことも判明している。睡眠ももっと多く取りたいともの調査結果が出ている。

The Families and Work Institute (FWI)と云う団体は、最近の女性と25年前の女性を比べて、最近の女性の方がもっと忙しくなっていると云う調査結果を発表している。そうしてどこでその時間の穴埋めを行なっているかと云うと、自分たちの貴重な時間を削り取っていると云うことだ。心臓内科医のMarianne Legato医師は、ヒトのためばかりにすることがあると、自分がすべてのことを掌握していることにはならない。何かしようとしてもいつでも邪魔ばかりされてしまうのだ。そうなると脳神経は、寝ているときでも休めないことになる。このように恒常的な疲労困憊はストレスホルモンの分泌を促し、血糖値も上昇してしまう。これが、通常の状態になってしまうと糖尿病、心臓病、記憶問題などに問題が波及していく。このように精神的ストレスがピリピリのヒトのホルモン分泌は、ウェストのまわりに脂肪を付着させる結果にもなってしまう。恐ろしいことだ。

今の社会的な枠組みがこのような女性の問題に対して反応する術を持たないことが多い。女性のストレスを解決してあげるような理解とサポート体制も少ないと思う。ロハス的にこれをどのように解決に向かわせるかと云うことだが、そこには新たな基軸でストレスを見直し、周りの人が理解を高めるとともに、女性に大いにミー・タイムを作り上げていくことが重要だろう。ロハスの聖地ボールダーの男性はどうか検証をしている訳ではないが、女性への理解は少しは多いと思う。ここの女性のミー・タイムは、全米での中でどのような位置づけか分からないが、いつか検証をするようにしたい。家内はきっとそれでも少ないと云うだろうが、、、

Tuesday, September 19, 2006

排ガス規制の声高めるアル・ゴーア氏

元大統領候補のアル・ゴーア氏のAn Incovenient Truthと云う映画のことは、これまで何回に分けてかリポートをしてきたが、ここへ来てゴーア氏の主張は一段と声を高め始めている。ニューヨークタイムズ紙が報じるところによると、同氏はニューヨーク大学のロー・スクールにおいて地球温暖化の原因となっている煙突や排気パイプからの排ガスを「即時凍結」する運動を起こすべきだとスピーチをしたようだ。ゴーア氏がこのように過激な立場を取り始めている点については、このような立場を取らない限り、選挙で選ばれた政治家たちは何にもアクションをとらないことを恐れているからだそうだ。ゴーア氏の発言は、核拡散が問題になっていた冷戦構造のときのように、ある意味では「核兵器の即時凍結」を求めるのに匹敵するような危機感を提示したいらしい。

その背景にあるのは、ブッシュ政権を始めとして多くの識者は、理論的な排ガス削減の理屈については話を多くしているが、実際は具体的な活動があまりされていなく、それらの議論が人々に何か行なわれていると云う幻想を抱かせる点で、却ってマイナスだと主張をしている。ブッシュ大統領は、排ガスを抑制して経済に打撃を与えるよりも、将来的に排ガスを全く出さない新しい産業技術に期待をかけていると云える。実際、ホワイトハウスのKristen A. Hellmer報道官は、経済に打撃を与えず、仕事を海外に移転をさせない排ガス抑制策プログラムが60も機能をしていると反論をした。議会や経済界の重鎮などもゴーアしに反発をしているようだ。

この講演会において、必ずしも新しいことではないが、ゴーア氏は源泉徴収税を止め、それに代って二酸化炭素排出を含む公害税を取るようにするべきだとの主張を繰り返した。そうして、ブッシュ大統領が、署名を拒否した京都議定書を調印するようにも求めた。

ゴーア氏のこの講演会は、今週から予定されているいくつかの地球温暖化のイベントに先駆けたシュプレヒコールのような感じだが、多少過激な発言とも受け取れるものを講演した背景が他にもあるだろうと推測される。11月の中間選挙を前に地球温暖化の危機と云う問題で、ブッシュ大統領の反論を出させ、共和党政権の無策ぶりをあぶり出していく戦略ともとれる。いずれにしても、2004年の大統領選挙のときは、環境問題は、テロやその他の保守派の課題に押しつぶされた経緯があり、それを許すまいとの動きだろう。

巨大州カリフォルニアやボールダーのような小さな行政単位での温暖化に反対する動きと、連邦のとろうとしている政策の乖離が、今回11月の選挙でどのようなインパクトを与えるのかが見物だ。

Sunday, September 17, 2006

サン•フラワーマーケットの動向


ボールダーのスーパーマーケットについては、これまでも何回かリポートをしてきた。そうして変化が激しいジャンルなので今後もリポートを続けたいと思っている。その中で、特出してリポートの矛先を向けたい一つの企業はSunflower Farmers Marketだ。この会社を創設したのは、ボールダーのオーガニックスーパーのWildOatsを設立したMike Gilliland氏に他ならない。なぜ注目をするかと云うとワイルドオーツ社を年間売り上げ10億ドルにしてから、会社を売却してしまっていたものが、2002年にSun Flower Marketsを設立して、4年あまりで規模を11店舗、年間売り上げを1億2000万ドルの売り上げを見込む(2006年)無視できない存在になりボールダーに戻ってくることを表明しているからだ。このサンフラワーマーケットが開店する場所は、アラパホー通りとフォルサムと28番が交差する市の中心部になり、近くにはホールフーズ、新たなワイルドオーツの旗艦店などところ狭しと並んでいる地域だからだ。どのスーパーも負けられない覚悟で規模拡大を狙っているところであり、よほどの差別化要因を打ち立てないと、それぞれの併存が難しいと見られているからだ。

新規店舗は25000平方フィートの床面積と云うことで、ワイルドオーツの旗艦店やホールフーズには劣ることになるが、そこの商売戦略がどこになるのかボールダーのマスコミが注目をしているところ。Gilliland氏は、以前のワイルドオーツ時代の仲間を引き連れてきているし、これまでワイルドオーツがウォールストリートの期待を受けてやりたくない拡販戦略をとらざるを得なかったことで本来自らやりたいと思っていた戦略を邪魔されたと思っているGilliland氏の巻き返し戦略ともとれ、面白い状況が想定される。

