Wednesday, June 15, 2011

Google社、代替エネルギービジネス強化


アメリカ検索エンジンの最大手グーグル社は、これまで、代替エネルギー分野に色々な形で参画してきた。グリーン意識が高い企業の最先端を行っている。そのグーグルが今度、個人住宅用のソーラーパネル設置に関しての事業に乗り出してきた。具体的には、カリフォルニア州サンマテオのソーラーパネル設置会社SolarCityに対して、プロジェクト投資融資財源として2億8千万ドル(約225億円)の供出をすることにした。

このグーグル社資金供出の裏には、2008年に連邦財務省が代替エネルギーへ投資する企業について、投資額の30%まで税額控除する利点が含まれていることは見逃せないが、個人の住宅のソーラー発電導入をする際に、個人が初期投資をすることなく、電力コストを引き下げることができるので、ソーラーパネルの個人宅での導入に大きなインパクトが見込まれてくるようになる。当然、ソーラーパネルを設置するSolarCity社にとっても、ソーラーパネルの調達規模を拡大することで、コストを引き下げることも可能になるし、設置要員などの雇用増大にもつながって行くだろう。

以前、私がソトコト誌で取材をしたボールダー市にあるMain Street Power社も同様のビジネスモデルを展開しているが、Main Street Power社が公的な団体(学校、病院、刑務所、あるいはアパートなど)を対象としているのに対して、SolarCity社は、個人住宅を対象としている。両社とも個人がソーラーパネルを設置する場合は、設置業者側がソーラーパネル装置全般を保有することになり、公的な電力会社よりも低額で長期にわたり電力販売契約を取り結ぶものだ。個人は初期投資を避けることができ、しかも電力会社よりも安いコストでエネルギーを買うことができるので、メリットは大きい。日本では、電力会社以外がこのようなビジネスモデルを展開できないと思うが、官僚的な縦割り行政の弊害なのかもしれない。

電力問題は、東北大震災でいかに極度の生産集中が危険なのか露呈をした。電力会社は、利益を産み出すために極度の集中生産あるいは効率を求め過ぎてきた。その極度に集中した拠点が災害にあった際には、インフラ全般への波及も見られたことから、政府としてもより柔軟な施策を導入できるような地盤造りが必要になってくるのではなかろうか?多くの家庭が、ソーラーパネルなどの設置をすれば、ダムや発電所を作る巨大建設会社だけでなく、より底辺においての経済波及効果も大きいだけでなく、関連技術やサービスの拡大にもつながってくると言える。大手優遇の経済の民主化にも役に立つはずだ。

グーグル社がやろうとしていることは、先端的行動には違いないが、これは連邦政府が率先してやっているエネルギー政策を受けているものであり、日本においても、監督官庁の規制をどのように柔軟に対応させるか、識者の政府への圧力も必要になっている。石油エネルギの約100%を輸入に依存する日本としては、民間と官界が手を組み、日本のためにあるゆる施策を講じるべきだろう。アメリカのエネルギー政策にも欠点は多くあるが、このような柔軟な施策がとれる土壌は、日本よりも強い。日本の自動車メーカーや家電メーカーが出資母体になっても、新規事業をこのような面で大いに取れるような日が来ることを願っている。

Friday, January 21, 2011

ウォールマート アメリカのスリム化に向けて運動始動


これまでこのブログで何度も取り上げてきたが、アメリカの肥満は危機的状況に達してきている。地図を見ていただくと、ボールダーのあるコロラド州は、アメリカの中で一番肥満度の少ない州であり、ことボールダー市については、健康的な人が多いことからここに住んでいると気がつかないのだが、ひとたび他州へ仕事でも行くようなことがあれば、肥満比率が高くなり別世界に行ったような錯覚に陥る。

アメリカでの肥満が年々高まってきた原因は多々あろうが、利便性と低コストが優先されたことが主因のような気がする。それに大きく、悪い意味で、貢献をしたのは農務省の長年とってきた農政といくつかの作物に対する補助金によるところが多いと多くの学者は述べている。トウモロコシ、大豆、小麦などが補助金によって大量生産されることになったこと、そうして補助を受けているからこそ、価格が安くなり、これらを使った加工食品が増えつづけ、補助金を受けない生鮮野菜や果物が相対的に高価になってしまい、健食が摂りにくくなったと言うわけだ。

どこのスーパーへ行っても、店舗の中央にある加工食品棚の商品は、果物や野菜などよりも相対的に安い。しかも、電子レンジなどに入れれば食べられるようなものも多く、安くて利便性があれば、人が流れるのはうなずけるものだ。

今週、全米で最大の小売チェーンであるウォールマートが、グレートバリューの自社ブランドで売られていた加工食品の減塩、減糖、トランスファット脂肪酸の利用削減目標を打ち出して本格的に消費者に提供する食品改革に乗り出した。このムーブメントは、そもそも、ミシェル・オバマ大統領夫人が大統領夫人として取り上げているキャンペーンの一つであり、ウォールマートの幹部を動かし、達成した大きな運動だ。

鉄平オーガニクス ブルーアガベシロップ

加工食品の改善だけでなく、注目するべきなのは、ウォールマートが今回同社の巨大な調達力を利用して、野菜や果物にも焦点を当て、より価格を下げる方向性を打ち出していることだ。野菜や果物は、手頃感がないと云うことで、低所得者層の人たちが買えなかったものを、買えるようにしてあげようと企業努力がうかがえる。オバマ夫人の強い働きかけがあることはわかっていても、1民間企業へ大統領夫人がこのように働きかけ、露出の点でも協力していることは、ウォールマートの持つ業界全体への巨大な影響力を見込んでいることはいうまでもない。

ウォールマートがこのような健食運動を始動すれば、その他の食品大手が無視し得ない状況に追い込まれるからだ。ジェネラル・ミルズ社、クラフト社などなど見えざる圧力は出てきそうだ。

ウォールマートが全食品カテゴリーを見直し、規模の経済を通じて、ヘルシーな食品をより買い求め易くするようにすれば、少なくとも自宅で食事をする限りでは、健食へと次第に動き始めるだろう。ウォールマートはヘルシーフードだから値段を高くするのではなく、競争力を持つ価格帯に設定したい意向だ。こうなると他の小売チェーンなども追随することになろう。

ウォールマートといえ、清涼飲料水やすべてのデザートなどをすぐには改革することはできないだろう。しかし、アメリカでの肥満の問題を真剣の取り上げようとすれば、このように大統領夫人が音頭取りをしなければならないところに、通常の議会や官僚機構だけでの改革は難しそうだ。日本では、加工食品の比率が多くなり、食品に関する規制が、単なる官僚の事務レベルで行なわれるケースも多いだろう。しかし、健食を強く打ち出したいときには、官僚や政治を超えたレベルでの、民を思い、改革していく手段があるのだろうかとフト不安になった。ミシェル・オバマ夫人のような人が日本にも出てきて欲しいと感じる今日この頃だ。