
このように投資の問題だけでなく、日本側の車種構成がアメリカのクルマのニーズシフトにピッタリだったことも大きな要因だ。しかも、近年、トヨタのプリウス、ホンダのシビックのようなハイブリッドで市場に先駆的イメージを植え付けるのに成功していることも忘れてはいけない点だ。その上、トヨタ社(ヤリス)、ホンダ社(フィット)、日産社(ベルサ)などは、韓国勢の躍進を少しでも歯止めするということで、より若者向き、より小型、より燃費効率の良いクルマの導入を怠ってこなかった点が、幸運だったものだ。上を狙うだけでなく、後方にも眼を配るやり方は戦略的に正しかったと言える。最近では、ホンダ社がフィットのハイブリッド化することが噂されているので、たのしみなことだ。

しかし、窮鼡となったフォードは(窮鼡と言っては失礼かも知れないが)、やっと重い腰を挙げ、新たな動きを始めようとしている。その背景には、トップにもと航空機メーカーのボーイング社のマラーリ氏を社長に登用したからに他ならないと思う。「外部もの」を使うことで、デトロイトにやっとNIH症(Not Invented Here syndromeは排他的な行動のことを言う。自分が設計デザインしたものでなければ採用はしない技術者の欠点とでも言うべきか)が無くなるきっかけができたようだ。売り上げが急減しているフォードとしては、早く体質改善を目指さなければ、長期的視点で見れば完璧に衰退することになりかねない。しかし、売り上げが下がっているとは言え、世界市場の中で見ると欧州フォード、ラテンアメリカフォード、アジアフォードは利益を上げているのだ。そこの体質をアメリカに持ち込めるのかにかかっている気がする。それを今までのデトロイト自社勢力(村体質的な)は認めていなかったものを、マラーリー社長は必死になって社内の幹部説得に動いているらしい。社外ものだっただけにできる発想かも知れない。
フォード社が発表しているところによると、「2010年から欧州ベースの小型車6モデルを使って小型車攻勢」をかけるという。ベースとなるのは欧州フォードのフィエスタ・モデルとフォーカス・モデルだが、現在アメリカの連邦規制に合うように調整を急ピッチで始めたという。
また、フォード社はSUVのエスケープなどのハイブリッド車2モデルを出しているが、2009年までには4モデルまで引き上げる予定だそうだ。12月には、大型トラックやSUVを生産している工場を小型車生産に転換し始めるらしい。また、フォード社は、現在のクルマのラインアップに使われているエンジンのほとんどのものをより燃費効率の良いものに切り替えか改善するかを始めており、2010年末までにはその作業は完成する予定とのことだ。
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一番大胆なのは、2010年までに、欧州フォードとの車体共通化は40%に引き上げ、2013年までにその共通比率を100%に引き上げると云う点だ。もちろん、欧州におけるガソリン価格はアメリカの価格に比べて倍以上しているので、それと同じベースにすると云うことは、フォード社の提供するクルマのラインアップの燃費水準はかなり改善されることだ。トラックをどうするかは詳しく述べられていないが、共通化については、トラックを除外し乗用車だけについて述べているのかも知れない。推移を見守りたい。トラックについては、業務用で人気のあるF150モデルは、次期世代のモデルを今年の終わりに出すが、燃費は7%向上しているという。

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