今回のBoulder County and Business Report誌の取材を受けて、サンフラワーマーケットが何を狙っているのかが徐々に明らかになってきている。これまでは自分たちのニッチは何なのかを実験してきたと云うが、やっとどのようにしてボールダーに乗り込むことができるのか分かってきたので成長戦略を打ち出すことになったと云う。

サンフラワーマーケットが競合しているのは、ホールフーズやワイルドオーツだけでなく、コンベンショナルなセーフウェーやキングスーパースーパーマーケットであり、ボールダーでは直接競合はしていないがウォールマートも競合相手と見なしている。ウォールマートを敵に回すと云うことになるとかなりの覚悟をしていると見ざるを得ない。新聞広告や店内広告のメッセージは:"Serious food, silly prices," そうして "Better-than-supermarket-quality at better-than-supermarket prices."明らかに価格と品質に重点を置く政策になってきている。店内の什器や飾り付けなどはホールフーズやワイルドオーツとはほど遠い質素なもの。店内には喫茶店などもない。サンフラワーが重点施策にしているのはシンプリシティーだ。ゴタゴタしたものにカネをかけない。

ここの給与体系も珍しい。店舗の純利益の5%は店舗のトップに回ることになっている。その次の10%はアシスタントマネジャー以上の人々で分けられる仕組みになっている。当然幹部の意気込みが断然違う。オーガニック、コンベンショナルの比率も20:80においていると云う。しかも、中間業者を使わずに直接生産者からバルクで買っているだけでなく、支払いサイトは即金だそうだ。もちろん生産者の受けも良く、好条件を出してくれることになり、中間を省いていることから、最近競合相手との青果物や肉類などの価格比較をしたところ、ワイルドオーツよりも32%、ホールフーズよりも28%、しかも価格の王者のウォールマートよりも5%も低かったと豪語している。

オーガニックの割合なども、思ったより少なかったが店舗戦略が明らかになりにつけ、この商法はボールダーで相当受け入れられるだろうと云う気になった。それにしても、ワイルドオーツを巨大企業に押し上げ、その後もう一度ゼロから出発して戦略を立て始めているその実力と執念には驚くべきものがある。ボールダーでは大いに期待をしたいところ。今後もその他のスーパーの動きに合わせて報告するようにしよう。

Friday, September 15, 2006

果敢な省エネ政策をとるカリフォルニア



今日はNew York Times紙のFelicity Barrineger記者のカリフォルニア省エネリポートをご紹介しよう。カリフォルニアのことなのに、ニューヨークタイムズ紙が力を入れて、紹介していることに注目してみたい。アメリカの各州のエネルギ動向などのチャートもふんだんにあるので、関心のある方は是非参考にしていただきたい。

アメリカは合衆国であり連邦政府を持っているのに対して、最大州とはいえ、カリフォルニアは非常に環境に前向きな姿勢を見せてきた州である。しかも、カリフォルニア州だけの成果に止まらず、全米あるいは、世界にもインパクトを与えるような施策をとってきた。その一つの例が、70年代に自動車の排ガス規制を強化させるきっかけとなった触媒などの導入などがあげられる。

カリフォルニアがこのように地球温暖化阻止に力を入れているのには訳がある。もちろん、加州を一つの国だと想定すると、二酸化炭素排出にレベルでは、世界で12位の国なってしまうことだ。しかも、現在の加州の二酸化炭素の排出量だけで見ても全世界の2.5%も排出していることになる。地球の温暖化の直接の被害も受けている。つまり、今年の夏のヒートウェーブで140人もの人がヒートで死んだと云う。この傾向がどんどん増えていけば、2100年には今の5倍以上の人が死ぬだろうとの予測もある。

カリフォルニアは多方面で、省エネ関係の施策をとり始めている。今までは、洗濯機、冷蔵庫、クーラーなどの家庭電化製品の省エネを指導してきたが、最近で細かいところでは、コンピューターや携帯電話の充電器、ひいてやテレビなどのリモートなどについても節電対策を求め始めている。しかも、この記事の冒頭にでているのは、確かに一人当たりでの電力消費は30年間ほぼ同じ水準と言う立派な実行力を見せているのにも関わらず、人口増大のために電力需要増加があるのも事実であるが、安易に電力会社が脅かしをかけても電力を簡単に購入するつもりがないことを表明している。もちろん、このことによりビジネス業界の中には、カリフォルニアの公共料金が引き上がるだろうとの予測を建て、それが他州からの企業直接投資に悪い影響を及ぼすだろうと脅かしをかけている。

カリフォルニアは2012年からはすべての新築の家はソーラーパネル発電を法制化するなど、着実に地球温暖化を抑制する方向性を打ち出している。一部の学者などは、この省エネ対策を押し広めることよって、代替エネルギ関連のコストは引き下がり、新たな産業が生まれてくるだろうと見ているようだ。こうなってくると、カリフォルニアでの実験が全米へ着実に伝播をしていくことになろう。もはや連邦政府の新たな政策を待つことなく、カリフォルニアのリーダーシップで、アメリカの省エネ活動は広まっていくことだろう。

この記事ではModestoのトヨタ社のディーラーの話が紹介されている。昨年は毎月260台くらいのクルマを販売していたようだが、今年は月販400台に上がっていると云う。しかも、下取りに持ってこられるクルマは、この記事の場合はフォードのSUVだったりすると云う。下取りに出されたフォード車はかなりの値引きをしても中古車でさばけなくなっていると云う。カリフォルニアは、全米でのプリウスの販売の4分の1を占めているとのことであり、省エネについては先端的なカリフォルニア州に大いに注目をしていきたい。

コロラド州の知事選挙は今年の11月に行なわれるが、民主党候補は省エネの施策を打ち出している。ボールダー市が小型車促進の市政策を打ち出そうとしているところでもあり、この辺りのことを引き続き探っていくことにしよう。ロハスのライフスタイルは、物質的なものの考え方を促してくれる。地球環境を守りながら生活するための、要件とは何なのか、最近の議論は大いに考えさせられるものがある。

Wednesday, September 13, 2006

骨皮筋だけのモデルさんは、モデル業御法度


ファッション・モデルはいつ頃からあのように痩せてきたのか分からないが、60年代のTwiggyが始まりだったのだろうか?ファッションには詳しくないので、そこまでコメントをするともりもないが、この2ー30年は痩せ形でないとモデルとしては売れない傾向が強まったことは確かだ。ファッションモデルではないが、ダイアナ妃などに見られるように身体のラインを守ると云うことでanorexia(拒食症)になった事例に始まり、最近のハリウッドのセレブたちも骨皮筋だけの体型になってきていると言えよう。

