Monday, July 31, 2006

どこへ行くエタノール

CNNのMoneyが伝えることによると、アメリカでは、トウモロコシベースでのエタノールの生産には限界があるので、次のステップのエタノールである、セルロースベースのエタノールが研究されていると云う。それはそうだろう。いくら農業的に資源が豊かと言っても、アメリカの自動車のガソリン需要を農業で賄っていくと云うことはどのように考えても無駄が大きすぎる。もちろん生産農家にとっては、自分たちの作物を使って、エタノールを生産すると云うことは、収入的にはプラスになるだろう。しかし、これまで食料や飼料用に作られてきたトウモロコシを、燃料にするのには、よほど燃費効率の良いクルマを使うものに転換をしていくものでない限り、理にかなっていないのは明白だ。

セルロースベースのエタノールは、原材料に事欠かないものだと云う。なにしろ、木材くずだろうと、落ち葉の回収したものだろうと、海のヘドロだろうと生ゴミだろうと、炭素が入っている資源である限り、使えるものだそうだ。そうしてこのまだ未使用の資源を使おうと云う姿勢には感心をするが、どうしても腑に落ちないのは、このような社会インフラを整備するためのコストをどのようにひねり出していくかだ。ましてや、現状のライフスタイルを変化させようと云う意識は感じられず、引き続き無駄遣いのベースが続いていくものように思える。

アメリカのエネルギー需給の構造は、変化しなければいけない時に来ている。そうして現在多くのエネルギー代替案が出てきている。クッキングオイルを使ったディーゼル改造車なども出てきているが、話題にこそなれ、それがアメリカのエネルギー政策の根幹にならないことは目に見えている。エタノールなどについても、それがトウモロコシベースのものであるか、セルロースベースのものであるかにかかわらず、産業構造の中に組み込んでいくのには、まだ多くの時間と議論を要するだろう。ブラジルのエタノールが脚光を浴びているが、その中で、砂糖などの価格も高騰してきている。資源を転用するとそのように歪みがどこかで生じてくると見なければならない。アメリカのトウモロコシの生産がエタノールへ向かえば、飼料コストが跳ね上がり、いろいろな畜産農家に打撃を与えかねない。消費者も食品コストの跳ね上がりで苦労を強いられるだろう。

アメリカのエネルギー政策がどのようなものになるにせよ、環境へのインパクト、社会インフラの整備コスト、国民の意識の変化などまだ、検討を要する問題は多い。ネズミたちが誰が猫に鈴を掛けるかと議論をしているような状況といって良い。その間に、賢い国民は省エネ対策へ自然に動いていくだろう。そういう小生も来年は、家にあるクルマをきっとハイブリッドへの転換を進めていることだろう。すでに、ソラーパネルは設置をしたように、政策ベースの混乱が収拾するのを待っている訳にはいけない。

Saturday, July 29, 2006

海洋汚染と変わりゆく生態系

アル・ゴーア氏のAn Incovenient Truthに続き、地球の温暖化ではないが、人間が作り出した汚水、汚染物質の海洋への垂れ流し、海洋資源の乱獲などによって、海洋の生態系が悪い方向に大いに変化をしてきている。このことは、沿岸漁業を営んでいる人でないとあまり感覚的に理解できないだろう。特に、人口も多く、産業地帯に隣接しているところの海岸地域は、どんどんと魚や珊瑚が減ってゆくと反比例して、古代微生物がまん延しはじめ、ヘドロ的な状況になってきているようだ。

ロサンゼレス・タイムズは、今日より5回に分けて、その海洋環境の変化を特集している。海洋汚染は、われわれの生態系にも直接に関係をすることなので、なるべく意識を高めて改善をする必要があろう。もしロサンゼレス・タイムズの記事を見たければ、このブログのタイトルにリンクを付けてあるのでクリックして欲しい。海洋国家日本の、メンツにかけてでも、日本近海からはじめて、世界中の汚染防止に力を入れて行ければ、この上ない喜びだ。

