Friday, October 06, 2006

有機食品基準で泣き言を言う大企業


ビジネスウィーク誌の10月16日号はThe Organic Mythと云うタイトルで有機産品市場が揺れていることを伝えている。これまで何回にわたってウォールマートの記事で伝えてきたように、有機農産物が大手によって主流になってくるとどうしても有機農産物の供給が追いつかない現象があると云う点だ。ただ、記事の取り上げられ方は、有機農産物の定義は守りきれなくなるだろうと云うトーンにはいささかうんざりする。

確かに、有機農業と云うのは、これまで小規模のところが、心を込めて丁寧に仕事をしてきたところだ。そこに大手が入ってくると、大手なりの考えが発生して、独立系のオーガニックファームのやり方ではついていけないことが出ている事象も多くあるだろう。しかも大企業の論理や、投資家との関連で従来型の投資利益率を求める大手企業が出てくることは致し方ない。そのような過程で真剣にオーガニックを追求していた農家や企業が、一部において妥協をすることもあり得る。

ボールダーにおけるオーガニック産業アクティビストと話をしていると、ナチュラルとオーガニックの需要が大きくなってきたことを歓迎するとともに、小規模生産者と大規模生産者との調整が今後の大きな課題と見ている。オーガニックミルクの需給がバランスとれなくなり、供給が追いつかない現象が比較的長いこと続いている。その背景にあるのは、大規模生産者が、オーガニック認定を受けるためには、牛舎をはじめとして、飼料の調達、生産設備の新規増設など大幅な転換を試みなければいけないことと、乳牛のサイクルが生まれ変わったりしなければいけないと云う相当な圧力がかかっているからに他ならない。需給関係がバランスをしていないのは、転換をするにもこのような変更は時間とカネがかかると云うことが大きい。

このような移行期にいろいろと問題が発生することは当然考えられる。すべてが簡単に移行をしたのなら誰でも前からやったはずだ。このオーガニック農業がいかに大変かと云う点は十分承知をしているものの、オーガニックでないものを放置していく社会コスト、環境コスト、健康コストなどを考えていくと、この改革の流れを止まらせると云うよりは、大規模生産者の体質改善を徐々に行っていく心のゆとりが必要だ。金銭的なリターンだけを求めて、ルールの根本を変えると云うことになれば、地球温暖化は不可能だからといって諦めるのに等しい。

ボールダーの多くの心あるロハス的な人々は、長期的な目での変更を求めていると思う。そう、Naturally Boulderと云う会合が、今月の19日と20日に開催される。日本からもソトコトの編集部の人も来られる。より多くのまともな人たちの意見が、ビジネスウィーク誌などの出版物のトーンを変えさせるようにしてほしい。

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