肥満が増えている中で、痩せていること自体問題ではないのだろうが、不健康な痩せ方になってくると、そうしてこのように若い人のあこがれの対象になるようなことになると、病的なほど痩せているモデルをそのまま放置しておけないと云う運動がヨーロッパで始まった。Reuters通信社のニュースをCNNが報道している。この報道ではマドリッド市政庁が、トップモデルが病的に痩せていることは、マドリッドの若い女性の価値基準を間違ったものにしてしまうと云う理由で、体重がある一定以下のトップモデルを出演禁止する処置にでると発表。しかも、市の衛生関係担当者の人がショーの開催日にモデルの肥満度検査をすることになったと云うことでモデルエージェンシーなどが大きく反発をしている。モデルの検査をする基準は、Body Masss Index つまり体格指数、肥満度指数◆体重(kg)÷(身長(m)の2乗)を使うのだそうだ。20から24が標準的とされる。果たしてこのモデルたちはどのようなレベルなのだろうか?

モデルエージェンシーは、これは人を体格係数で差別することだと云うことで、デザイナーの自由やモデルの自由を束縛するものだと云うが、マドリッドの市政庁は、あくまで若年者への悪影響と云う点を楯にガンと引かない。これを受けて、ファッションの大中心であるミラノの市長も同様の処置をとると云うことを表明しており、この問題はどのように行くのか面白くなりそうだ。トップエージェンシーとしても、稼ぎ頭の女性たちが規制されたらアガッタリなので困っていることだろう。でも、どうも市政庁の動きをサポートする人たちも多いようだ。

現実離れをした体型の人がモデルをすると云うことで、それを見る若い女性はどうしてもそのような体型に憧れ、食は乱れたりするのだろう。ファッション雑誌などを見ていると確かに病的な人が多く写っていることは事実であり、それがファッションなのかと見ていたが、やはり、社会的にも影響力の大きなトップモデルの身体の形状が、多くの若年層にネガティブな影響を与えていると云うことで、見過ごすことはできないとの判断になったものと思う。

果たしてこのようなことを市政庁が決めるべきかどうか分からないが、ファッション業界が自らの健康基準を作らずにいることに、社会が反発し始めたと云うのも理解できないでもない。若い女の子の親たちも喜んでいることだろう。でも、ファッション界はマドリッドだけではないので、全世界が対象なので、この影響がどこまで及ぶものなのか見てみたい。

ボールダーにも痩せた女性は見ることは多いが、とても健康的なイメージの方が先に立つ気がする。夜中過ぎに出歩けば事情は違うかもしれない。しかし、何と言っても拒食症が、肥満と並んで問題になっていることが今回の大きな動きに発展している。ロハス的な美形と云うものはどのような定義なのだろうか?ちょっと検討をしてみたくなった。

Tuesday, September 12, 2006

格差あるアメリカの寿命(八つのアメリカ)


アメリカは大きな大陸だ。そうしてそこに住む人たちも多種多様だ。人種のるつぼと云われたり、るつぼではなくサラダボウルのように違ったものが寄せ集まった国とも表現されている。軍事大国であり、月に人を送り出せるような技術を持っている経済技術大国だ。多くのノーベル賞科学者を出す研究大国だ。しかも先進国の中ではただ一国人口的にも増大をしている国だ。人口増大の大きな原因が移民の増大と云うことも含んでいるが、それにしてもこの国の魅力は、衰えることを知らないらしい。

あまりにも大きいこの国の実態を見ていくと、アメリカとはモザイク模様のような格差のある国だと云うことが分かってくる。ハーバード大学を中心とした7人の学者が、アメリカの諸々の人口、出身人種、所得、居住地域の人口密度、殺人ケースや寿命統計などから、アメリカを特性のあるグループに分類をしてみたとき、アメリカは八つの特異なグループに分けられることが判明したと云う。その八つのグループとは、アジア人、北部低所得農村部白人、ミドル・アメリカ、アパラチア・ミシシッピー渓谷低所得者白人、西部ネイティブアメリカン、黒人ミドルアメリカ、低所得者南部農村部黒人、ハイリスク都市部黒人などがそのようになっているようだ。

長い間にわたって、アメリカの人種間においては寿命には大きな格差があるだろうと云うことが云われていたので、今回の検証は、地域、所得、人種、犯罪などの特性によって格差が厳然としてあると云うことが証明された。もちろん、健康の不均衡がタバコ、アルコール、や肥満などでどのように差が出てきているか迄は調べられていない。もちろん、きちんとした医療設備やスタッフの有無と云うことも、どのような差につながるのかも分かっていないのが現実だ。

格差の事例として、2001年のデーターとしては、ハイリスク都市部黒人とアジア人女性を比べてみると平均寿命は何と21年もの違いがあった。ネイティブアメリカンや黒人などの平均寿命が極めて低いことが判明したのは、社会的弱者の問題を浮き彫りにした事例と云っても良い。その他、アジア人の寿命が高いことは、理由までは述べていないが、教育レベルなどの原因なども考えられよう。

以前も書いたが、ナチュラルフーズのホールフーズスーパーが店舗拠点を検討をする時に、プライオリティ付けをするのはそれらカウンティーの教育水準を見ていくのだと云う。つまり教育水準が高ければ、所得も高く、健康意識や環境意識についてレベルが進んでいるとの判断があるものだと思う。地図を見ていただくと、コロラド地域の平均寿命は相当高い。今回は細かい数字は検証していないが当然ボールダーのようなロハス的な地域は、健康指数や寿命などでもダントツに良いのだろう。

格差の数字がでてきたのは良いとしても、それを是正するような、施策がとられることを願っている。このような寿命研究はマーケティングなどでも大きな意味を持っているのであり、民間企業は大いに利用をするべきだが、政府としては格差が広がらないように何らかの対策も必要としているだろう。