Thursday, July 27, 2006

競争競技とロハス

自転車ロードレースのツール・ド・フランスで初の総合優勝を達成したフロイド・ランディス(米国)が、大会中のドーピング(薬物使用)検査で筋肉増強効果のあるテストステロンに陽性反応を示したと報道されている。2回目の検査で同じように陽性反応が出れば、栄えある優勝は剥奪されると云う。これまで7回連続して優賞をしたランス・アームストロングなども度々薬物使用の嫌疑をかけられた。薬物使用は野球やアメリカンフットボールなどでも問題になっており、最盛期の年齢の選手が突然死したりしている。プロスポーツだけでなく、アマチュアの世界も問題になっているのだから、何のためのスポーツかと云いたくなる。

その薬物使用ではないが、今度は高地訓練のシュミレーション・テントが違法になりかけている。ごん存知の人も多いと思うが、ボールダーは高地訓練のために世界中から多くの選手が当地で試合前に練習をして行く。高地訓練は、低酸素状況で訓練を行なうことによって、血液中の酸素を運ぶヘモクロビンを増殖させるだけでなく、スタミナがつくと見られ、医学的な証明はともかく、実績が上がっているので、多くの選手が使う訓練方法だ。シュミレーション・テントは、高地に行かなくとも、高地の低酸素状況を人為的に作り上げ、同じような効果を狙うもののようだ。

国際アンチドーピング協会(WADA)がこの低酸素テントを禁止しようとしている。そうなると低地で生活をしているヒトが、ボールダーのような高地に来て練習をしないといけない羽目になる。スポーツは、何のために行なわれるのか、大きなスポンサーがついてきたりすると、どうしても企業をバックに動かなければならず、巨額の金が動くので、やらなければいけないのだろうか?選手は生活がかかっているから仕方ないと思うのだろうが、ロハスの精神に反した動きと云わざるを得ない。誰のためにスポーツをするのか?スペクテーターで満足をするのか?考えさせられることは多いようだ。それにしても強化合宿でボールダーにヒトが多く流れ込みそうだ、、、

Wednesday, July 26, 2006

どこかで狂ってしまった食べることの基本コンセプト

人間が食べると云うことは、生命の活力を得るためが基本で、食べることによって病気への抵抗力もつけ、栄養を吸収していくことが大事だ。しかも、食べることは、生命維持のための必要な行為だけとするのではなく、食事を楽しみながら、堪能していくことも重要なのだ。食べ物は、生活を豊かにしてくれて、ヒトがやり遂げようとしていることを支えてくれる行為と云えよう。食べることは、決して頭痛の種であってはいけない。

食べる行為がもとで、ストレスが増えてしまっては仕方ない。しかし、食べる行為は世界中で少しずつ狂い初めてきている。肥満児が世界的に増えてきているだけでなく、運動量も減ってきていることから、子供の中には成人病などで苦労している人が増えていると云う。しかも、このために寿命が減ってきている傾向も出てこよう。昨年の日本の平均寿命は後退したとのニュースが流れた。細かい分析は読んでいないので分からないが、食生活と何らか関連していると見てもまんざら間違っていないだろう。

アメリカの例で見るとアメリカ国民の60%以上もの人が太り過ぎになっていると云う。しかもその太り過ぎと云っても、先日書いたObeseのレベルでの太り過ぎなのだ。今日のCNNのニュースによれば、このように太ってきている人がいるために、検診の時のCTスキャン、レントゲン、あるいはMRIなどでもきちんと検査を受けられない人がかなり出ているようだ。検査を受けられても、検査精度が下がっていると云う。全く困ったことだ。

http://www.cnn.com/2006/HEALTH/07/26/obesity.xrays.reut/index.html

ダイエット、ダイエットと叫ばれるようになり、もう30年以上も時間が経過しているのに、人はやせる方向に行くどころか、肥満の傾向が高まっている。そのために、本来であれば、楽しむべき食事そのものが、ストレスの原因にもなってしまっている。ダイエットのために使われている費用は馬鹿にならない。50年ほど前まで天然や有機のものを食べてきた人たちが、加工食品、添加物の入ったもの、成長ホルモンの入ったもの、人工甘味料、人工の香料やカラリングなどを含んだ食事をするようになり、何か狂ってしまったようだ。

