Saturday, September 01, 2007

成熟期に入るホールフーズ

長らくボールダー発のナチュラルスーパーとして君臨してきたワイルドオーツが、先週全米で最大のナチュラルスーパーのホールフーズに吸収合併された。ホールフーズは、テキサス州オースティンに本社があり、ボールダーに本社をおいてきたワイルドオーツが軍門に下ってきたためにボールダーにおける拠点の再編成が注目されてきた。ワイルドオーツは当市において本社機能はもとより、販売拠点を三つほど有していたこと、あるいはトウェンティー・ナイン・ストリートモールにもフラッグシップ店のオープニングを計画していたためにまさに市民の大きな関心事となっていた。ホールフーズがワイルドオーツの買収を発表したのは今年の2月だが、春に連邦取引委員会(FTC)が、ホールフーズがハイエンドのナチュラルビジネスで寡占的な立場に立つと云うことで、吸収合併に反対を表明し、調査に乗り出し、裁判所に吸収合併の中止を求める訴えを起こした。

今回の吸収合併で大きな話題になった課題はいくつかある。それらを紹介すると:
1、ホールフーズがナチュラル市場で果たして寡占的な地位を獲得したのかどうか。つまり、価格競争を妨げられるほどの力になったのかどうかが争われたこと
2、ワイルドオーツの発祥の地で、ロハスのメッカと云われているボールダーで、ホールフーズがどのような拠点の再編を行なうのか
3、ホールフーズのCEOのジョン・マッキーが、ヤフーファイナンスのブログに匿名でワイルドオーツへの中傷批判、あるいは自社ホールフーズの礼賛をしたことによる倫理上の問題、内部のものの株価操作とも取れる活動などが話題になった。

結果的に言うと、裁判所の出した判断は、もはやホールフーズがナチュラルビジネスで寡占的な力を発揮していないと云うこと。つまり、ナチュラルなビジネスは、かなり主流に入ってきており、他のナチュラルスーパーの活躍をはじめとして、大手のウォールマートやセーフウェー、キングスーパーなどもナチュラルそうしてオーガニックなビジネスを強く展開し始めているために、消費者はホールフーズにいかなくともナチュラル、オーガニックな食品などを買えるようになったと判断した訳だ。ボールダーにおける新規ホールフーズの拠点展開については、集約化が噂されていたものの、結果的には、ボールダーの伝統的なワイルドオーツの拠点を維持保全することが発表され、ボールダーッ子を喜ばしている。唯一の方向転換はトウェンティー・ナイン・ストリートモールのフラッグシップ店のオープニングを中止して、開店させないところに持って行ったくらいだろう。それは、現在のホールフーズの拠点を拡大する予定を組んでいたこともあり、そちらを優先させることが決まったと云うものだ。

また、同じホールフーズ傘下においても、ワイルドオーツのメイン拠点だった、ブロードウェーの拠点は、原点に戻りアルファルファマーケットと命名され、アルパインアベニューのアイデアルマーケットは、引き続き同じ名前を継続していくことになった。この二つの店舗のグレードアップはされることが発表の中にあり、ボールダー市民を安心させるだけでなく、ボールダーのナチュラルビジネスの伝統を敬意を持って保存することになった。ベースラインのワイルドオーツは、ホールフーズマーケットエクスプレスと云う名前に変更され、新たなホールフーズの実験店舗の役割を果たすことになるとの発表だ。マーケットエクスプレスは、大学のキャンパスに近いところにあることもあり、日本のコンビニ的な手軽さで、いろいろとナチュラル用品を集める拠点になりそうで、今後の実験は注目されるところ。隣町のスペリアーにおいて作られていた、ワイルドーツの実験店舗は、そのままホールフーズに名前を変えて行くことになりそうだ。

今年から来年にかけて、ボールダーのナチュラルスーパーは大きく変わって行くことになるだろう。サンフラワーマーケットが新規参入をしてくるだけでなく、既存のセーフウェーもナチュラルブティック形式で成功をしていることから、このマーケティングをさらに強化して行くことだろう。セーフウェーのオーガニックラインも拡充してきていることもあり、セーフウェー店あと二拠点の改装もされてくる可能性も高い。また、大手のキングスーパーなどもナチュラル食品の展開を始めていることから、ボールダーのナチュラルマーケットはさらに先鋭化することが見えている。

ジョン・マッキー氏の経営者としてあるまじき行動については、アメリカのメディアはかなり叩いてきたが、裁判所がホールフーズのワイルドオーツ吸収合併を許したことから、注目はその再編に対して向けられてしまい、現時点ではネガティブなメディア報道は減ってきたと云えよう。ホールフーズは、ナチュラルビジネスの大成功企業に伸し上がってきたが、その自らの成功が競争相手を引き込むことになってきたと云える。健康や環境問題を無視してスーパー事業が営めなくなってきた時代だが、その中心的な役割を果たしてきたホールフーズがワイルドオーツの買収でさらにメインストリームに突入をし始めた。機会があれば、ボールダーの現況を追加的に書いて行きたい。

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