Wednesday, October 07, 2009

Dow Chemical社、屋根板をソーラー化


アメリカの化学大手企業のダウケミカル社が、屋根板をソーラー化した記事がニューヨークタイムズ紙に掲載されている。ソーラー屋根板についてはシャープなどの日本のメーカーも技術は相当進んでいるし、ダウケミカル社の専属的な技術ではないが、時代の流れからして、これまでソーラー技術は何かプレミアム的な存在だったものが、ここへきて、一般建材の分野に下がってきていることは注目してよい。コストが高いのであれば、一部の裕福層だけが利用することになりかねず、それでは省エネは広がらない。アメリカのセクターごとのエネルギー消費を見てみると、住宅分が22%を占めており、そこが大きくエネルギー消費を削減できることになれば、二酸化炭素排出量は大幅に削減できることになる。

アメリカの景気後退は底を打った観があり、徐々に住宅建設が回復基調にある。最新データーは全米ベースの新規住宅着工件数は8月のもので59万8千軒だが(昨年同月は84万9千軒)、オバマ政権が打ち出しているグリーン景気助成策の一環として、新規住宅の一部にでもこれが採用されるようになれば、省エネの勢いはつき始めることになる。まだ、このダウ・ケミカル商品は市場に出回っていないが、テストマーケティングが2010年の年央だと言われているにもかかわらず、このように先行して発表をしているのは、消費者やデザイン施工の企業や住宅開発業者へ早めに売り込みはじめたことを意味しているようだ。

これまで、グリーンな既存・新興企業が、設置訓練をして資格を与えられた人たちが備え付けるような仕事についていたものが、ダウケミカル社の方向性としては、屋根の施工業者、つまり、これまでアスファルトタイルの設置をしていた人たちでもできるような簡便化している模様だ。そのために、施行工事のコストは大幅に削減できるとダウ・ケミカル側は見ている。これまでの既存屋根板と同じような扱いで済むことだが、最終的にはインバーターへの接続は電気工の仕事になるものの、作業は平準化されてしまう。

ダウ・ケミカル側の市場予測では2015年までには市場は500億ドル規模になると見ている。しかも、普通のアスファルトタイル屋根板の住宅普及率が90%を占めていることから、ダウケミカル側は、アスファルトタイルの平均寿命は20年となっているので、既存住宅屋根板の張替えでも需要が出てくるだろうと予測しているようだ。このダウケミカル社に薄膜(thin-film solar cells)を供給しているのはアリゾナ州ツーソンにあるGlobal Solar社だ。この薄膜は先端的なソーラーパネルと比較するとエネルギー交換効率は10%しかないために、ソーラーパネルと同じようなエネルギー交換率を産み出そうとすればよりも広い屋根面積が必要ということだったためにあまり魅力がなかったカテゴリーだ。しかし、このように効率が高くなくても、ダウケミカル側では、これら屋根板を使っても、通常の住宅の必要電力の40−80%をまかなえるだろうと見ている。

ダウケミカル社は、広範な製品群や技術を持っている一大企業だが、とかく環境派の人々に叩かれる企業の一つであることも事実。しかし、このように経済的な見返りがあれば、企業としても環境保護的な製品を作ることは大いに考えられる。モンサント社なども農業化学品を多く作り出し、環境汚染の元凶のように見られている企業も、連邦政府の指導や法制改正などにより、土壌改良技術を開発したりしたら、社会はきっと少しでも良い方向へ進むことだろう。オバマ政権が取っている省エネ政策、グリーン雇用促進策、代替エネルギーの政策など大いに注目していきたいものだ。

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