ストレスの多い中での食事、ファーストフードへの傾倒、そういった中で、ダイエット食を食べている人がいるのにもかかわらず、肥満か傾向が引き続いていること、糖尿病の人が増えたり、多くの疾患が増えてきたりしているのはなぜなのだろう?そんな時に、ボールダーの良さが光ってくる。ナチュラルな生活をすること、ナチュラルな食事をすること、ストレス回避に時間と努力をかけている人を見ると、肥満で問題を抱えているアメリカの問題への答がこの街にある気がする。

英語のことわざに"You are what you eat"、つまり、「ヒトは何を食べているかで、そのヒトが形成される」の意味だ。成長ホルモンが入ったり、化学的な肥料で育てられた栽培をしたもの、添加物いっぱいのものを食べていればいずれは、身体のどこかが狂ってきても仕方ないだろう。食べ物本来の概念に戻れるように、もう少し食事や生活を見つめ直してみたい今日この頃だ。

Saturday, July 22, 2006

オーガニック・スーパーの存在が不動産価値を高める時代

都市の再開発や活性化するにあたり、多くのことが考えられているが、最近では、再開発の成功の要件としてオーガニック・スーパーの存在が重要な要素の一つになってきている。ワシントンポストの22日付けのLyndsey Layton記者のリポートによると、いろいろな開発業者が、専門職についているヤッピー向けの住宅を供給し始めた首都ワシントンのコロンビア・ハイツ地区のことについて書いているが、そこに転入した多くのヤッピーたちがオーガニックス・スーパーの最大手のホールフーズの誘致活動を始めていると云う。その誘致には、メール作戦を展開したり、こうやってワシントンポストを動員したりして動いている訳だ。

アメリカでは良く知られていることだが、ホールフーズの店舗展開の戦略は、単に市場を所得をベースで順位をつけ店舗展開の計画を立てるのではなく、各都市のや地区の学歴水準を大きな基準にしていると言われている。つまり、オーガニックを買う層は、必ずしも裕福だからと云うよりは、学歴が高くて、商品価格がコンベンショナルなものに比較して高くとも買っていくところに目を付けているものと思われる。

レイトン記者が取材をしたコロンビア・ハイツの転入組の反応は、ホールフーズの到来が、この街が再開発途上にあるというイメージから、ある程度、再開発は完成をしたと云うものになると住民は感じていると書いている。ホールフーズとともに誘致されやすいのはコーヒーのスターバックスのようだ。新規アパートを売り込んでいる業者なども、ホールフーズが将来的にここに店を構える予定だと云うことを販売のためのマーケティング資料などで触れ込みにしているらしい。

ワシントンについてはあまり詳しくないが、この地区は1968年に人種暴動があってから、スラム化をしていたらしい。人口構成も1990年には66%が低所得者層の黒人になり、不動産価格が低迷をしていた。そこの再開発が始まって、ホールフーズの誘致に住民が動き始めたと云うことになる。不動産価格が急激に登り始めて、そのために高騰する固定資産税を支払えない貧しい人たちが街から出なければいけない羽目になっていく。アメリカの歪みを感じさせる話だが、一方では、ホールフーズなどの存在が消費者の目からどのように見られているのか、アメリカ社会の一端を垣間見ることにもなる。

私の住んでいるボールダーは、オーガニック・スーパーの比率は高い。そうして全米で二番目に大きいワイルド・オーツと云うオーガニック・スーパーの本拠の街なのだが、現在この街にはホールフーズも大活躍している。ボールダーの地価が高いのも、あるいはこれらのスーパーがあるからなのかも知れない。そうすると、こうしたスーパーのお陰で、私の固定資産までが高く評価されると云うおまけがついているのだろう。時代は、こう云った観点からも着実にロハス化が進んできている。

