Wednesday, November 22, 2006

大衆化、商業化と闘う真のヨギ(ヨガ探究者)

前にもアメリカにおけるヨガの普及ぶりについて書いた。アメリカの主要な新聞を読んでいるとヨガについての記述が多く見かけるようになっている。ヨガの普及が如何に大きなものかを知ろうとすれば、ニューヨークタイムズ紙の推計によればその実践者が約1500万人に達していると云うことからも判る。アメリカの総人口が3億人だから、老若男女すべてを入れて総人口の5%と云うことになる。下手をするとアメリカンフットボール実践者の人口を凌駕しているかもしれない。凄いブームに違いない。

最近でフィットネスと云うと、ヨガ抜きに語れなくなってきている。アスレチック・ジム、公共のヘルスセンター、スポーツクラブ、YMCA、老人ホームなどでヨガが浸透し始めている。クリスチャンの伝統からすれば、異宗教の雰囲気を漂わせるヨガに対しては警戒感が強かったものが、自己健康管理の思想が強くなっている中で、ヨガが多方面から取り上げられるようになってきているのではなかろうか。ベジェタリアン、マクロバイオティック主義者、スタイルを重視する映画スター、ストレス解消を求めるヒトたち、代替医療従事者、リハビリ関係者、あるいは、何か霊的なものに引かれるヒトたちだ。このような中で、ウェブによる情報の交流が高まったこともあり、ワークショップ情報の発信が増え、セレブ的なヨガインストラクターが出現をしているのは前にも述べた通りだ。

誰でも、それぞれの好きな側面からヨガができるとなると、裾野が広がることは十分に想像できる。ヨガの応用範囲はとてつもなく広がりつつあるのだ。マクロビオティックを実践し、身体のシェイプを気にしているマドンナがヨガをしていることは知られている。また、アメリカではストレス対策としてヨガをやっているグループもあり、そのグループの代表的なセレブはベストセラー作家のDean Ornish氏らしい。また、霊的な指標を求めるヒトたちはDeepak Chopraに従うだろう。

これだけ爆発的にヨガが伸びてくると、いろいろなヨガ教室やワークショップも無数開かれるようになる。Yoga Journal誌主催のカンファレンスは1994年に始まったらしいが、その年は一回だけだったものが、最近では年に3−5回開催されるようになり、1500名くらいの参加規模になり、応募者数は定員のために打ち切りとなるとのこと、その凄さが判る。そういったワークショップはヨガだけに限らず、ヨガ+サーフィング、ヨガ+ロッククライミング、ヨガ+スノーボードなどと多彩な形でのヨガワークショップが開催されるようになっている。アメリカ国内だけでなく、世界各地で開催されると云うのだから、ヨガビジネス大繁盛と云うところか。セレブ的な先生などの話は、アメリカのロハスの動きを見るのに参考になるので、今後もフォローして行きたい話題だ。

先週まで東京へ行っていた。日本(特に東京)でも、いまヨガブームである。すでに東京都内で100以上のヨガスタジオがあるそうだ。

ヨガはアーサナ(ポーズ)の体操ではなくインドの哲学体系であるが、日本のヨガスタジオの多くは、アメリカの悪いところを真似してしまい、ダイエットや美容のための体操教室に過ぎないのではないだろうか?

「ホットヨガ」「ニューヨークヨガ」「ロハスヨガ」「ビューティヨガ」「アロマヨガ」などと手を変え品を変え”何でもあり”の状態である。ちょっと商業的になり過ぎではないだろうか?私も長年本流の合気道を訓練しているが、アメリカにはヘンテコな合気道道場がいくつもある。違いを付けるためにいろいろな工夫をしているが、本流の精神が理解されていないところに合気道がモノになっていないことが多い。ヨガも合気道も表層だけを見ると云うのは、ロハスが広がっているようで良いけれども、実質的には商業主義の比重が高すぎて、遺憾なところである。

