
今日は食について述べるのではないが、ニューヨークタイムズに面白い記事が出ていたので紹介をしたい。この健康の関する動きは、何か常識を覆すような動きだが、よく考えてみるとこれまでの健康産業自体が間違った方向へ行っていたのではないかと考えさせられ、本来の姿を模索している、連邦政府、州政府や自治体の悩みを浮き彫りにしていると言えよう。もう数十年も前だが、日本の国の予算で大きな問題は3Kと言われていた時代があった:国鉄、米と健保だった。国鉄は一応は民営化されているので、除外するとして、洋の東西を関わらず、農産物の補助金と健康医療の問題は頭痛の種であることは間違いない。
健康医療費がうなぎ上りなのは、今日はその理由を詮索しないようにするが、国や自治体だけでなく、健康保険のサービスを提供している企業にも苦痛を与えている。国民にとっても、アメリカにおいては国民健康保険が無いために、所得層によっては健康保険サービスを受けられない層が増えており、社会的な不安の原因にもなっている。今年の大統領選挙においてもヒラリークリントン前候補が打ち出した国民階保険の政策提案は、アメリカ国民の強い政策要望であると見て良いだろう。
しかし、現在でも巨額の医療費予算がつぎ込まれているのにも関わらず、健康のサービスを賄えない理由とは何なのだろうかと多くの人を悩ませてきている事象の一つだ。アメリカの医療は多くの矛盾を抱えている。医学や病院は最先端レベルを行っているにもかかわらず、人々の受ける医療サービスはあまり高くない。この社会的矛盾を解決する方策の一つとして、ホームドクター、内科医、小児科医などに対して、報酬を引き上げてみようと云う実験がとり行なわれているという。一般的に考えると、財政難の時に、医師に対して報酬を引き上げるのは変な感じがするのだが、この実験を試みている人の考えは、報酬を高めることによって、まだ問題が発生する前の段階で医師たちがより丁寧な診断を行ない、患者と今以上に時間をたっぷりとかけることによって、その後の何千ドルもする高価で不要な検査料、専門家の診断や病院での治療を避けようとするものである。

保険企業も複数の州で試験的に数千人の医師と200万の患者などで運用のテストを行なっている。また、公的部門のメディケイドやメディケーアはノースカロライナ州の実験で2006年に1.62億ドルも節約を達成したという。その支出節約は、本来払ったであろう金額よりも11%もの節約と云う方かなり大きいと言わざるを得ない。
このコンセプトはブッシュ大統領の賛同するところではないらしいが、議会は大統領の拒否権を覆すだけの力を発揮して、このメディーアのパイロットプロジェクトテストのために1億ドルを供出することで可決したところだ。このプロジェクトの中には、医師がスタッフを雇い、より木目の細かい医療サポートを行なうことを認めている。まだ、実験の段階だが、かなり前向きな結果が予測されているからこそ、このような実験に予算を付け始めているのだろう。

このように医療の面で事態がかなり悪化するまで野放図にする仕組みにも大きな問題があることが判る。薬剤メーカーも、病気が相当悪化した時にはもっともっと専門的な薬が売れる訳だ。医療とは何なのだろうか、健康維持をすると云うことで、我々市民は誰を信じたら良いのか判らないときも出てくる。だら、平常から健康に気をつけるように、健食、運動、ストレスなどに大いに注意を払いたいものだ。健康三昧なんて素晴らしいではないか。三昧とは、もともと梵語で「心を一つのものに集中させて、安定した精神状態に入る宗教的な瞑想」を指しているらしい。みなが健康三昧をしたら、世界はきっと素晴らしいところになりそうだ。
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