Wednesday, July 12, 2006

GMのロハス転換が難しい理由

今朝、親しい友人と仕事の打ち合わせでコーヒーを飲んだ。打ち合わせの途中から、彼は新しいクルマを買ったことでとても自慢げに話をしていた。彼はこれまでサーブを乗っていた人だが、今度はプリウスにしたと云う。プリウスは全然広告をしていないのだとも説明してくれた。プリウスは注文しても3ヶ月待ちだったも告げて、広告なんて要らないくらい人気があるのだと言う。帰りにはクルマのいろいろな機能を、セールスマン以上にありとあらゆることを説明してくれた。小生もプリウスには試乗をしたことがあるので、分かっているつもりだったが、ニューオーナーの嬉しそうな顔を見るのが、今回は何とも云えない清々しさだった。最近はこのような人に多く会っている。GMが売れなくなっているのもうなずける。つい数年前は、プリウスでなく、大型車のRVが購入者の喜びを作っていた時代があった。豊かさの象徴だったのだ。だが、今回のようなプリウスへの心酔は、アメリカの市場は着実に変化をしていることを示している。

私はGMに14年間も奉職していたので、まだGM社には多くの仲間もいるし、トップのリックワゴナー会長を始め、知人も多い。有能なスタッフを抱えているのに、最近では、日産やルノーから助け舟を出されるところまで落ち込んでいる。日本車勢に追いつかれてきている、凌駕されると云う予測は前からあったにもかかわらず、大きな動きが取れずに、じり貧の形で経営は悪化してきている。人員削減、工場閉鎖、部品のコスト削減などを行なっているのに、市場での受け入れは良くなるどころか、アメリカの消費者に徐々にではあるが見放され始めている気がしてならない。

GMがロハス転換をこれまで推進できなかった理由は、トップが危機意識を本気で全米自動車労組(UAW)に訴えかけられなかったからだと思う。しかも、労組だけでなく、多くの販売代理店にも、その危機意識を伝えられきれなかった問題も大きい。GMの市場シェアーが下がっているときに、すべての自動車ブランド、キャディラック、シボレー、ポンティアックなどのディーラーに特性のあるクルマをあげることなく、どれもにたようなクルマを商品企画した罪も大きい。しかも、小型車などの開発に至っては、戦略的な意味でのビジョンがなく、ここへ来てマーケットがついてきていない大きな問題に直面をしている。小型車や燃費の良いクルマは段々と出し始めているのだが、マーケットが遠く離れてしまったのだ。今更、多くの宣伝をしても、企業イメージが燃費浪費型、故障が多い、などのイメージで見られ、それを払拭することが大変なのだと思う。サターンやポンティアックで、スポーティーなコンバーチブルを出したとしても、それらのマーケットはそれほど大きくなく、堅実的に売れる小型車を欠いていることで、イメージモデルが少し売れたところで、経営の改善まで持っていくことは難しい。

ニュースによると、GMは近い内に新規ハイブリッド車を投入し始めると云う。しかも、投入される分野は利益率の大きい大型RV部門だそうだ。私の大好きなフォーブス誌の長老のジェリー・フリント記者は、アメリカ車はかなり回復をするきっかけをつかみそうだと云うニュアンスで記事を書いているが、私にはそうは思えない。もちろん、低落ぶりは少し減少するだろうが、それでGMは危機脱出するとは到底思えない。問題は大型車に集中をしているからであり、入門編のクルマなどには十分に力を入れていないからだ。トヨタはプリウスで儲けられるところまでいったかどうか知らないが、それをベースに次のステップアップをどんどんと展開し始めた。GMのように上のカテゴリーで儲けられるようになったとしても、底辺がついてこなかったら、近々市場は枯れてきてしまうだろう。

GMの最大の問題は、もちろん短期的には設備稼働率や製造コストの削減だろう。設備を減らしている中で、稼働率が一時的に高まったとしても、長期的に見た場合、市場へ打ち出すビジョンが明確でないと、ゼネラル・モーターズの名前のごとく、何でもゼネラルになってしまいフォーカスが無くなくなり、長期にはさらに市場占有率はさらに下がるに違いない。もし、GMが、サステイナブルな事業モデルを全面的に押し出し、それを徹底し始めれば、労働組合だろうとディーラー網だろうと、個別には反対をすることがあっても、マネジメントの戦略付けには賛成をするだろう。

