Tuesday, July 10, 2007

食品の安全

ヒトの健康を考えるときに、重要な柱の一つが何を食べているかと云う点だ。最近の中国の食品の衛生が問題化され、中国品の輸入については政府当局だけでなく消費者の目も厳しくなってきている。しかし、中国品に限らず、食品について厳しい目を持つようになったからと云って、実際に食している食品が安全かどうかを理解している人は少ないに違いない。食品の安全については検査をしている衛生当局が把握しているだろうと多くの人が考えているから、その実態は見えなくとも、何となく安全だろうとの考えで終わっている。私もある程度そのように考えてきた。

企業や国が決めている食品の安全基準は、当然悪意をベースに設定されているものではないが、生産者の顔が見えなくなった現代の食品を何処まで信じて良いのか分からなくなってきているのも事実。実際、雪印の問題や不二家の問題についても、企業の問題処理のときの対応を見ていると、これも何処まで信じて良いのか不安がつのると云えまいか?企業の存続、利益確保の方が、消費者よりも大事だったと云うことが言えたのではないだろうか?そんな感じがしてならない。

食品の安全と云う意味では、多くのことが言えるだろう。単純なる衛生上の問題や、産地の偽りや、嘘の表記なども上げられるはずだ。しかし、今日写真とリンクで掲げているマイケル・ポーランのOmnivore's Dilemmaを読むとそのような偽りなどの前に、食品産業を超えた農業政策の問題から取り上げ、いかに今日の食卓が汚されているのかが分かる。この本を読むと、アメリカの農業政策について大きな懐疑を持ち始める。しかも、それが加工食品の形でどんどんと川下にも流れ始めることを考えると、このような基本的なところから問題を来しているのか不安と恐ろしさを味わってしまう。

ポーランはアメリカの食糧政策の根幹にある、トウモロコシと大豆の生産からまず切り込み始めて行く。そうしてそれが、家畜産業へとつながり、その他の青果物食料品といかにつながって行くのか、あるいは食品の加工品はどうなのか見事に淡々と書き記して行っている。彼の記述はジャーナリスティックなところがあるかもしれないが、オーガニックだから良いのではないと云う点まで掘り下げて行く。ホールフーズもウォールマートも、扱っている商品は少し違うかもしれないが、ポーランの分析では両方ともウォールストリートの奴隷との定義であると云うことになり、ホールフーズへの否定的な意見も多い。

私は、ロハスと云う概念から、ここまでアメリカは進展をしてきているのだと云う気持ちがしてならない。きれいごとのロハスではなくなっているのだ。食品を見るときに、見えないチャンネルの中での問題点を曝け出しているこの本のインパクトは大きい。日本でも農家は、農薬などを使わない食品を自分たちで食し、農薬品を使ったものを市場に出していると前から多くの人のコメントで聞いたことがある。実際はどうなのか分からないが、最終消費者との接点が無くなっている現在のディストリビューションだったらあり得ることかもしれない。このように中間業者が多くなってしまい、生産者と消費者が接点無くなっているところに大きな問題もあろう。しかも、国民を守るべき政府にしても、どうしても化学肥料や農薬全般、種のメーカーなどとの接点が強いことが多くあり、消費者がとかくすると忘れ去られてしまうことも多い。アメリカの巨大農業資本が見え隠れする中で書かれたこの本は恐ろしいし、ある意味では理想の実例も書いてくれているので、食品について実に新たな視点で物事を見るようになってきた。自分のロハス度はさらに高まっていると言えるかもしれない。この本の和訳が出されることを願っている。著者は加州大バークレー校の先生だ。

No comments: