Sunday, March 09, 2008

マクロとミクロの循環


ニューヨークタイムズ紙に鳥に餌を与えたいのなら、まず虫たちに餌を与えないといけないという記事が出ていた。もちろん当然と言えば当然のことだが、都会の人間はとかく、鳩や小鳥たちに餌を与えるときに、どうしても家に残ったパンや買ってくる小鳥の餌を想定するに違いない。

よくミミズがいる土地は良い土地だと言われることがある。でも、ミミズが生きていける環境が必要で、それは様々な土壌菌が必要だということはあまり聞かれない。ミミズやその他の小さな昆虫が居れば、小鳥たちの餌になり、鳥たちも糞を落とし、自然のサイクルは動いていく。

最近の都会は、緑が少なく、その上で公園と言っても、人間様のことばかりを考えた施設であり、砂利が敷かれたり、コンクリートの遊歩道があったり、土壌菌の出現する場所などが少ない。子供の頃どろんこ遊びを経験してきた小生にとって、最近の子供は汚れて帰ってくるようなワンパク小僧たちがいるのだろうかと思ったりする。家では、清潔好きな母親が、殺菌石鹸や殺菌トイレタリーで家中が無菌状態のようになってしまっては居ないか?

その土壌菌が繁殖するように土地を改良するとなると、そのような考えでもってすれば良くなるはずがない。今回の富山訪問で大きな感銘を受けたのは、その土壌菌を培養して、農地や家畜の餌に入れている工夫と努力だ。現代人は、ますます土地から離れ、有益な細菌から遠ざかってきている。しかも、栄養価の下がった加工食品や人工肥料などで作られた作物などを食べている。レタスに虫がいるようなら、今どきの家庭主婦はスーパー側に抗議をするかもしれないくらい虫アレルギーだ。

トヤマNB菌を開発されたスズキファームの鈴木さんと永田さんは、もっともミクロの世界を見ている人たちであり、それがよりマクロの環境へ波及する力を感じ取っている人たちだ。循環型経済は、とかく人間の視点から見た循環ということだろう。だが、本来は、マクロとミクロは共生し合ってこそ、この世の中が健全に循環していることに他ならない。

野鳥の会など、鳥の観察をする人は自然を大事にする人が多い。当然のことながら鳥のハビタットを守ってあげることから、鳥の生息が増える訳であり、自然保護が大事になってくる。乳酸菌への関心の高まりは、この広義の自然循環を示しているものだが、特定企業が推奨している乳酸菌だけが良いのではなく、バランスの取れた乳酸菌に限らない土壌菌全般の活用も視野に入れるべきだろう。最も小さい仲間たちが、我々人間の大きな助っ人になっているという認識と自然観も必要な時期に来ている。

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