Tuesday, September 12, 2006

格差あるアメリカの寿命(八つのアメリカ)


アメリカは大きな大陸だ。そうしてそこに住む人たちも多種多様だ。人種のるつぼと云われたり、るつぼではなくサラダボウルのように違ったものが寄せ集まった国とも表現されている。軍事大国であり、月に人を送り出せるような技術を持っている経済技術大国だ。多くのノーベル賞科学者を出す研究大国だ。しかも先進国の中ではただ一国人口的にも増大をしている国だ。人口増大の大きな原因が移民の増大と云うことも含んでいるが、それにしてもこの国の魅力は、衰えることを知らないらしい。

あまりにも大きいこの国の実態を見ていくと、アメリカとはモザイク模様のような格差のある国だと云うことが分かってくる。ハーバード大学を中心とした7人の学者が、アメリカの諸々の人口、出身人種、所得、居住地域の人口密度、殺人ケースや寿命統計などから、アメリカを特性のあるグループに分類をしてみたとき、アメリカは八つの特異なグループに分けられることが判明したと云う。その八つのグループとは、アジア人、北部低所得農村部白人、ミドル・アメリカ、アパラチア・ミシシッピー渓谷低所得者白人、西部ネイティブアメリカン、黒人ミドルアメリカ、低所得者南部農村部黒人、ハイリスク都市部黒人などがそのようになっているようだ。

長い間にわたって、アメリカの人種間においては寿命には大きな格差があるだろうと云うことが云われていたので、今回の検証は、地域、所得、人種、犯罪などの特性によって格差が厳然としてあると云うことが証明された。もちろん、健康の不均衡がタバコ、アルコール、や肥満などでどのように差が出てきているか迄は調べられていない。もちろん、きちんとした医療設備やスタッフの有無と云うことも、どのような差につながるのかも分かっていないのが現実だ。

格差の事例として、2001年のデーターとしては、ハイリスク都市部黒人とアジア人女性を比べてみると平均寿命は何と21年もの違いがあった。ネイティブアメリカンや黒人などの平均寿命が極めて低いことが判明したのは、社会的弱者の問題を浮き彫りにした事例と云っても良い。その他、アジア人の寿命が高いことは、理由までは述べていないが、教育レベルなどの原因なども考えられよう。

以前も書いたが、ナチュラルフーズのホールフーズスーパーが店舗拠点を検討をする時に、プライオリティ付けをするのはそれらカウンティーの教育水準を見ていくのだと云う。つまり教育水準が高ければ、所得も高く、健康意識や環境意識についてレベルが進んでいるとの判断があるものだと思う。地図を見ていただくと、コロラド地域の平均寿命は相当高い。今回は細かい数字は検証していないが当然ボールダーのようなロハス的な地域は、健康指数や寿命などでもダントツに良いのだろう。

格差の数字がでてきたのは良いとしても、それを是正するような、施策がとられることを願っている。このような寿命研究はマーケティングなどでも大きな意味を持っているのであり、民間企業は大いに利用をするべきだが、政府としては格差が広がらないように何らかの対策も必要としているだろう。

3 comments:

さしみ said...

マサチューセッツに住んでいる者ですが、学歴の差と言うのが就職の有無に反映し、就労していないと健康保険を自分で全額払えないため病院に行かれないと言うのが現実です。就労しても職場が保険代を出してくれない事もしばしばあるようです。また、保険に入っていてもなかなか予約が取れない事が多いです。専門医の予約は疾患の重さによりますが数ヶ月から半年先になるのが通常です。なので、学歴の差は日本よりも遥かに大きく健康維持の差に繋がります。

さしみ said...

マサチューセッツに住んでいる者ですが、学歴の差と言うのが就職の有無に反映し、就労していないと健康保険を自分で全額払えないため病院に行かれないと言うのが現実です。就労しても職場が保険代を出してくれない事もしばしばあるようです。また、保険に入っていてもなかなか予約が取れない事が多いです。専門医の予約は疾患の重さによりますが数ヶ月から半年先になるのが通常です。なので、学歴の差は日本よりも遥かに大きく健康維持の差に繋がります。

Kei Izawa said...

さしみさん

コメントをありがとうございます。おっしゃられることは十分に良く理解できます。この調査は人種や犯罪などを見ているようですが、私は教育、学歴の格差は多きのではないかと見ています。