Sunday, September 10, 2006

ファースト・フードからファースト・シャワー

今日はロサンゼレスタイムズ紙のKimi Yoshino記者がリポートをするあまりロハスでない話題を一つ。ヨシノ記者は、面白い傾向に注目してリポートをしてくれている。内容は、アメリカの高級ホテルが改装をする際に、浴槽のあるバスからより高級なシャワーだけに絞ったバスルームに転換をしていると云う。アメリカのホテル宿泊客が、浴槽につかって「風呂」に入るのではなく、より速い時間でシャワーで済ましてしまっていると云う傾向が強くなっているからだと云う。

その理由の最大手は、もちろんバスタブにお湯がたまる時間さえ惜しいのだろう。速く簡便に済ませたい気持ちからシャワーになっているのが事実のようだ。ただし、その他の理由としては、バスタブをどのように掃除したのかも分からなく、他人と共有する空間では、バスタブに入りたくないと云う衛生的な側面の理由もあるようだ。記事には書いていないがホテル側にしたって、バスタブの掃除は時間がかかりコスト高になっていると云う理由も考えられよう。

この写真は、LATの写真(Glenn Koenig撮影)だがビバリーヒルズのヒルトンホテルのシャワーのようだ。写真に写っているのはHilton President Matthew Hart氏。高級ビジネスホテルでのバスタブの利用が減っている一方で、ヒーリングの里のようなところの湯船につかった安らぎを得ているところもある。そちらはロハス的であり、今後もリポートをするつもりでいるが、シャワーだけで済ましてしまう点には少し寂しい気がする。

ファーストフードと同じであり、時間を節約するために短時間で何でもかんでも済ましてしまうやり方には抵抗を感じる。この時間に迫られて生活しているところがあるからこそ、アメリカのロハスニーズも高まったと云えるのだろうか?どうもそのような感じがしてならない。このシャワーはKohler社の上級シャワーユニットだが、もうこうなると、シャワーで身体をきれいにすると云うことを超えてしまい、滝にうたれて修行をする行者のようなものだ。The BodySpa eight-jet towerはヒーリングやマッサージをするためのような機能も付け加わっていると思う。資源とカネをかけないでやれるやり方があれば最高だろう。日本的なお風呂の入り方のように、風呂桶の水を取り替えないで水資源を大事にしていく姿勢は今後重要になろう。ロハスのメッカであるボールダーで日本的なお風呂屋さんあるいはソーラーエナジーなどで温泉事業を展開したら、すごい繁盛をすると思うのだが誰かやりたい人はいないだろうか?それだったらお手伝いは喜んでするつもりはある。

Saturday, September 09, 2006

変わるアメリカのクルマ文化



70年代の2回のオイルショック後、一時アメリカは小型車開発に力を入れた時期があった。80年代の半ば頃にキャディラックの出来の悪いシマロンなどの小型車などを出したときがそのころだ。その当時の日本やアジア中心国からの競争で、アメリカは相当苦労していた時代だ。議会はいろいろな反日規制法案をちらつかせながら、日本に政治的に圧力をかけ、日本のメーカーの対米進出を促す結果となった。アメリカは日本の鉄鋼、テレビ、半導体、クルマなどで相当叩かれ、日本のバブル絶好調のときだ。日本の企業のアメリカ企業を買収したりしたのもこのころだった。しかし、日本のバブルがはじけ、アメリカ自身の経済再生が行なわれた段階では、今度はアメリカが、長期間にわたって経済的に潤い始めるようになる。アメリカの小型車開発は徐々に姿を消し、海外メーカーのOEMで済ませるようになってしまい、自らは大型、多目的、安全、居住空間、(ごく最近までは)7人乗りと云う大型車全盛を思わせる時代が到来をした。小型車は売れなくとも利益率の高い大型車が売れていたために、アメリカは下からの攻撃に注意を向けなくなり、油断をした。

しかし、日本が一時的に経済的に停滞し、潜んでいる間でも、日本に変わる世界の工場として中国などが出現をした。また、これまでは経済的にテークオフできないでいたインドなどもソフトウェアやシステムと云う点から力をつけ始め、無視できない経済大国になってきている。その経済力は、当然消費市場としても大きな力をつけ始め、世界の石油需給動向でさえ大きく変わってきた。これまで、どの先進国の中で最も相対的に安いエネルギーコストを享受してきたアメリカは、省エネを怠り、世界人口の5%が、世界の二酸化炭素排出の25%と云うアンバランスを生み出す結果となった。これを急激に変えることはライフスタイルを大きく変えざるを得ず、アメリカのエネルギインフラの変更苦悩は始まっている。

アメリカのビッグ3は、高ガソリン価格により、はじめて自らの消費浪費姿勢の見直しを迫られている。高利益率の大型車重視政策が突然に売れなくなり、昨年は工場稼働率維持のためにビッグ3は、従業員価格で売ると云うすごい値引き作戦で市場回復などを達成して乗り切ろうとしたが、結果的には大変な経営負担になってしまい、今は身動きとれない感じだ。今秋にブッシュ大統領がデトロイトに赴いたのにも関わらず、フォード会長に面談せずに、面談は11月の中間選挙後に延期と云うことで逃げられてしまった。ブッシュ大統領がデトロイトに行ったにもかかわらず、GMのワゴナー会長にも面談せず、フォード会長をも避けたことの意味は大きい。

これに前後して、トヨタ自動車がミシガン州のアンアーバー南に追加的な研究施設投資を行なうと発表している。トヨタ自動車も、最量販車のカムリにも2007モデルからハイブリッド投入。本田技研は、この春に近々に6番目の北米での工場を建設する旨発表している。その工場は、ハイブリッド専用工場になることが見込まれているようだ。


フォードやGMはエタノール車の大幅導入、新規ハイブリッドの投入、そうして、消費者を引き戻すためにクルマの保証期間を延長する方針を打ち出したところ。フォードは以前に買収していた欧州の高級ブランドを手放す噂も流れるなど、体制を回復するのに躍起だ。フォード会長はCEO職を、ボーイング社からスカウトしてきた人に移譲している。

報道によると、メキシコ湾岸に新規に油田が発見され、その確認埋蔵量だけ見ても、現行のアメリカの石油埋蔵量を50%近く引き上げるものだと云う。しかし、この油田が開発され、石油が掘削され始めるのはまだまだ先のことであり、その間に、中国、インド、東ヨーロッパなどの自動車市場の発展で石油事情がさらに逼迫することも予想されよう。アメリカの自動車メーカーは、資金も厳しくなり、商品群的に市場が求めるものを十分に持っていないこと、中古車価格維持を怠ってきたことから、急激に売り上げを高めることは考えにくい。かなり辛いところにあるのだ。


