日本においては有機牛乳はまだ珍しいと云うのに、アメリカでは、乳製品の消費が多いためか、有機の範疇が広まっている。しかも、有機は有機でも、自然放牧の度合いまでが差別化要因になるほど、牛乳へのこだわりは大きい。まだ、主流になっている訳ではないが、今度の流行は、Raw Foodの影響を受けているものと思うが、殺菌しない牛乳を求める人が増えているらしい。殺菌は英語ではPasteurizedと言うが、通常の牛乳はこの殺菌を行なった過程でないと市販できない仕組みになっている。もちろん、衛生当局としては、生牛乳を販売させたときのリスクを考えてのことなので、理解できないでもないが、生牛乳派の主張は、
「本当に有機のえさでストレスが少なく成育している乳牛は、牛乳の質が良いだけでなく、牛がリラックスしているので牛自身の病気に対する自然な抵抗力がある。だから、一般牛のように抗生物質などを与える必要など全くない。健全な、乳牛の牛乳なので、衛生上気をつければ、問題ないはずだ。しかも、殺菌をすると云うのは、高温処理をするので、悪い菌を殺すだけでなく、善玉菌も殺してしまう。これでは、せっかくある栄養素を殺菌プロセスで除去してしまうことになる」と言うことになる。この生牛乳を飲むと、抵抗力も高まり、子供の集中力も高まると言う。誰がこのような研究をしたのかどうか知らないが、自然回帰を求める人の心理はよく理解できそうだ。
市販できないのに、それがどうして増えてきているかと言うと、自分の牛から採って飲むことについては、衛生当局とて文句は言えないと云うことなので、牛の所有を共有して行くことがなされているらしい。法律上は自分たちの牛の牛乳をどのようにして飲んでも構わないと言うことになる。この牛の共同所有が、生産側が対応できる限界を超えていると云うことで、参加するのに大きなウェイティングリストがあるらしい。しかも、その権利を得るのに支払う金額は、ガロンあたり7ドルくらいするらしい。通常の牛乳が2ドル50セントくらいだとすると、有機牛乳は5ドルを超えており、3倍くらい値段は高い。これだけ、高いコストの牛乳でも買おうとするのだから、牛乳へのこだわりが高いのは分かるだろう。
ボールダーから東に行ったところ、ブライトン市のジョンソン・エーカー農場の共同乳牛配給に加盟をするのに300名の待ちリストがあるそうだ。このような共同所有の仕組みを提供しているところがコロラド州だけでも15カ所くらいあるそうだ。300名も待ち人がいるのであれば、その人気でより多くの乳牛共同所有農場が出現し始めてもおかしくない。いずれにしても、健食を考え始めている人たちにとって、牛乳の高価格で驚くようなことはないようだ。安全な食とは何かを本当に考えさせられる動きだ。
共同所有の権利をするために申し込むサイト
www.johnsonacres.com.
コロラド州におけるその他の生牛乳生産の案内
www.rawmilkcolorado.org.
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