Friday, November 23, 2007

Black Fridayと反消費運動

アメリカ国民の一大行事である感謝祭の翌日は、Black Fridayと言われる日だ。感謝祭は木曜日なので、その翌日の金曜日と云うことになる。アメリカの小売業界がクリスマス商戦へ本格的に突入をする日でもあり、多くの店舗が、ショッピングの勢いをつけ始めるために、超目玉商品を超目玉価格で提供し始める日だ。特に、電気製品などは、限定数ながら、モノによっては、人気商品でも半額に近い価格で売られる。ブラックフライデーと言われる所以は、小売業界は、この日からクリスマス商戦で年間の売り上げの半分位を上げるからで、それまで赤字だった店舗が、黒字に転換するとき(願望)を表している。とにかくテレビや新聞での宣伝がすごく、消費を煽ることが多くされる。お店によっては、朝の4時に開店をすると云う滅茶苦茶ぶりが展開され、ショッピングカートをヨーイドンで開店と同時に店内に入るようだ。もちろん、お目当ての商品はだいたい見当をつけてあるので、人気あるような目玉商品については、人が殺到をするので、恐らく新宿駅などのラッシュアワーの何倍かのプレッシャーがかかるようなショッピングシーンだろう。とにかく、消費を煽ることで景気をつけようと云うことだからすごい。

ここで、ロハスと商品について少し考えてみたい。ロハスだから消費をしない訳ではないが、これでもかと云うような景気対策にでもなるように期待されている消費運動には少し幻滅する。消費者は王様と言われるが、そんなことはない。どのメーカーも市場のある程度の予測を立て、それに基づいてリスクを冒して商品の生産に突入をするのだ。市場の需要を見てから対応をすると云われるトヨタ自動車のようなかんばん方式でさえもある程度鉄鋼製品やガラス、タイヤなどの市場予測値を立てた上での商売だ。注文生産でない以上は、予測をベースにして生産されることが当然考えられる。

私も、ドイツの自動車メーカーの仕事をしていたときに、日本向けの生産については、4ヶ月半前に注文するだけでなく、年計販売計画をヨーロッパ本社に出していたので、ある程度消費を達成させると云うメーカー側の意向が強くあった。日本に輸入されたものを送り返す訳にいかないので、結局はあらゆる手で販売し尽くしていた訳だ。消費者が王様なのかと考えたくなる。消費を押し付けている姿勢がここで出てくることは否めない。

アメリカでも、反消費運動が出ているらしい。このように、メーカーの都合だけで、広告代理店などを使い、メディアでどんどん売り込み合戦をされると、消費意欲が強くなってしまうことも当然だろう。私にしても、正直言って欲しいものはいくつもある。でも、皆が同じように買い始めれば、経済は潤うだろうが、この行き過ぎた消費主義には問題がありそうだ。反消費運動は行き過ぎだが、限りある世界資源をどのように活用して行くのか、サステイナビリティをどのように考えて行くのか、もう一度考えるべきではなかろうか?今日の世界人口は60億くらいだそうだ。それが今の予測だと2050年には人口は今のままで推移すれば90億になるだろうと言われている。もちろんどこかで歯止めがかかるだろうが、30億以上の人口増加は、中国の人口の2倍以上の増加と云うことになる。

クリスマスなどの目出たいときに、買い物をするなと云うつもりは毛頭ないが、現行の経済体制をどこかで変える必要が出てきていることだけは確かだろう。ロハスをそのような視点で考えれば、消費と云う概念さえもおかしなものになる。アメリカでは、消費者と言わずco-producer(共同生産者)と云う概念が出始めている。生産者が、需要者の意向を受けて生産するので、共同生産者と云う概念だ。つまり、作ってしまったものをどのように消費させるかでなく、無駄なくニーズに応じて作って行こうと云うものだ。物質主義から、どこかで転換をするときに来たのではなかろうか。ブラックフライデーの日にそんなことを考えている。

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