ロハスの中で、クルマは大きな象徴的意味を持ち始めている。何を乗っているのかが、その人の知性や人間性などにもかかわってきている気がしてならない。まだ主流ではないが無視できない存在になっている。小型車と大型車と云う区分でなく、サステイナブルかそうでないか、人のモノゴトを見る基軸は変わってきている。その点、日産やルノーを率いてくるゴーンさんも見抜いているのだろうか?アメリカでの日産の販売も下がってきていると云う。私には、ロハス基軸がいつの間にか、アメリカ産業界の変化に、大きな役割を、果たし始めていると思えてならない。

Monday, July 10, 2006

燃費改善をすると道路財源が涸れるの怪

地球の温暖化の危機的状況になっていることで、やっとこの問題に注目が始まってくるときに、時代に逆行するような動きが出ている。しかも、その動きは、自然が美しく、自然保護派の人が多いオレゴン州と云うから驚かされる。

何が起こっているかと云うと、急騰をしているガソリン価格のために、多くの人がより燃費の良い小型車(ハイブリッドなど)に乗り換えたり、無駄なクルマでの移動を最少限に抑えたり、相乗りなどを促進させたりしていることで、ガソリンの消費が頭打ちになっていること、今後もさらに減少をするだろうと見込まれてきているからだ。アメリカにはなくてはならないハイウェーの建設財源は連邦や州が課すガソリン消費税から徴税されていることがほとんどの例。歳入が減れば、道路財源が減ると云う仕組みになっており、縦割り行政のお役人や建設業と関係の強い政治家が問題にし始めていると云う。

オレゴン州は、検討の段階から、近い内に対策を限定的テストを行なおうとしている。その対策と云うのは、クルマの走行距離を計測して、ガソリンスタンドへ給油するために寄ったときに、走行距離税を支払わせようと云うもの。しかも、州境の人がワシントン州やその他の州へ移動をしているときは非課税にするために、クルマに簡易GPSを設置して、州外に出たら課税しない方向でやろうとの実験をしようとしている。

走行距離をベースに計算をされて計算をされると、まだ割高のハイブリッドなどを折角買った人や、もともと燃費の良いクルマを持っている人が、効率にかかわらず、無駄の多いガス・ガズラーを乗っている人と同じベースで課税されることになり、燃料節約をしようとするモチベーションは少なくなるであろう。全くとんでもない考えとしか言いようがない。

日本も長い間、タバコの専売などで国庫はタバコを売ることで潤ってきた。そのタバコが人の健康に害あると知っていても、国庫歳入が重要視されていた時代がある。タバコのせいで、肺ガンやその他の病気が増えている中でもそれを止めようとする機運になるまで、相当の期間がかかった。総合的に見て、ことの良し、悪しを判断せずに動いているのが今回のオレゴンのケースだろう。

もちろん、道路は、アメリカ経済の基幹となっており、それを簡単にないがしろにすると云うことはできないだろう。より大きな政策上の検討がなされるべきであることは明白だ。しかし、自動車の文明が、現在のアメリカの都市構造を作り上げたのなら、今後の資源や環境の点から、都市への回帰が行なわれ、公共交通機関を多用する新たなアメリカの都市形態へ動く可能性もある。もちろん、数年でこれが行なわれるとは限らないが、すでに、ボールダーとデンバー回廊をライトレール鉄道網で繋ぐ計画がされており、5−6年先にはそれが完成されるだろう。クルマの存在で無差別的に広まっていたUrban Sprawl(都市乱開発)に変化をもたらすかもしれない。

アメリカでニューアーバニズムは職住一致の形態を強めており、通勤時間・距離を短く、多形態の業態が混合する都市設計になりつつある。オレゴンの問題は、一朝一夕で解決できるものでないが、それが、アメリカ社会のおかれている矛盾を表面化して議論を高めていることで大きく評価をしたい。

Saturday, July 08, 2006

Eco-frugalのキワード化

最近はアメリカの自動車メーカーが大変な困難に直面していることは日本でも報道されている。しかし、あまり報道されていないことに、韓国車のクルマの大躍進がある気がする。現代、起亜、大宇などが品質の改善とアグレシッブなマーケティングで全米での売り上げを高めている。日本車の伸びの陰にあって目立たないかもしれないが、アメリカでテレビ広告を見ていると、韓国車はアメリカ車には目もくれず、日本車を意識的に攻撃する戦略をとっており、街でその姿は年々多く見かけるようになってきている。韓国車は最近目覚ましい品質の改善と、価格競争力で市場に大きな殴り込みをかけている。デザインも、物まね的なところもあるが、改善されてきているのは否定しようもないことであり、それにつられて消費者の中で韓国車が売れ始めている事実はある。