日本の自動車メーカーあるいは韓国自動車メーカーの躍進により、前と比べて大きく変わった点は、燃費と云う基準がクルマを見る上で重要な指標になってきていることだ。クルマに頼るライフスタイルそのものが、ガソリンの高価格が定着していくだろうと云う考えと、地球温暖化などが是正されなければいけないと云うグリーンの勢いが増してきていると思えてならない。大型車に乗っている人は、ガソリンスタンドで、今までは成功した富の証のように思っていたクルマだったものが、ガス・ガズラーの象徴と見られ、気まずい思いをしていることだろう。最も一部の金持ちは、そんなことを意識していないだろうが、社会の勢いとしては、何が善で何が悪かの判断の尺度は少しずつ変わってきていると思えてならない。ボールダーにおいて小型車推進プログラムが検討されていることをすでに書いた。このロハスの街がどのようなアクションを続けて出してくるかは今後の楽しみの一つだ。他のアメリカの街に比べてロハス度が高いだけに、面白い変化になることだけは違いないだろう。

Thursday, September 07, 2006

アスリートのためのカロリー・スキャナー


昨日は栄養指数を星の数で表示するスーパーの話を書いた。これは分かりやすく可愛いと思った。今日は、ボールダーの会社でTraining Peaks LLCと云う会社をご紹介したい。もちろん対象マーケットは、まだ一般の消費者ではないので、このデーターの表示の仕方があまりにも過激なので自分としてはついていけないもの。しかし、行なおうとしている仕組みは、他のアプリケーションは大いに伸びていくだろう。



Training Peaksのソフトがすることと云えば、吸収した栄養とトレーニングのデーターを合体させ、より統合的なトレーニングを実行するのに役立てようとするもの。もちろん耐久レースのアスリートやコーチにとってはどのようなトレーニングをするかと云うことだけでなく、栄養とトレーニングの分析を行なうことが不可欠になる。

ボールダーに住む4人の耐久レースのアスリートは自分たちのトレーニングをするにあたって、十分にトレーニングの記録と栄養などの記録分析システムがなくて困っていた。そのために1999年に力を合わせてTraining Peaks LLC社を打ち上げた。これによってランナー、サイクリスト、マウンテン売価ー、トライアスロンアスリートなどが更なるパーフォーマンスを達成するべくモニターしたり、計測したり、分析したりする仕組みを作り上げた。

会社を創業した4人は Joe Friel, Dirk Friel, Gear Fisher および Donavon Guyotだが、すべてホームオフィスから仕事をしている。驚くことに、彼らが販売するソフト料金は、月額19.95ドルから年額119ドルまである。現在のアカウント数は5万件を超え実際の訓練ログは1100万件を超えていると云う。これだけの記録が集まってくると、耐久アスリートの運動生理学のデーターとしては世界でも最大級のものになってくる。このデーターは Garmin, Polar と Timexなどのハードウェアーと共有できる。

同社が導入した新事業と云うのがCalorie Scannerであり、写真にも見られるように、キーチェーンにでもつけて持ち歩くことができて、500,000 UPCバーコードを認識するだけでなく、ブランド食品のバーコード50,000件を認識すると云う。今秋からNutri Peaksという新しいオンライン事業となる。この事業は栄養士と患者が共同で使う仕組みに仕立て上がっていくだろうとみられている。ダイエットと云う新規分野の事業開拓が可能になる訳だ。

もちろん加工食品のバーコードを読み込んで、ダイエットもできるだろうが、このように最先端を行く技術を使い、耐久力を引き上げる努力したり、ダイエットをしたりする点については、ロハスの観点から何か抵抗を感じる。糖尿などの病気の人が、体重を減らす努力をしている時には当然あってしかるべきシステムかも知れないが、何となく科学の行き過ぎを感じてしまう。ただ、技術が進むことによって、従来は一部の最先端にいる人のためのものだったのが、技術の改良と一般化によって、普通の人も使えるようになるかも知れない。自転車ロードレースのツール・ド・フランスのように、あまりにも過激になり過ぎるのは、人間の性なのだろうか?自分の人生ステージが円熟したからかも知れないが、味気ない感じがする。

Wednesday, September 06, 2006

栄養指数の表示で頑張るスーパー



スーパーへ買い物に行くといくらショッピングリストを持っていったとしても、ついつい要らないモノまで買ってしまう。スーパーは消費社行動を研究し尽くし商品などを売りやすいように動かしては、また動かしていく。スーパーとしてはもっと余計に売るための行動なのだ。棚での陳列は、まさに一つのたゆまぬ消費行動研究の成果だ。

AP通信のCandice Choiがニューイングランド一帯に商権を展開しているHannaford Bros. Co.の面白い販売の実態を報道している。AP通信社伝なので多くの新聞に掲載されていると思うので、出所だけ明らかにしておこう。Hannaford社は、東海岸を中心に約150店舗の店を展開しているスーパーのグループ。同社は、より大きな小売店チェーンのDelhaize America傘下の一員だそうだ。



Hannafordスーパーは、商品の購入の際に迷ってしまう消費者を助けるために、栄養価指数をベースに食品の値段タグに星印をつけてどれがより健康的なのかという簡単に判別できる仕組みを作り上げている。食品のデーターについては、ラベルについているそれぞれのデーターを使って身体に良いものを評価してくれている。星数が多ければ、さらに健康的だというシステムだ。消費者はこれで、二つの似たような商品を手にしたとき、多分星数で品物を選ぶような仕組みになっていくことだろう。Hannaford社が独自に行なっている、ランキングについて買い物客に訊いたところ8割の人が参考にしていると云う。

ただ、ここでは、カロリー数を加味した計算をするのでなく、食品の構成要素を吟味した上でビタミン、ミネラル、食物繊維、全粒粉などはプラス要因、トランス脂肪、飽和脂肪、コレステロール、追加的ナトリウーム、追加的砂糖などはマイナス要因と判断され、それによってスターの数が決まるという訳だ。すばらしいと思うのは、Hannaford社には著名な科学者を顧問として雇い、いろいろとアドバイスを得ていると云うことだ。このようにきちんと理論構築できていると云うことで、消費者も安心をして買い物ができるだろう。

