

ピケンズ氏の言によれば、石油産出は2005年にピークに達してその後は需要の増加や価格の高騰にも関わらず、この三年間における石油産出は下がってきているのだと。石油産出コストは上がり、石油探査は毎回難しいところに移っている。しかも、増え続ける需要を満たすだけの石油は掘り起こせなくなっているのだと。真実は、安価で簡単に発掘できる石油の時代は終焉した。しかし、悪いニュースばかりではない、良いニュースは、アメリカの気候図を見ていくと、アメリカはまさにウィンドパワーではサウジアラビアの石油に匹敵するだけ豊かな風力資源を有していると。
気候気象などの研究によると、アメリカ中部を南北に走るGreat Plainsは世界における風力発電の潜在性としてはトップクラスにランクされる地域だそうだ。現在の風力タービンは、塔の高さが123メートルにも達し、羽の長さだけでも直径44メートルを超えるものだが、一般的に一基の風力タワーで一年間に3メガワットを発電する。これは輸入石油の1万2000バーレルに相当するものだ。現在のアメリカの風力発電は480億kWhの発電を行っており、450万家庭に必要な電力量だという。この数量では、アメリカの総需要の1%を満たすだけなのだそうだが、ピケンズ氏によれば、風力発電の潜在性は高く、相当数量を賄えるようになるだろうと見ている。
また、ピッケンズ氏は、自動車の燃料としてはガソリンを無くし、アメリカに豊富にある天然ガスを利用するように訴えている。天然ガスはコストも安く、国内で自給できることから、そちらにシフトをするべきだという。天然ガスですでにHonda Civic GX Natural Gas Vehicleなどがアメリカで売られており、ピケンズ氏はホンダ・シビック車を推奨し、クローズアップしている。 ハイブリッドや電気自動車の議論も高まっており、アメリカの自動車市場は今後10年で大きく変化することになろう。
ピッケンズ氏は、石油で長者になっただけあって、テキサスで彼の実力を信じている人も多い。そのためテキサスの公共事業委員会(Public Utility Commission)は、西部テキサスにある風力発電の地域から、都市部までに送電線を建設するために50億ドルに近い予算を通過させたばかりだ。この風力発電を活用できるために、投資される金額は、電力利用者が毎月4−5ドルの追加支払うことで財源が捻出されていく予定だ。公的部門が、連邦政府(国)を超えてこのように率先していくやり方には驚かされるところがあるが、一旦インフラができたら、その後の発電コストは風力が原材料になるので、テキサス地区の経済発展の大きな基礎となっていくことが想定される。

行間を読んでいると、イラクアフガン戦争に巻き込まれているのは、アメリカが当地域からの石油依存が高すぎて、地政学的に必然的に巻き込まれているのだと云うことを言っているようだ。アメリカは資源は豊かであり、それを活用しようというのは至極当然なことだが、どうも中東離れをするきっかけも求めていることが窺える。いずれにしても、議論が、環境にとって良くなる方向、あるいはアメリカの経済基盤変化に大きな推進力となるような方向へと進み始めているのは素晴らしいことだと思う。ピッケンズ氏は、風力発電により、より多くの職をアメリカ人に提供をして行くことを求めているが、それはアルゴア副大統領も同じことを言っている。国家的にエネルギー自活して行くためのリーダーシップを、政府部外の民間人の声で動き始めている訳だが、アメリカあるいは近海の油田開発に頼るより、再生可能なエネルギーとして風力を取り上げたりする意識が高まっただけでも嬉しい。
日本においても国家政策として、エネルギーの問題をより積極的に取り組んでいかないと、省エネだけでは十分でない気がする。官庁が率先しているアクションの中に、より大胆な国家事業的な施策が盛り込まれることを願ってならない。
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