Tuesday, August 15, 2006

ヒート・アイランドは世界的傾向

ボールダーに移り住んでから比較的長いこと日本の夏を避けてきた。一時帰国するにしても、夏だけは避けたい。日本の風情、浴衣と夏祭り、かき氷、風鈴や蝉の声は想い出すが、最近の亜熱帯環境では行ってもあまり楽しくない。ヒートアイランドと云う表現はごく最近知ったが、まさにそうだろう。

だが、この環境は世界的に起こっていると云うことになると、考えさせられることが多い。8月6日付けのワシントンポストにWilliam Saletan記者はPlanet of the Indoor Peopleと云う記事を出した。彼の視点は、もちろん、生活をさらに快適にするために皆がどんどんと冷暖房をセントラルエアー化していることに注目している。その記事の中にいくつか考えさせられる数字が出ているので紹介をしよう。

まず、アメリカのシングル・ファミリーの家屋でセントラル・エアーを採用しているところは、最新データーでは87%に達したようだ。アメリカには北海道的な気候の地域もあるわけだから、不要なところにもエアコンが導入されていることになる。クルマのエアコン装備率は、98%の導入になっている。従来であれば、この数字を見ているとアメリカの先進性を感じるところだが、現在では、行き過ぎを感じざるを得ない。これだけの、エアコンなどを動かすのに、全米の発電所は夏にはピークを連続すると云うのは日本と事情が変わらないだろう。その必要とされる電力を発電するために、相当の石油と石炭を燃やしていて、環境をさらに温暖化に向けさせているのだから、大変なことだ。驚くべき数字は、全米発電量の6分の1をエアコン用に使っていると云う数字が出ている。しかもその数字は、人口10億人いるインドの発電総量を凌ぐのだという。また、クルマのエアコンを利用することで、クルマの燃費は、ガロンあたり4マイル劣化するので、それを全米のクルマの利用と掛け合わせると、何と年間に、エアコンを使っているから燃焼される余分なガソリンは70億ガロンに達するという。

もちろんエアコンを作動させるために必要なエネルギーを作るために多くの温室効果ガスが発生する。平均的なアメリカの家庭でのエアコンのために発生する温室効果ガスは3400ポンドの二酸化炭素だと云う。各人が排出しているガスが、さらに地球温暖化の原因になっているだが、皆が協調をしない限り、その抑制は達成が難しい。最悪なのは暑くなればなるほど、間接的にさらに石油と石炭を燃やしている事実だ。記事では、モントリオールから北へ行った1000マイルのところに住むエスキモーさえエアコンを購入し始めたそうだ。

現代人はヒートを避けて、どんどん室内へ逃げ込んでいく。緊急避難のつもりでエアコンの効いた室内へ逃げ込むのだが、それによって外部の温度はさらに上がっていく現象になる。かなり悪い悪循環と言えるだろう。今年の夏はロサンゼレスで多くの老人などが高温度のために無くなったのが報道されている。2003年にはヨーロッパでは3万5千の人が熱射で亡くなったと云われている。ヒートアイランドどころではない。

室内の温度を下げて逃げ込むだけでなく、アウトドアの温度を下げる努力をしないといけないが、そこへ行くために、個々人の努力が、意識が、まだ高くないと思う。冷房が悪いとは云わないが、悪循環を断ち切る努力をどこかで行なわないと、大変なことになる。このような状況下での企業のビジネス新規アイデアが生まれ、既存の方式でない、ソーラーや風力で冷却技術を導入することが望まれるところだろう。わが家は、最近改築したが、天井の張り出しを増やすなど、クーラー無しでの生活ができている。もちろん、ボールダーでの生活であり、東京では無理なのかも知れない。早く東京に夏でも行きたいような雰囲気になって欲しい。

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