しかし、アメリカでの日本車の評判は、いくつかの問題メーカーを除いては、しっかりしたものになっており、そのブランド力は韓国車に負けるものではまだない。しかも、エネルギー問題の最中、日本車の先端的なハイブリッドイメージは、企業イメージを高くしており、韓国車のそれをかなり凌駕したものだ。日本車は、エコカーだと云うだけでなく、総合力でも高級欧州車にさえ負けないものが出てきている。自動車業界にいたものとして、日本車のブランドの発展は誇らしく感じさせるものだ。

日本の自動車メーカーは、その先進的な地位にもかかわらず、韓国車をかなり意識しているらしい。そもそも下からマーケットをさらわれるのではないかと云う警戒感からか、最近ではシビックやカローラより一つサイズの小さいクルマを市場に投入し始めている。トヨタのヤリスやシビックのフィットがそれらの新型投入商品だ。底辺を守ると云うことは、戦略的な動きであり、アメリカメーカーがやらなかったことを日本車メーカーはしっかりとやり遂げている。市場を守ると云うことでこれほど賢い動きはない。

今回のメモで書きたかったのは、それらのモデルが発表されたときに、米国のマスコミはエコ・フルーガルと云う言葉を使った。フルーガルとは質素、倹約などを意味する言葉だが、これまでの消費重点型社会では否定的に見られていた言葉なのに、今回のフルーガルは何となく賢い選択と云う意味合いを秘めているキーワードになっている。まだこの言葉の利用頻度は少ないが、質素が環境と結びつくとポジティブな表現になることは、新鮮だ。微妙な表現なのだが、今後のマーケティングのキーワード化してくるものだと思う。少なくともそのコンセプトは広まるだろう。

フルーガルは元々、清教徒などの質素な生活を表現してきた言葉であり、第二次世界大戦以前の人にとっては当然の生活価値観だったに違いない。それが大量消費社会の出現で、マーケティング用語としては死語に近いものになっていたのだが、エコと結びついたことで、とても新鮮に感じられるようになった。この言葉の出現でアメリカの大量消費社会は無くなるとは思えないが、一つの面白い兆候として、その言葉の意味することが社会的な受け入れの状況を見守っていく必要はあろう。燃費の良い小型のクルマを多く売るのも大量消費社会の現象だが、それの持って行き方次第で、マーケティングのポジションが変わるところに注目をしていきたい。フルーガルが、少しでも流行になれば、地球環境には、少しでも役に立ちそうだ。

Wednesday, July 05, 2006

ホットドッグの市場に見るロハスな展開

ニューヨークで4日、米独立記念日恒例のホットドッグ早食い競争が行われ、小林尊さんが12分間で53個と4分の3を食べ、自身が持つ世界記録を更新、6連覇を果たしたとのニュースは、全米でも三大ネットワークで報道され、身体の小さい小林さんの訓練ぶりなどが、事前に報道番組などで紹介されいた。小林さんは、アメリカでは緻密な訓練と戦略で、小型の身体ながら体格が数倍大きい人を負かすヒーローにもなっている。

この凄まじいほどの早食い競争ではあるが、裏を返せば、売り上げが今イチぱっとしないホットドッグの宣伝をしようとする目論見なども見えてくる。アメリカの有名な食事と云えば、ハンバーガーやホットドッグ、最近ではエスニックのブリートなどとすべてファーストフードをベースにしたものが主流だった。ピザやドーナツもすべて手でつかむ食事としてヨーロッパ人の好むところではないが、そこはインフォーマルなアメリカ人の好みとして、パーティー食には欠かせないものであった。どれをとっても不健康なものばかり。これでは健康の精神に反すると云うことで、食べることを控える人が出たとしてもおかしくない。

