Friday, January 05, 2007

グリーンな食事のすすめ



アメリカにはCenter for Science in the Public Interest(公益科学センター)と云う団体がある。この団体はこれまで35年にわたってファーストフード、レストランの食事、あるいは映画館でのポップコーンが、いかに消費者にとって悪いものであるのか唱えてきたところ。この団体の専務理事であるMichael F. Jacobsonは地球環境にやさしい食事を提唱し始め、Six Arguments for a Greener Diet (「よりグリーンな食事をする六つの理由」CSPI, ISBN: 0-89329-049-1)なる本を出版した。主席執筆者のヤコブソン氏は動物性の食品をとるより、植物性の食事をより多く食することが、健康寿命を延ばせることを証明するとともに、この植物性の食事をより多くすることで水質汚染、空気汚染、地球の温暖化、動物の苦しみなどなどを削減するだけでなく、食中毒なども減少させることができるだろうとしている。

牧畜業の問題については元旦のブログで書いたところだが、この本もそれに沿った同様の警鐘を呈している。アメリカ人は、毎日一億ポンド、あるいは一兆カロリーの食料品を食している。約3億人のアメリカ人の食糧需要(穀物、肉類、家禽類、野菜や果物)を満たすために巨大な燃料、肥料、水、殺虫剤や広大な農業用の土地が必要になっている。人間のための食糧生産のためだけでなく、家畜などの食糧などのためでもあるのだ。折角の食糧生産を行っても、家畜用の飼料となり、人間は、脂肪の多い動物性食品を食べる一方で、植物性の食糧の消費が減少している。つまり、野菜、果物や穀類などが十分に消費されない状況となってくる。その結果、心臓疾患、脳梗塞、糖尿病、癌などが発生しやすくなる。肥満などによって、多くの人の寿命なども不要に縮められている。このヤコブソンの著作は、食事のより健康な食事が、より健康な地球を維持するために如何に役に立てるかについても豊富な事実を使い書いている。

グリーンな食事をするべき理由:

*毎日野菜や果物をもう一皿余計に食べることができれば、心臓病による死亡率は16%減少することができる
*乳卵菜食主義者(lacto-ovo vegetarian)は、菜食主義者でない人に比べて心臓病による死亡率は24%も低い
*アメリカ人は推奨されている植物繊維の必要量より50%少なく摂取している
*穀物飼料で育てられた牛は、草(粗飼料)で育てられた牛の肉より、脂肪は100%余計にある
*家畜などが放出するメタンガス(地球温暖化の悪原因)は、全メタンガスの19%になること
*毎年屠殺される牛、豚、羊は1億4000万頭にも及ぶこと
*14兆ガロンの水:家畜の飼料を生産するために使われる水資源

同書は肉食を止めろと云っているのではないらしい。ただし、いくつかの食事に関するマイナーな変更をすることで地球温暖化に関するインパクトを減少しせしめることができると云う。どのようなインパクを与えるのかについても計算表のウェブリンクも紹介している。
換算表サイトリンク


ロハスを考えるときに、単なるグルメ料理やスローフードを超えたところでも地球規模的なものの考え方が必要になってきていることを如実に示している。ベジェタリアンやビーガンは単に自分の健康のためだけでなく、地球環境のためにも大きく貢献していると云う自負も産まれてくるだろう。この狭い地球で生きていく上で、皆で協調的なライフスタイルの構築が急務と云えるかも知れない。ボールダーの有機産業や、ベジェタリアンの生活様式の中には、何か深い意味が秘められている気がする。今後もこの環境と健康のテーマをできるだけ紹介していくことにしたい。

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