今回の日本滞在中に一人のYOGI(ヨガ探求者)に出会った。アンダー・ザ・ライト ヨガスクールのディレクターを務める鈴木真さんである。彼は私と同じくソトコトで「ヨガを極める」という連載を持っている。彼と夕食をともにしながら、楽しいひとときを過ごした。チャラチャラしない、まじめな姿勢で、生活様式などにも彼の生き様を感じ取れた。彼がヨガスタジオチェーンのディレクターを辞めて、新しい”ヨガスクール”をつくった訳はソトコト12月号を読んで欲しい。ヨガスタジオとヨガスクールは違うのだ。

Sunday, November 19, 2006

食品の「ワル」、ロハス運動への抵抗

どこの文化にも、小悪魔的なものを好むところがある。アメリカでは、文法的には間違っているが、「bad」「badder」「baddest」などと「ワル」の比較級から最上級を現す表現が一般化してきた。クルマで言えば、プリウスが良い子ならば、燃費が極端に悪いHammerなどのクルマはbaddestの分類に入るだろう。Worstと云うと、小悪魔的な意味合いが薄れるので、baddestがピッタリなのだろうか?

食事にしてもそうだろう。身体に良いものだけを食べるべきなのだが、身体に悪いものの中に美味いものが多くあったりあったりするから、たまには羽目を外して食べたいのが人間の性だろう。クリームコロッケ、トンカツ、チーズなどのように、私も好きな食べものを制限しないといけないことも多い。一昨日に書いたアメリカの外食の事例などで見ていくと、アメリカ人はハンバーガーが一番食べたいようだ。もちろん、アメリカの食文化は、メキシコ料理の影響や寿司その他のものがどんどんと入ってきているので、10年後には変わってくるだろうが、今のところ外食の王様はハンバーグなのだろう。

最近では、マックドナルドなどのファーストフードチェーンでは、サラダを出したり、トランス脂肪の使用を止めたり、その検討をしたりしていると書いた。しかし、市場の反応はどうかと云うと、引き続き、外食するときくらいは、コレステロール、ソディウムなども気にしない傾向が強いのだろう。そのようなヒトのマインドを読み込んで、逆に健康にきわめて悪いものをメニューに入れて発売をしているところがある。それが大当たりと云うから、困ったものだ。

ファーストフードチェーンのハーディーズ(Hardee's)がその例だ。ハーディーズが出したメニューは徹底的にバッドなのだ。つまりbaddestを追求することで、市場に大いに名を売っていることになる。そうして事業的にも成功をしているからアメリカ人のbadな食生活を変えるのは至難の業だと云うことはよく判るだろう。

このハンバーガーの名前はMonster Thick Burger(モンスター)と自ら極悪の名前を冠している。発売開始をしたのが2年前だが、順調に伸びてきているようだ。この商品は驚くことに一個だけで1410カロリー、そうして脂肪だけで107グラムだと云う。セットでミディアムのフレンチフライを入れると520カロリー、ソーダーは約400カロリーと云うから凄い。コレステロールだけでも229ミリグラムだと云う。こんなものをいつも食べていたら肥満になるのは当たり前だ。会社としては、個人の選択がそれを求めているとしてうそぶいているからひどいものだ。ちなみに、このHardee'sはコロラドにもボールダーにもないファーストフードのチェーンだ。来てもすぐに廃業になるだろう。

ボールダーなどもハンバーガーは売られている。ボールダー発のチェーンでGood Timesと云うところがあるが、ここのバーガーにも悪いものがあるが、ハーディーズには到底及ばない。ここのビッグ・ダディー・ベーコンチーズバーガーは960カロリーであるが、脂肪は33グラムでモンスターの三分の一だけだ。しかもビーフはColeman のナチュラルビーフだ。パールストリートから少し入ったところにあるが、一度訪ねてみる価値はあろう。もちろん、カロリーや脂肪を減らす意味でベーコンやチーズはないメニューにすることをお奨めする。