そのホットドッグの消費がアメリカでは段々少なくなってきていると云う。アメリカ人が、ホットドッグそのものを嫌っているのではなく、健康的でないイメージが強くなってきたのだろう。アメリカ人は年間に約2300億円相当のホットドッグを消費していると言う。野球の観戦には欠かせないホットドッグは、野球場だけで年間で約3000万本売れるのだそうだ。しかし、傾向から見ると、ホットドッグの消費は少しずつ下がっていると見える。出荷ベースで見るとこの4年間で6%も下がってきたようだ。

ホットドッグの消費すべて下がっているのではない。オーガニックのホットドッグの売り上げは増えてきていると云う。オーガニックはこれまでも売られていたのだが、オーガニックやナチュラルであるが故に、食感の違い、保存料やカラリングをつかっていないこともあり、食べ慣れたドッグを彷彿させず、敬遠されいたのが、最近になってコンベンショナルな食感に近いものができてきたために、小売り値段が20%近く高くとも売れ始めていると云う。同じ牛肉を使うのでも、穀物を飼料としたものよりも牧草だけを食べている牛を使うことで、より健康的な牛肉が可能になったらしい。牧草だけだと、オメガ3などの良い成分が増える一方で、脂肪分が少なくなり、確かにより健康的なイメージがする。そうして味付けが、コンベンショナルものに近づいてくると、需要が高まってくるらしい。

オーガニックのホットドッグはまだ市場は小さいが、市場の成長はとても早いようだ。肉の保存料に使っていたいろいろな化学的なものに代って、セロリージュースや乳酸を使ったことが、味覚のコンベンショナル化に近づけたらしい。オーガニックがいろいろな形式で市場参入をする土壌が段々とできてきたらしい。小林さんの、早食い競争ではいつ頃からオーガニックのドッグが出されるのだろうか。今から楽しみにしている。

Tuesday, July 04, 2006

OverweightとObeseに挑戦するアメリカ

今日はアメリカの独立記念日。もう少ししたらあちらこちらでパレードが始まり、昼間からはバーベキュー、夜は花火と云うことになる典型的な夏の日の光景。新聞は、この日を祝う意義の論説を掲載したりしているところは多い。ところがアメリカの急激の移民の増加で、そもそも独立革命の意味や経緯を真に理解している新移民は少なく、逆に最近では新移民の出身国の独立記念日などを祝う行事も多く見られている。それだけアメリカは多民族文化になってきていると云うことだろう。メキシコの独立記念日である5月5日はシンコ・デ・マーヨとして多くの街でアメリカの独立革命よりも大きな行事にさえなってきていると思う。アメリカの独立記念日は、バーベキューと花火の日になってしまったと懸念をする人々も多いのも、うなずける。ほとんど単一文化ところから来る小生にしては、何とも不思議で仕方ない。

アメリカが国家として直面する課題は多い。パックス・アメリカーナ(アメリカ主導の世界秩序維持)などは、国民の意識の中では強いだろうが、ドルを始めとした米国経済の相対的な地位の低下、世界各地での軍事的な介入などによる軍事的手薄感は拭えない。しかも、ブッシュ大統領の二期目になり、アメリカに対しては必ずしも友好的でない対米感の高まりなどによって、大きな岐路に立たされていることだけは間違いない。

さて、そのような外患もさることながら、アメリカの中において極めて大きな内憂は、国民の肥満化問題である。ボールダーに住んでいるとそのようなことは想像しにくいが、一歩コロラドを出てアメリカの他の州や町へいくと肥満の多い人がいるのに驚かされる。人を歩かなくさせているクルマ社会、利便性を追求したライフスタイル、ファーストフード、サッカーや野球など運動よりもゲームセンターで遊ぶ子供たち、農業補助で大量に安く作られるコーンシロップを使ったソフトドリンクががぶ飲みされる状況、それらを宣伝し、普及させる諸々のテレビコマーシャルなどが大きな問題にもなっているはずだ。病院や健康を職業としている人が大きな声で警告を出しても、駄目にしてしまう影響力の方が強い。そんなことに対抗しようとすれば、かなりの連邦、州、市レベルだけでなく、民間の諸団体も動かさないと、この肥満を助長する傾向は止められることはできないだろう。