このようなガイド的な仕組みは、これまでも一部の上級スーパーではあったようだ。しかし、この方向は次第に勢いをつけ始めており、アメリカの Food Marketing Instituteの最新のアンケート調査によると、スーパー全体の中で2004年の67%から2005年には72%のところが何らかの指数を使うようになったようだ。ただ、Hannaford社のように体系的なものはまだ数が少ないだろう。

Texas州のUnited Supermarketsにおいては心臓機能に良い食品を赤札で表示し、糖尿病に良いものは紫色のタグを使って識別をしているようだ。

これまでの加工食品の販売は、テレビなどの大量マス広告で販売を上げるような手もあっただろう。しかし、有機食品や健康食品が氾濫をしてくると競争にさらされている小売りの次元でもこのように消費者側にたって行動を起こし始めている。ボールダーなどはまさにこの点で、最も健康指標ベースの競争が激化しているところであり、引き続きリポートをしてみたい。

老年性認知正予防にジュースを飲もう


日本では果物全体の価格は相対的に高いが、その果物をいっぱい食べたり、ジュースにして飲んだりすると老年性認知症になりにくいと云う研究成果が、Nashville, TennにあるVanderbilt University Medical CenterのDr. Qi Dai によって発表された。認知症をなくすことはできないとしても、発病時期を遅らせることができると云うすばらしい研究成果だ。つまり、搾り立てのジュースを週に3回くらい飲むだけで、認知症になりにくいという訳だから、きちんと実践するべきだろう。

カナダの統計によると65歳の人口の10%ほどのヒトが認知症にかかっていると云う。この病気では、徐々に記憶が消失していき、行動が変化し出し、認知症に至ると云うもの。これによって人々の理解力、思考力、記憶力と意思疎通力が無くなっていく重大な病気だ。
糖尿のときと同じように、認知症により酸素ラジカルが多く発生をするようになり、新陳代謝の家庭で作られた多くの化合品を台無しにすることが多い。

最近、カリフォルニアの研究者たちは認知症は老化現象の一つだという結論を見出している。つまり、脳の活性酸素という毒を清浄する能力が衰えてくるのだと云う。これを防止するのは、anti-oxidants酸化防止剤などを利用することが必要なのだそうだ。

Qi Dai 教授の研究は、日本人とアメリカに居る日系アメリカ人の比較対象を行なったようだ。こうすることによって、食事やライフスタイルの違いから、発病の要因を浮かび上がらせることができるからだ。ジュースを毎週3杯以上飲むヒトたちと、いっぱいしか飲まないヒトの発病率の差は76%も低かったと云う。そのためにフルーツや野菜のジュースが極めて重要な鍵を握っていると想定されている訳だ。ビタミンをとったからという違いはあまり大きくないらしい。

ロハスと云う観点で言えば、生活の差、生き甲斐、教育のバックグランド、ストレス、高年齢になったときの脳機能の使う環境、家族との接点の違いなど、必ずしも、ジュースだけの違いでそうなっているとは思えないところもある。しかしながら、もし、にたような環境のヒトの中での差が出てくるのであれば、果物や野菜のジュースは飲むべきだろう。英語で言うところのto err on the safer sideつまり、間違うのであれば、安全な方に賭けをすると云うことになろうか。

人々の平均寿命が高まっている中で、ただ生きているというだけでは困りものだ。ロハス的な生活をするためにはジュースの他に多くの自然とのかかわり合いを持つことで、健康に生きることが重要なのだ。そんな気がしてならない。アメリカのジュースの方が安いのに、なぜ日本の方が認知症発症が低いことになるのだろう?この辺りも良く事情を調べ、団塊の世代のわれわれが、長いこと元気でいられるように是非とも努力したい。

Monday, September 04, 2006

化粧品は本当に安全?



女性は美しくなりたいと考えたのは太古の昔からのようだ。そのために、化粧品の産業は、かなり歴史は古い。ここで化粧品の定義をしようとするものでないが、この化粧品の安全についてイギリスの団体が警告書を出してきた。この団体は、イギリスのナチュラル化粧品のメーカーと問題意識が高い消費者が集まって出来た団体らしい。ナチュラル化粧品を作っている企業の団体なので、それなりにロハス意識の高い団体なのだろう。

ここの事例はイギリスを中心にした警告なので日本の事情とは違うものかも知れないが、いずれにしても警告している内容は知っておいても損はないので概要を説明しよう。つまり、イギリスでは一般的に女性は12種類の化粧品やトイレタリーを使うのだそうだ。そのことにより、175種類もの化学品を身体に塗りたくっていることになると云う。しかし、これらの化学品は必ずしも、身体に良いとは限らないのだ。モノによっては、発がん性、ホルモン問題や肌の炎症を来すものがあると云う。

この団体によればパラベンと呼ばれる保存料は、モイスチュライザーやボディークリームに使われるのだが、乳がんや肌の炎症と関係があると云っている。シャンプーなどに含まれているラウリル硫酸{りゅうさん}ナトリウム(sodium lauryl sulphate)とラウレス硫酸{りゅうさん}ナトリウム(sodium laureth sulphate)は、泡立ちを良くするために使われるのだが、肌を刺激し過ぎるものと云う。そうして消毒のために使われているホルムアルデヒドは、シャンプーやハンドワッシュのためのもののようだが、肌荒れにつながっているようだが、もっとひどいことに頭痛や喘息にも関連していると云う。

個人的経験だが、アメリカからナチュラル化粧品やトイレタリーを輸出しようとしたことがある。その時に直面したのは、多くの化粧品の規制だった。もちろんすべて消費者保護を謳ったものだが、既存の化粧品メーカーの権益を保護しようとする意図があるような動きだった。アメリカでは嫌がられている動物実験を高額のお金をかけて検査させると云うのも輸入の邪魔をしているように思う。アメリカやヨーロッパに一般的な化粧品やトイレタリーが日本で少ないのは、何か裏で問題がある気がしてならない。化粧品は、値段が高いから良いとは限らない。しかし、化粧品やトイレタリーメーカーは多くの広告投資を行ない、商品を買うように促していく。大企業でないとなかなか市場に進出できないような仕組みができ上がっている。コロラドの小さな企業では日本になかなか入れないのはさびしい。

ボールダーやコロラドには多くの自然系の化粧品メーカーが多く誕生をする。もちろん大きな研究所を擁していないものも多い。しかし、このような自然系のところがどんどん伸び始めている。いつの間にか、ワイルドオーツや、ファーマカなどで売られるようになったりしていつの間にか、ブランドが成長をしていく。化粧品やトイレタリーの持つ先進性は少ないかも知れないけれども、人工的なものを肌や洗髪の時に使用しないだけでも、メリットは多いはず。女性の美しさは、化学品を塗りたくるのではなく、身体の内側からにじみ出てくることが最も美しい。ロハスにかかわる女性がボールダーに来ると、ほぼ必ずと言って良いほど、当地の化粧品を買って帰る。そのような商品がもっと早く、ボールダー産に限る必要はないが、日本でも意識のある人たちが作るロハス的な商品がどんどんと生まれて欲しい。

Sunday, September 03, 2006

ニコチン中毒促進するタバコ・メーカー?


