7月のアメリカの自動車販売台数の発表があったが、その中で、月販べースでトヨタ自動車がフォードを、そうして本田技研がダイムラー・クライスラーを凌駕したことがアメリカのメディアでかなり大きく報道されている。GMやフォードの激減は、これまでの大型RVへの依存が強かったことが、今回の販売台数の激減と関係していると書かれている。モデルイヤー変更の直前になる夏は、在庫一掃のためにメーカーがこぞって販促に力を入れる時であり、在庫を減らせないでいると、新規モデルの投入についても力が入りにくい。大型車依存が高いために、GMとフォード社の販売にかげりがみえるのは、今後メーカーの生産計画やモデル開発の方向でも大きな潮流の変化のきっかけをもたらすだろう。巨大タンカーのような航行だから、急激に方向転換はできないだろうが、大型車中心の事業モデルは変化せざるを得ない。この厳しい、市場情勢を経て、アメリカの自動車メーカーがどのような方向に転換を始めるのかは、きわめて面白いところだ。
さて、クルマよりもGDP(国内総生産)に大きな影響を与える住宅建設の方向についてだが、ロサンゼレスタイムズの記事を読むと、住宅建設にあたっては、省エネや代替エネルギーを使った建築方式が盛んになりそうな報道をしている。つまり、これまでの住宅においての、建設であろうと改造であろうと省エネ対策をすることは投下するコストを回収するのは難しいとされてきた。クルマもそうだが、ハイブリッドのプレミアムや、ソラーパネルなどのプレミアムは、その上乗せ分が再販価格や下取り価格に反映をしないと言われてきたからだ。
しかし、ここへ来て、住宅を購入する人は、より省エネ対策を施されている建物を選び始めていると云う。つまり、電気代やガス代の節約対策がされている家にプレミアムがついてきた訳だ。これまで、住宅の売値を上げるためには、キッチン、トイレ、屋外のパティオなどを改造すれば値段が高まると云われてきたところに、徐々に、ソラーパネルがあるのか、断熱材やガラスなどの熱遮断対策がされているのかが買い手側の関心になってきていると云う。しかも、現在の市場において、まだそのような対策をしてきた家が少なかったことから、そのような家の再販価格が高くなっていることもあり、市場全体がそのような方向に動き始めているのだろう。
省エネと云う言葉は、これまでもアメリカでは多く語られてきたが、このように市場の反応が変化するにつれて、実際に需要が高まりつつあるために、需要が需要をさらに生むと云うことになろう。シャープ社の米国法人が今年の春に行った調査によると住宅購入予定者の64%もの人がソラーエネルギー対策を施した家は高くとも買うことを表明したと云う。家を売る時に、過去一年の平均光熱費を示すようにしているが、その金額が低いことを見せることで、住宅購入希望者の購入意欲はさらに高まってしまうようだ。
現在のところ、省エネ対策を施している比率が低い中で、省エネ投資をした時の投資回収はまだまだ高いと云えそうだ。現在のエネルギーコストが下がりにくいと見込まれているだけに、今後の省エネ住宅建設、改造に大きな弾みがつきそうな勢いだ。
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