Monday, January 01, 2007

牧畜産業の成長が放つ警鐘

のどかな牧草、放牧などを連想するとまず地球温暖化とはまったく縁がない世界だと云う気になる。今日の写真は私の家の庭から見えるボールダーカウンティ−のオープンスペースであり、近隣の牧場主に牛を放牧するようにカウンティーの役所が貸し出している。こんなところが汚染の原因だとは思いたくもないし、牛糞の臭いが来ても自然を感じていたのに、どうも違うらしい。

国連のFAO(食糧農業機構)と云うきちんとした国際機関が云うことなのだから信じなければいけないが、牧畜産業について改めて考えさせられてしまった。国連の機関が云うところによれば、信じ難いことだが牧畜の方がクルマの地球温暖化排気ガスを排出するのだと云う。CO2相当で見ると、牧畜業の方が、クルマより18%ものCO2排出を余計しているのだと云う。もちろん、ガスの排出だけでなく、土壌ならびに水源の汚染にも悪影響を及ぼしていると云うのだから始末悪い。

FAOの Livestock Information and Policy Branch部長であり、リポートの作者の一人であるHenning Steinfeld氏は、家畜は環境問題の汚染源としてもっともネガティブな貢献をしている分野の一つと述べている。この問題については緊急な対策が必要だとも述べている。

世界経済が繁栄するに従って、毎年肉や酪農製品の消費拡大がされてきていると云う。世界の肉の生産は1999/2001年の2億2900万トンから、2050年には倍増して、4億6500万トンになるだろうと推測されている。その間の牛乳の生産も5億8000万トンから10億4300万トンになるだろうと見られている。

人間の活動による牧畜用地や、牧畜用地への転換などによって生じる牧畜セクターが排出するCO2は9%に留まるが、もっとタチの悪い温室効果ガスを排出しているのだ。つまり人間の活動によって生じる亜酸化窒素(nitrous oxide)の65%ものガスを排出していることになる。これが如何に悪いかを見るのには地球温暖化潜在指数がCO2の296倍にも相当すると云っただけでも理解できよう。この排出の大半は牛の糞から出てくるものなのだ。また、人間が関与するところのメタンガス発生においても37%ものガスを排出に相当する(CO2よりも23倍地球温暖化要因となる)。また、人間が関与するアンモニアの発生でも64%も出している計算のようだ。

地球全体の地上面積の30%近くが、恒久的な牧草のために使われているだけでなく、耕作可能な土地の33%もの農地が、飼料用の生産のために使われていると云う現状がある。アマゾンの原生林を牧草地にして森林資源をどんどん枯渇させている原因はまさにこの牧草地を作るための作業だ。つまり牧草地の拡大が、森林資源の現象と、二酸化炭素の上昇原因を作っていることになる。

これらの問題に加えて、水資源の汚染、土壌の劣化などを引き起こしているだけでなく、問題が錯綜していると云わざるを得ない。ここで、すべての問題を列挙するつもりはないが、牧畜や牧草の地球温暖化などに与えている影響の大きさを理解することによって、我々宇宙船地球号にいる人間が、ミクロの世界だけでなく、マクロの世界においても広く環境のインパクトを考えざるを得ない状況に至って来たことを理解しなければならない。ロハスは、きれいごとだけではない、社会改革の問題をも内含していることを十分に理解した上で、総論的に地球環境などを見るようにしたい。

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