Friday, September 29, 2006

ウォールマートが動くとき(3)

ウォールマートは慈善事業や利益を度外視してグリーン化を進めているのではない。冷徹に言えば、市場で追求をしても十分に利益をあげられることが判明をしてきていることがあげられるだろう。リサイクルを行なったり、燃費の良い車両を使うことでもかなりのコスト節減にもなることもある。二酸化炭素の削減達成率が高ければ、現在検討されている、二酸化炭素削減クレジット交換にも使え、削減を達成できていないところにもその余分クレジットを販売できるだろうと目論んでいるようだ。そのために二酸化炭素削減計画をビジネスモデルの中にも組むはじめている。

魚介類の販売についても、サステイナブルな捕獲方式の認定があるサプライヤーに限定をしているのは、乱獲をして行ったらいつしか捕獲する魚介類が減少し始めるだろうと云う純然たる経済的な意義で考えてのことだ。

ウォールマートは14ものsustainable value networksなる作業グループを設立している。この構成員には、社員だけでなく、サプライヤーと環境グループの人も交じって作業をしている。このグループは、いかにして環境に最少限に被害あるいは無被害で商品を手に入れることができるか常に検討をしている。この作業検討グループを通じて、かなりの外部のサプライヤーの下部組織までサステイナブルな行動が定着し始めている。ウォールマートでは、社内の各事業部のどこで環境に被害を与えているのかも検証をしているようだ。そうしてそれらの問題をどのように解決するかが大きな仕事にもなっていく。

日本のスーパーでは考えられないことだが、ウォールマートでは、魚介類の捕獲が乱獲、資源を枯渇させるようになるようなところから購入をしないと云うことを決めたのだそうだ。だから、ウォールマートの商流が激変していると言っても過言ではない。サステイナブル漁業の認定団体であるMarine Stewardship Councilの存在さえ知らなかったサプライヤーは今後はここの団体の認定が必須になるものとは想像もしていなかっただろう。それだけウォールマートは変貌し始めている。

果物や青果物を買うにしても、プラスチックでないビオディグーレダブルなトウモロコシベースのPLA(poly lactic acid)になっているかもしれない。

ウォールマートが展開しているグリーン化はすごい勢いになっていると言えよう。活動的にはこの紙面で語りきれないものを有している。巨人がこのように動き始めると、これまで少数の意識の高い人たちの世界だったサステーナビリティと云う問題が、広く一般に広がりつつある。グリーンウォッシュ(粉飾グリーンとでも訳すか?)と非難されることはあっても、巨人の足跡は無視できるものではないところまで来た。ボールダーでは当然と思われてきた諸策が、主流に乗り始めたと云うことだろう。アメリカのグリーン化はウォールマートの参画で大きく変貌を遂げることは間違いない。

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