アメリカの厚生省の一局であるCenters for Disease Control(疾病対策センター)は、アメリカ成人国民の3分の2がoverweight(肥満)、子供については34パーセントものがoverweight, 17パーセントもの子供たちがobese(超肥満)と云う数字を発表している。そのobeseと云う表現さえも、子供たちに使うのは彼らの人権蹂躙だと云う新聞記事も出るなど、この問題はかなり表面化し、連邦政府の大きなプライオリティにも位置づけられるようになっている。日本語の英語辞書で見ると、overweightもobeseも同じく肥満としか書いていない。日本人の感覚にはないレベルの肥満なのかもしれない。

禁煙運動でさえも、連邦政府はかなりサポートをしていたが、具体的な施策は地方分権のこととして、各州や市の判断に任せてきた。しかし、こと肥満と云うことになると、各州に任せてはいられないと云う姿勢をとり始めている。つまり、連邦政府が真剣に教育や指導を始めている。その背景には、肥満の人が増えることによって、アメリカでは、折角これまで医学の進歩などで勝ち取ってきた健康指数の改善が、一挙に心臓病、糖尿病それから、肥満との関連性が疑われているその他の成人病にも社会問題化するのではないかと云うことだ。

国家政策を見ていくときに、これまでは伝染病や基本的な衛生改善などが大きな比重を占めていたが、今後は、たとえ個人の選択範疇とは言え、医療問題、国家財政、国民全体の生産性などから、無視しえない状況になっていると云えよう。食の問題もあるが、運動の促進、街づくりの新たな視点、治療よりも予防と云うことで、今後のアメリカにおいては、資源政策、雇用政策、外交などと云った、従来のプライオリティの中にも、ライフスタイルを入れざるを得ない時流になってきた。

そのよう中でも、ボールダーの健康的なライフスタイルが、一つの指標になっていくことは間違いないだろう。日本などでも、ストレスの高まり、運動不足、栄養過多などから成人病が高まりつつあるといえる。これらの問題は、「即効的な」薬だけで解決できる訳ではなく、時間も努力も要る大きなライフスタイルの変化などで対応をするべき課題であろう。なるほど物質的に社会は豊かになったが、健康的にそれを楽しめるかどうか、皆で真剣に考えていきたい。肥満に挑戦をするのは、どうやらアメリカだけではなさそうだ。

Saturday, July 01, 2006

コロラド州、バーでの全面的禁煙法を施行

7月1日から、コロラドのバーにおける全面的禁煙が施行された。これまで、バーは喫煙者にとっては聖域とされてきたところだけに、各メディアは大きく取り上げている。特にいくつかのバーでは、喫煙者の集中度が高かっただけに、タバコを楽しむ場所がどんどんと無くなっている中で、愛煙家の失望は大きく、バーのオーナーたちも事業の推移については懸念が高い。

ボールダーは、喫煙を許してきたところは少ないが、それでもバーだけは例外的扱いを受けていたり、場所によっては、設備投資をして喫煙区域を設けたりしたが、今回はそれも禁止となった。間接喫煙は、いかなる形でも、健康に悪いと云うレポートが出てきていることもあり、煙草を吸わない人の権利を優先する今回の法律の施行は、小生などにとってもとても嬉しい。

現在、コロラドにおいて引き続きタバコが認められている公共での場所の喫煙は次の通り:空港の喫煙ラウンジ、カジノ、シガーバー、タバコ小売店鋪、3人未満の事業所。タバコは公共の事業のの入り口から5メートル以上離れたところで吸わないといけない。ボールダーでの罰則規定は、禁煙場所で煙草を吸った場合は、初回が200ドル、二度目が300ドル、その後は毎回500ドルと云う厳しいものになっている。

日本もこのような、禁煙運動はいつ実施されるのだろうか?間接喫煙は、確かにタバコが嫌いな人、健康的に困っている人にとっては、とても具合が悪いものだ。先日も、5月の連休中に日本へ戻っていたときに新幹線に乗ったが、本来は通路で吸ってはいけないところなのに、多くの喫煙をする人がいたために、禁煙車両もタバコの煙が入ってきて閉口した。吸ってはいけないと云わないが、他人には迷惑はかけないように配慮をして欲しい。禁煙になったことでこれを機にボールダーのバーにも出かけてみようと考えている。