Monday, August 06, 2007

アメリカお持ち帰り食材の動向

スローフードの運動が始まってから久しい。しかし、アメリカではファーストフードだけでなく、テークアウト、つまりお持ち帰りの習慣がどんどん増えてきているらしく、忙しい現代人の姿とスピーディーなライフスタイルが顕著になってきている。テークアウトの代名詞はチャイニーズ料理だったが、最近では中華料理にこだわらず、ちょっと気取った高級料理店のモノも増えているらしい。いつの間にかテークアウトを無視できない状況になってきているようだ。スローフードを標榜するヒトも多くなっていると思うが、ファーストと便利を追求するヒトは減らないようだ。

1955年には、食品購入の予算の25%がレストラン関係に使われてきていたものが、今日においてはアメリカ人が食費の内、外食に投下する比率は何と48%にも達している。こうなってくると5370億ドルものの外食産業が無視し得ない状況になってきていると云えそうだ。しかも、その使われ方に変化を見せているのは、お持ち帰りの比率が高まっている点だ。2006年の統計で見るとレストラン内で食事をする回数とお持ち帰りの比率は既に逆転していると云う。つまり、アメリカ人は平均して一年に208外食を食事するとのことだが、その内でレストラン内が81回なのに対して、お持ち帰りが何と127回になると云う。このような統計は業界団体の調査機関が発表しているので、中身と意味を良く吟味してかからないといけない訳だが、アメリカの外食比率、その中でもお持ち帰り比率は確かに増えているらしい。

レストランなどもこうなってくるとドライブスルーの施設を増やしたり、電話での注文などにも応対できるようなインフラをつくらなければいけない。厨房のレイアウトや料理人のアレンジも変わって来よう。もちろん、携帯電話やインターネットなどでの注文も行なわれるようになるだろうから、食事の風景が相当変わってくることだけは間違いなさそうだ。

忙しい現代人が、時間を惜しみ食事を切り詰めて行くのは想像できるが、問題はなぜ生活をそのように小刻みにしていき、自分の首を絞めていくのだろうかと云う問題だ。お持ち帰りだから悪いとは言わないが、一年中それをしていると食事をベースに自分での体調を整えることはできにくくなるだけではなかろうか?ロハス的指向の強いボールダーでは、自分で食べるものを、簡単であっても作ろうとする傾向が強いと思う。ファーマーズマーケットに行き、その日の朝取れ立ての食材を買ってきてサラダなどにして食べることは栄養価の問題だけでなく、精神的にもロハス的にも健全なはずだが、それを怠っているアメリカ人の食生活は理解しにくい。

マイケルポーランの本にも書かれていたが、フランスのパラドックスに悩んでいる訳だが、フランス人はワイン、チーズやパンその他脂身の多いものを食しながらも肥満の比率が低いことに驚いているは滑稽としか言いようがない。食事に時間をかけ、楽しみながら食べていくことがどれだけ健康に良いのか理解をしていない模様だ。アメリカでは、ハヤメシはアメリカ民主主義の柱のような意識でいるので、パワーバーやすぐ手頃に食べられる栄養価満点のスピーディー食材が多い。

日本でも外食文化が浸透し始め、自分で食事を作ることをしないヒトが増えてきている。そうしていつの間にか日本では、これまでなかったような肥満のヒトも増えているのは、何か関連ある気がする。メタボリック症候群や糖尿病の増加などは、食生活だけが原因でないにしても、大きな要因であるのに違いない。忙しいことは大変だと思うが、こころの余裕を作るようにして、食べるものを作る楽しみをもち続けること、地産地消に努めること、時間をかけて食べるようにすることを心がけることが、健康につながることを理解しておく必要があると思う。

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