Monday, July 31, 2006

どこへ行くエタノール

CNNのMoneyが伝えることによると、アメリカでは、トウモロコシベースでのエタノールの生産には限界があるので、次のステップのエタノールである、セルロースベースのエタノールが研究されていると云う。それはそうだろう。いくら農業的に資源が豊かと言っても、アメリカの自動車のガソリン需要を農業で賄っていくと云うことはどのように考えても無駄が大きすぎる。もちろん生産農家にとっては、自分たちの作物を使って、エタノールを生産すると云うことは、収入的にはプラスになるだろう。しかし、これまで食料や飼料用に作られてきたトウモロコシを、燃料にするのには、よほど燃費効率の良いクルマを使うものに転換をしていくものでない限り、理にかなっていないのは明白だ。

セルロースベースのエタノールは、原材料に事欠かないものだと云う。なにしろ、木材くずだろうと、落ち葉の回収したものだろうと、海のヘドロだろうと生ゴミだろうと、炭素が入っている資源である限り、使えるものだそうだ。そうしてこのまだ未使用の資源を使おうと云う姿勢には感心をするが、どうしても腑に落ちないのは、このような社会インフラを整備するためのコストをどのようにひねり出していくかだ。ましてや、現状のライフスタイルを変化させようと云う意識は感じられず、引き続き無駄遣いのベースが続いていくものように思える。

アメリカのエネルギー需給の構造は、変化しなければいけない時に来ている。そうして現在多くのエネルギー代替案が出てきている。クッキングオイルを使ったディーゼル改造車なども出てきているが、話題にこそなれ、それがアメリカのエネルギー政策の根幹にならないことは目に見えている。エタノールなどについても、それがトウモロコシベースのものであるか、セルロースベースのものであるかにかかわらず、産業構造の中に組み込んでいくのには、まだ多くの時間と議論を要するだろう。ブラジルのエタノールが脚光を浴びているが、その中で、砂糖などの価格も高騰してきている。資源を転用するとそのように歪みがどこかで生じてくると見なければならない。アメリカのトウモロコシの生産がエタノールへ向かえば、飼料コストが跳ね上がり、いろいろな畜産農家に打撃を与えかねない。消費者も食品コストの跳ね上がりで苦労を強いられるだろう。

アメリカのエネルギー政策がどのようなものになるにせよ、環境へのインパクト、社会インフラの整備コスト、国民の意識の変化などまだ、検討を要する問題は多い。ネズミたちが誰が猫に鈴を掛けるかと議論をしているような状況といって良い。その間に、賢い国民は省エネ対策へ自然に動いていくだろう。そういう小生も来年は、家にあるクルマをきっとハイブリッドへの転換を進めていることだろう。すでに、ソラーパネルは設置をしたように、政策ベースの混乱が収拾するのを待っている訳にはいけない。

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