Saturday, January 10, 2009

ファーストフードの健闘。マクドナルド体制立て直し

2008年のアメリカ経済は悲惨なものだった。石油価格の乱高下に始まり、サブプライムで膨張しすぎた不動産市場の歪みが一気に冷却すると信用問題の危機に至ったのは皆も良く知っていることだ。まだ、問題は解決していないが、このようなネガティブなエネルギーの中でも、業績が伸び、証券市場の株価で前年比で伸びたトップ2社がリテーラーのウォールマートとファーストフードのマクドナルドであると知っている人は少ないだろう。

筆者もこれまでファーストフードの弊害を書いて来たりしているので、アメリカは逆戻りをしている観がしなくもない。一方では、ナチュラルマーケットのホールフーズの苦戦などについても書いているが、グルメ指向だったスターバックスの低調ぶりも気になるところであり、マクドナルドの復活が何を意味しているのか簡単に触れてみたい。

マクドナルドの株価の推移を見てみると驚くほど着実に上昇をしているのが分かる。もちろん、瞬間的な落ち込みや後退はあるが、趨勢としては堅調な右肩上がりだ。マクドナルドの経営が一丸になって迷いもなく前進していた訳ではないらしいが、現CEOのスキナー氏が登場をして来てから、一時的にファースト・フード・ネイションやスーパーサイズミーなどの映画で非難をされて来たマクドナルド社の量産方式がいかにアメリカ人の食生活を毒したものであるかという非難は和らいでいるらしい。

マクドナルドは一時的に業績拡大のために、拠点の展開に集中していたきらいがあり、そのために既存店のサービスや拠点の店舗模様が劣化していたケースもあるのだ。スキナー氏の前任者はサービスやメニューの朝令暮改をしたらしい。新規メニューなどを出したり引っ込めたりするのは消費者を混乱させるだけでイメージ改善にはつながらなかったのだろう。社是も “being the world’s best quick-service restaurant(世界でクイックサービスのベストなレストランを目指す)” から“our customers’ favorite place and way to eat(お客にとって最も食べてみたいところ、食べたいものを提供する)”へと基本に戻る形で、従業員の教育を深め、離職率を低めるように人材育成の道を取ったらしい。

メニューにしても、消費者の懸念をよく理解する形で、ビーフからより白身の鶏肉を中心としたメニューが増えており、肉牛のハンバーガーの比重は下がっている模様だ。現在では、グリルチキンサンド、チキンラップ、サザンスタイルチキンサンド、あるいは朝食のためのチキンなどとチキンメニューが急増している。現在は、世界で見ると牛肉よりもチキンの調達が超えるまでに至ったらしい。非難が多かったスーパーサイズメニューを引き下げ、よりヘルシーなサラダやアップルスライスなどを加え、お母さん方を味方にするためにアドバイザー的に使いはじめている。要するに消費者の懸念を訊き出し、それにまっとうな形で対応をしていると言うことだ。簡単なようだが、なかなかできることではない。

もちろんマクドナルドは、スターバックスなどに始まるグルメコーヒー市場をこれまで取り逃がしていたので、それを取り込むのにはどうしたら良いのかも戦略の一つとして検討され、見事な対応策を講じている。より上質のコーヒー豆を手に入れ、それに合う機械設備の導入を行なって、マクドナルドチェーンがより低いコストのグルメコーヒーを提供しはじめて成功している模様だ。まだ、正直言って試していないのだが、近々に試してみることにしよう。

要するに、マクドナルドやこれまで述べて来たウォールマートの健闘は、決して消費者や市場が低級だからではなく、企業が消費者のニーズを良く汲み上げ、バランスの取れた社会的なニーズに適った商行為を行なっているからに他ならないと思う。もちろん、まだ、マクドナルドなりウォールマートはパーフェクトではない。しかし、経済的に苦戦を強いられているアメリカ消費者は、その中で最良の決断をしているだけなのだ。ロハスが後退をしているのではなく、バランスが取れたロハスでないと、経済指標が変わるにつけ、コスト効率の用方向に人は動いていくことを示しているだけのようだ。

地元のボールダーのサンフラワーマーケットもナチュラルマーケットの最大手のホールフーズと競争をして大いに善戦している。客寄せに必死なホールフーズの記事を書いたが、まさに市場は動いているのだ。良いモノを売っているから安泰ではなく、消費者のニージにマッチしているかとが肝要のようだ。

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