アメリカの禁煙運動はものすごい勢いで進んでいる。コロラド州などはレストランやバーでの喫煙を禁止したのは前にもリポートをした。タバコメーカーなども、相当の公共広告を行ない、喫煙の害などについてテレビ広告をやっている。メーカーが自社製品を取り扱うなと云う広告をしているのは、多分タバコ訴訟の条件だったのだろうが、少しおかしなことをやっているなと思った。

このように全米的に禁煙運動が盛んになっているのに、若い人の間での喫煙は増えていると云う。タバコの害などについては十分に認識されているけれども増えているのである。何か不思議な感じがしていた。もちろん、ハリウッドの映画では、いろいろな場面で有名タレントが煙草を吸う場面があるので、裏に何かの仕掛けがあるだろうなと感じている。正面きってのタバコ喫煙促進の広告を打てなくとも、映画などは「芸術的表現」「表現の自由」を主張するだろうから、タバコのシーンをやっても構わないのだろうが、意識をしていなくとも、タバコは大いに奨励されている場面に出会う。特に若い人たちを対象にした映画ではそのような傾向がある気がしてならない。

今回はマサチューセッツ州厚生省の驚くべき報告が出てきた。この報告によると、1998年からタバコに含有されているニコチンが10%以上も高まっていると云う。マサチューセッツ州などいくつかの州は、タバコに関する多くのデーター提出を求めてきたようだが、そのデーターを吟味したところこのような結果が出ていると云う。ほとんどのブランドでのニコチンの量は増えていると云う。しかし問題なのは特に若い人が好むとされているMarlboro, Newport そうしてCamelなどのブランドが確実に増えていると云う。メディアの問い合わせなどに、メーカーはノーコメントと言っているようだ。

また、同州の調べによると、「ライト」と言われているブランドについても、ニコチンは少ないどころか、普通のタバコと何ら差はないと云う結果も出ている。もちろん、この手あの手で、新規顧客を開拓して、既存のところも止めさせないように努力をしているのだろう。しかし、ティーンエージャーを対象にこのような姑息なやり方で、ニコチン中毒依存症を高めていると言うのはあまり許せたものではない。まだ、健康は当たり前と考えているティーンエージャーを餌食にすると云うのは問題になろう。

小生は資本主義を否定をするものではないが(共産主義かの元でもタバコはあるからだ)、ロハス的なコンセプトを推進することによって、このような企業の隠れた活動が行なわれないようにしなければならないだろう。もちろん、大人が個人の責任で吸うことについて反対をするものではないが、判断がつかないうちから依存症を促進するその考えには到底賛成できない。

ロハスとは、ある意味では、既存のビジネスを再点検して、健康や地球環境に良いものなのかどうか見直す尺度としても考えられるだろう。ボールダーにも、少ないけれども、喫煙は存在している。しかも喫煙ティーンエージャーの存在は確かにあり、少し異様に見える。

Friday, September 01, 2006

先行者の苦難大、頑張れ加州!


昨日のブログで書いたが共和党のシュワーツネーガー州知事が、州議会の民主党議員と手を組んで、温室効果ガス排出削減の州規制を決めたことを紹介した。自分の政党である共和党とではなく民主党と手を組んで二酸化炭素排出の規制を始めた訳だからすごい。ハイテク産業の多い加州だが、重工業などもある訳であり産業界が二分していることを今日のニューヨークタイムズは報道している。

連邦政府が、産業界全体の意向を受けてか、地球温暖化に向けた統一的な対策を積極的に推進していない訳だが、今回の州ベースによる規制はカリフォルニアが先鞭を切った。その背景については、ニューヨークタイムズ紙が掲出している統計を見れば十分にうなづける。加州一州だけでフランス一国よりも二酸化炭素排出をしていると云う数値を見ても、無視できない状況にあることがわかる。加州は、また、自動車の燃費規制などにも州独自の基準を設け始めるなど、連邦政府がやっていないことを暗に非難するかのように、次々に環境に良い施策を打ち出している。今日のブッシュ大統領の演説などもイラク戦争を正当化することだけに費やされているが、アメリカ国民の支持はだんだん薄れてきている。願わくば、テロリストがアメリカ国内でまた何か凶暴なことをしでかして欲しくはない。ブッシュはその恐怖を国民に訴え、先回の大統領選挙に当選したようなものだから、、

州規制を厳しくし過ぎると、企業の投資意欲が高まるのではなく、州から離れていくことも考えられる。法人税の高い加州はすでにその現象は大いにある。それは共和党の連中が言っていることのようだが、排出ガス規制の対象になるような企業は、発電、石油精製、セメントなどの業態であり動きにくいところもあるだろう。彼らが規制反対に回っているが、例外が出てきた。北加州に本拠を持ち事業しているPacific Gas and Electric Companyは環境対策を打ち出さない限りは、より大きな地球的な問題に直面することを受け入れたらしい。同社のPeter Darbee社長は、多くの著名な気象学者にヒアリングを行ない、地球の温暖化と排出ガスの関連性を聞いたと云う。それによると、もはや待った無しの状況であることが明らかになり、PG&E社としても排ガス規制を受けれる側に回った。もちろん、何らかの策があってのことと思うが、とても勇気のあることと言えよう。