Good Times of Boulder

アメリカに来てハンバーガーを食べるのなら、badderからbaddestにいかずに、少しでもgooder, goodestのところに行くべきだろう。そんなときに役に立つのは、アメリカのフランチャイズの大手のカロリーデーターがある下記サイトを訪れ、少しでも情報武装をするべきだ。
脂肪カロリーなどのデーターバンク

ハイブリッド技術は、究極の技術ではないが、現状の最悪の状況から脱出するために経過的な技術と言えるだろう。ハンバーガーについても、モンスターに行くのではなく、努力をしてGood Timesへ行くことによって、少しでも状況を改善していくべきなのかもしれない。人間は一朝一夕に変わらない。意識を高め、行く方向の選択が大事なのだ。Good Timesのボールダー所在地

Friday, November 17, 2006

ファースト・フードとアメリカ

アメリカにおける異常とも言える肥満と成人病などの問題を受けて、ファーストフード業界は、提供するメニューを一層健康的なものにしようと努力し始めている。昨日の発表によれば、メキシコファーストフードのタコ・ベルがトランスファット脂肪使用を取り止めることを発表したところだ。これまで、大手のウェンディーズやKFCがトランスファット使用を取り止めたことになり、最大手のマックドナルドは取りやめの検討をしているとのことだ。スーパーサイズミーと云う映画で、ファーストフードがいかに健康に悪いかを示そうとしているハリウッドであるが、アメリカ人のファーストフード指向はなかなかなくなりそうにもない。

ニューヨークタイムズ紙のベストセラーになったFast Food Nationと云うフィクションが映画化されてアメリカで上映されるようになっている。この映画はEric Schlosser氏の同名の小説が原作であり、アメリカ人のファーストフード好きがいかに健康および社会に影響を与えているかをドラマ化したものらしい。映画を見るまでもないと思うが、要するストーリーは巨大ファーストフード産業がいかに怖いことをしでかしているのか警鐘しているものらしく、この映画を見るとファーストフードは食べたくなるだろうとの書評も読んだ。

ハリウッドは、社会的な責任にかられているのか、最近ではこのような映画を制作するようになってきている。アメリカにおけるひどい食生活と云うことが大きく問題になっているだけに、こういう映画の貢献は計り知れないものがあろう。そういう前向きな活動はあるが、ハリウッドは、その一方でタバコの促進をしているか疑われるようなところや、食品のプレースメントで広告収入を得ていることもあり、必ずしも一体となって動いているとは言えない。しかし、エンターテインメントで取り上げられるとしても、食事の取り方が注目を浴びる効果は否定できないし、アールゴア元副大統領のAn Incovenient Truthが盛り上げた環境問題への関心は大きいので、この映画に続くものがあっても良かろう。

しかし、アメリカの肥満は一朝一夕で解決するものではないだろう。この問題は長い間に形成されたものであり、食生活はそう簡単に変わるものではない。市場調査で有名なNPD Groupは30年以上もの長年にわたってアメリカ人の食事の習慣を追跡してきた会社だが、
彼らの調査結果は驚くものがあり、アメリカの肥満解決は困難だろうと云うことが判る。同社は1976年から毎日3500人に対して外食をしたのかどうか訊いてきたのだと云う。そうしてその際何を注文したか聞き出している。その結果判ったことは、外食した女性が注文したトップ商品はなんとフライドポテト(フレンチフライ)だと云う。外食注文の2番手がハンバーガーであり、3番手はピザと云う。メインディッシュにサラダをとったのは7番手に出てくると云う。

男性は、多少違うが、それにしても大差はない。トップはハンバーガーであり、2番手がフライドポテト、3番手がピザだ。サラダをメインディッシュにするのは10番手と出ている。

ボールダーにいるとこのようなことは考えられないが、たまたま日本へ戻って講演会で話をしたときに、ある女性にボールダーで一般的に人々が食べているのは何ですかと訊かれて返答に困ってしまった。明日もアメリカの食事について書いてみたいが、ボールダーの食事については、徐々に調べて書いていくようにしよう。確かにロハスの人々が朝ご飯に何を食べているのかは、知りたくもなった。