Tuesday, December 26, 2006

矛盾だらけのアメリカの燃費議論(その1)


ワシントン・ポストのコラムニストのジョージ・ウィル氏が掲げた驚くべき数字を紹介しよう。これはアメリカ人の平均体重の変遷とアメリカのクルマのガソリン消費についての関連性を掲げたものである。ウィル氏曰く、「アメリカ人の平均体重は男性で191ポンド(86.6kg)、女性で164ポンド(74.4kg)であり、1960年から見るとそれぞれ25ポンドも増えた。また、別の調査によると、2003年においてアメリカ路上を走っている2億2300万台の乗用車および小型トラックを見た場合、乗員の体重が1ポンド増えるに従い3900万ガロンの年間追加的燃料消費につながると云う結果が出た。アメリカ人が1960年時代のようなほっそりした体型(相対的な話だが)だったときと比較したら、現在は(体重増分により)年間10億ガロンものの追加的な燃料消費を行っている」と。皮肉なことだがアメリカの肥満が、アメリカのエネルギー政策や外交政策、中東に関わる軍事政策までにも大きな影響を及ぼしていることになる。

もちろん、一般的に云ってアメリカのクルマは小型化・軽量化しているろ云える半面、安全面での車体強化、空力特性を引き出すために硝子面の使用の増大、エンジンの高出力化などもあり、台当りの鉄板使用量は減少しているものの決してロハス的なクルマ製造までには至っていないのは事実だ。燃費の改善、クルマの軽量化、安全の強化、空力特性の向上、車内居住空間の快適さ改善、視界の改善、トランクルームの広さ改善などは、一見して当然消費者が求めるものだが、往々にして相対する要件だと云うことは、クルマを設計する人にとっては頭痛の種に違いない。自動車メーカーが各方面での努力をしている事実を否定するものではないが、まだ、ロハスと云う概念に沿ったクルマを創出する余地は大いにあると云える。今後が楽しみなところだ。次回のブログでは連邦の規制について書くが、燃費議論は錯綜している。

アメリカの肥満は、このブログでも引き続き書いていくつもりであるが、エネルギー政策などに関わってくるとは完全に思いつかなかった。アメリカの洋服のサイズも、徐々にアメリカ人の平均体重が増えるに従い、サイズの解釈が緩やかになっていると云う。つまり、今までサイズ8だったヒトが、太っても引き続きサイズ8が着れるような場合がそうだ。クルマにしても、乗員の平均体重の変遷を受けて、シートの強度を高めたりするなど、シートの幅さえ少し余裕のあるものに変えざるを得ないかも知れない。クルマの足回りにしても定員の平均体重が増えるのであれば、それに対応をした基本設計をしなければならないだろう。肥満が、このような見えない分野にわたっても資源の無駄使いに関わってくると云うのはよく考えなければならない。

燃費の議論から少しずれるが、アメリカの糖尿病患者はすでに2100万人いると云う。この直近の10年間だけで糖尿病患者は何と80%も増大したのだそうだ。糖尿患者のすべてがタイプ1であったり、すべてが肥満であったりと云う訳ではないが、それにしても食事の問題、運動不足の問題、社会的なストレスの問題などロハス的な関わりは多い。今後のアメリカの、エネルギー政策を見るにつけ、体重も参照することを忘れたくはない。ロハスにより、アメリカのエネルギー使用の削減を目指せると面白い。

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