Monday, August 28, 2006

温室効果ガス抑制に動きはじめたアメリカ


これまで地球の温暖化が進んでいると云う議論がなされるとき、ブッシュ大統領や保守派は、地球温暖化を主張する科学者たちが左翼偏向をしていると言うことで議論をすげ替えていたきらいがある。そのために、国民の意識をエネルギー節約や、温室効果ガス発生抑制と云うことでの真剣な議論になってきていなかった。連邦政府の姿勢も、地球温暖化問題を取り上げるより、テロリズムなどによる国の安全議論へ話をすげ替えたり、アメリカの景気論議の問題にしたりしてきた。

ただ、現実問題、アメリカの国立公園で、地球温暖化のせいか、カブトムシが繁殖をし過ぎる状況となり、普段は存在しなかった地域に長く居座り、森林資源を食い物にして大木は被害を起こし始めている。地球温暖化の事象はあちらこちらに見られるようになり、アールゴーア氏のAn Inconvenient Truthが放映されるに至って、米国の政治家も無視しえない状況になり始めている。

ブッシュのイラク侵攻や、アフガン問題にしても、国民は石油資源確保に躍起なブッシュ陣営に見えるようになっているのだろう。サンフランシスコ・クロニクル紙のZachary Coileワシントン特派員は、米国公共電力業界のトップが講演をするにあたって、温室効果ガス抑制の連邦規制は時間の問題であり、その心づもりでいなさいと講演をしていると言う。この業界団体は、これまでは連邦政府の温室効果ガス抑制の規制に反対をしてきていただけに、彼らの受け止め方は、ワシントンの考え方、特に11月に選挙を迎える上下両院の議員たちにとっては大きな問題になってきているのだろう。

2年前までの選挙は、9/11の大事件後でもあり、テロ対策が大きな国民の関心事だったが、今は徐々にアメリカの中東政策が何か間違っていると考える良識派の数が増えてきているのだろう。しかも、ハリケーンカトリーナの対策をきちんととれなかったブッシュ政権、あるいは共和党全体への反発などもあるのだろう。先回の大統領選挙のときは、テロ、イラク戦争問題、それにゲイ、堕胎などの保守派の宗教的な要素が強い政治案件が重要な選挙課題になったりした。今回は、高騰するガソリン価格、ベトナム化したイラク紛争、不法移民の問題、そうして、資源も含む地球環境にも目が向けられるようになったと云って良い。

まだ、正式に大統領候補は立候補していないが、共和党の有力候補のアリゾナのマッケイン上院議員、あるいは、民主党ニューヨーク選出のヒラリクリントン上院議員なども、温室ガス効果抑制に賛同の立場を示している。トップまでがそのようであれば、地方レベルでもその議論は間違いなく行なわれており、ブッシュの政策は何か置き去りになっているような気配さえする。

北米トヨタのジム・プレス社長も、自動車業界は、規制反対と云う見方に決別を図るべきだと云うたぐいのスピーチを始めていると云う。これまで、GM社やフォード社に遠慮をしてか、日本の自動車メーカーは、控えめに動いてきたが、このような発言ができるようになるほど、アメリカの環境問題に関する国民の姿勢は変化してきていると見るべきかも知れない。ボールダーの市民が、小型車のモデル都市になりたいと動いているのも、そのようなアメリカの雰囲気の先行指標だ。ロハスと云う言葉はあまり出て来ないが、実質的には、多くの側面で、地球環境が表に出たりするようになったのは、まさにロハスが背景にあると見ている。

地球環境が良い方向に動くようになるのには、小手先の変化だけでは到底達することはできない。巨大タンカーのようで、舵取りの方向転換を行なっても、タンカーが動きを変えることは容易ではない。でも、世界の25−30%のエネルギーを消費しているアメリカが変わると云うことは、決して小さな事実ではない。ボールダーの街も、次の選挙では、課税を強化してでも温室ガス効果削減のための財源獲得に向けて動いている。そうなのだ、静かな革命が進行をしている。地球環境を取り戻そうと云う革命だ。そのようなアメリカ市民を応援したい。

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