政治家や官僚は、とかく現状維持を好む。あるいは、現状維持に近い、予測できる方向性を求めるきらいがある。その中で、カリフォルニアの政治家は、追い詰められたと云うべきか?あるいは真剣に環境のために考えてのことか分からないが、いずれにしても、連邦政府としても無視しえない状況をカリフォルニアは作り始めたと言えよう。人口10万人のボールダーが叫んでも、ワシントンでは無視し得るが、カリフォルニア州が動くとなるとインパクトがとても大きい。ロハスの意識があるために、政治も変わってこざるを得ない。ボールダーから加州の実験に大きなエールを送りたい。

Wednesday, August 30, 2006

シュワーツネーガー加州知事の環境行政




アメリカ50州の中で特異な存在は、カリフォルニア州だろう。日本とほぼ同じ大きさだが、アメリカの縮図になるどころか、東部が旧体制ならば、カリフォルニアは新体制的な特性が高い。アメリカだが、アメリカ的でない側面も強くなってきている州だ。こと州民の構成を見ただけでも、白人がマイノリティになっている州でもあり、ヒスパニックの政治力は日増しに強くなってきている。ヒスパニックではないがシュワーツネーガー州知事さえオーストリアからの移民だ。

アメリカの政治をフォローしている人でなければあまり気にしていないだろうが、シュワーツネーガー州知事はブッシュ大統領と同じ共和党出身。しかし、第一期目に当選したときの州民の熱烈なセレブ当選は次回は認められないだろう。そのために、シュワーツネーガーも州民の意向を十分に汲み取るように努力をしている。環境問題は、これまでリベラルの杞憂と云うことで、選挙の時に大きな争点になって来なかったが、どうも今年の選挙は、不法移民、健康保険、イラク戦争、などとともに争点の順位が上がってきている。

今週州議会に提出されている州法案AB32は、今週中に州の上院・下院を通過する見込みだそうだ。その中身は、温室効果ガス規制をカリフォルニア州が独自の基準で設けると云うもの。しかも、大手事業の温室効果ガス測定を行ない、企業努力によって、大幅削減をするところについては、規制以上に改善を見せたところは、その余剰分を達成できていないところに売り渡しても良いと云うことにするようだ。これによって、環境改善クレジットが商売になる仕掛けを作る訳だから、果たしてこれが機能するかどうか、見ていく必要はあろう。しかし、より大きなインパクトは、加州が、連邦政府に先駆けて環境規制を強化するだけでなく、環境改善クレジットを前面に出そうとしていることが、連邦議会でも注目を浴びないことは考えられないからだ。

これまで、アメリカでは、ガソリン価格は乱高下し、人々は、一時的に上がってもまた下がるだろうとの希望と観測を持ちながら、引き続きエネルギー浪費を続けてきた。しかし、徐々にではあるが、エネルギー資源は無限だと云うことは言われなくなってきている気がする。お金持ちはいくらガソリン価格やエネルギーコストが上がろうと屁とも思っていないだろうが、選挙民がこの問題に注目始めたことは、単にコスト面からだけでなく、環境政策論議をも高めていくことになれば、意義は大きい。

コロラド州は、保守的な共和党支持者が多く、どちらかと云えば州単位での議論は、加州ほどのレベルに行っていない。もちろんコロラドには排ガスを生じさせる産業は少ないと云う状況はあり、空気も比較的にきれいなので州単位での議論や意識が今イチ低いのは事実だ。ただし、ボールダーは、この点で、環境保護都市としての意識が高く、今後も報告する案件は増えるだろう。環境は誰かが守ってくれるのではなく、自分たちの日常の活動が、それを反映していることを理解しなければならない。

Tuesday, August 29, 2006

肥満傾向続くアメリカ



アメリカにはTrust for America's Healthと云う団体があり、毎年全米各州の健康の指標をまとめて発表をしている。公共の健康プログラム屁の資金投入を増やそうとしている団体であり、肥満の傾向については手厳しいリポートをまとめている。今月発表になった数字によると31州において肥満度は前年に比べて高まっていると云う。現在超肥満(obese)の人の数は、アメリカ総人口の内、大人が32%、子供が17%にも達していると云う。最悪のミシシッピ州は、超肥満が大人子供平均で29.5%に達している。肥満の基準はアメリカの基準で云う訳だから、日本基準を使ったのならこの数字は40%を超えてしまうことだろう。



ボールダーのあるコロラド州は、肥満係数がアメリカ50州の中では最低の州だ。それでも超肥満の比率は16%を超えている。しかし、スポーツや豆腐のメッカのボールダーに至っては、多分コロラド州の中でも突出して肥満係数が低い地域になっているはずだ。当地に住んでいると気づかないのだが、いざボールダーを離れると、同じコロラドでもアメリカの肥満人口が高いのには驚かされるからだ。

肥満度係数で見ていくと、単に体重が高いと云うだけでなく、その裏に隠された多くの社会問題も発見されてくる。もちろん、教育や社会的地位によって、格差が広がっているのだ。所得が低いことと、教育も低いこととの関連性も出ており、社会的弱者の黒人やネイティブアメリカン、最近ではヒスパニックなどのマイノリティーが肥満が多いと云える。しかも、肥満が多いと云うことは、成人病などの問題比率も高かったり、個人の尊厳と云う意味でも、社会から取り残されていく人も増えていくのだろう。

市町村レベルにおける格差も出てくるなど、ロハス的な生活の発想も、ホールフーズでの買い物などができるのもある程度の社会的な地位や、経済力がないと健康的な生活ができないと云う問題もあろう。豊かなアメリカが、このように社会階層ギャップが高まっていくことは憂慮するべきことだろう。低価格品など中心のウォールマートがオーガニック戦略を展開し始めているのは、素晴らしいことだが、それだけでは済まない感じがする。人々の意識を高めるのには、環境問題のときも然りだが、教育の果たす役割が大きい。その点で、教育でも取り残されていく人々がいるのが、この肥満の進行を食い止める最大のネックになるだろう。

日本でも、徐々にではあるが、肥満の傾向が出てきているようだ。イワシや玄米の生活ではなくなってきているので、食生活の欧米化に伴い、老いも若きも行って欲しくない方向へ行っている感じがする。身体の健康についての意識は、戦後の国際化と、豊かさの到来、そうして核家族化による3世代家族などの激減で、旧世代の知恵が伝わらなくなってきている。少子化による、子供の甘やかしなども、食生活にネガティブなインパクトを与えかねない。ボールダーのロハスを見習うところが多くありそうだ。