Friday, December 19, 2008

クルマ共有の概念広まる

今日は任期残り少ないブッシュ大統領がゼネラルモーターズ及びクライスラー救済のための処置を打ち出した。救済ではなくメーカーは融資だと言っているが、国民の目には救済だと映っている。アメリカの景気後退の凄まじさから言ったら、何らか措置を講じなければいけないということだろうが、経営が傾いた背景には市場の資金の流れがタイトになったのはあるにしても、メーカーの自己責任が多いと多くのアメリカ人は感じているようだ。

自動車の販売はかってない水準へ落ち込んでいるが、これまでの資源利用効率の悪さから見てみると、アメリカの自動車利用の仕組みを見直すことは必要なことだろう。特に居住密度が高い都市部や既にかなりの公共輸送機関があるところでのクルマの所有が見直されてもおかしくない。都市部と言ってもクルマが全くないことも困るときがあるだろう。しかし、高い駐車場、クルマ保険、修理、などなどを考えていくとあまり必要がないのに、無理矢理所有してきた観がしないでもない。私はボールダーの郊外近いところにいるので、ないととても不便だが、無理をすれば、なくても生きていけなくもない。ニューヨークや東京のような都会だったら、特別なときにあればということで十分に用が足りるだろう。

このような背景を前提にして北米ではクルマの共有のような仕組みのZipCarが出現して、今では大きく伸び始めている。クルマを「所有」することで受けるデメリットを回避することが目的だ。ZipCarの優れていることは、単に足になるクルマを必要なときに持つということではなく、レンタルのタクシードのごとく、TPOに合わせて、クルマの車種を選定できる点だろう。もちろん、それには事前に予約する必要はあるが、所有をすれば、多くのクルマを持ち、ニーズに応じて使い道を変えていくということなどできないからだ。このZipCarのコンセプトを作り上げた人たちは、ロハスの視点でものごとを考えてきた先駆的なビジネスマンと言えるだろう。

ただ、ZipCarが大きく注目を浴びるに付けて、既存企業が手をこまねいている訳にもいかない。下手をすると新しいビジネスの動きに取り残されていくからだ。その例が今月発表になったクルマレンタルの最大手、Hertz社のZipCarについて随する行動だろう。アメリカだけでなく、ロンドンやパリなどでも動き始めているが、都会でのクルマ所有率の低下につながることは間違いないだろう。物質的なモノの所有にこだわらなければ、一時的な時間借りのシステムは資源の効率的な活用につながっていくだろう。

自転車などの貸し出しシステムも欧州を中心に始まっているが、クルマの所有パターンの変化も今後大いに予想されうるので、自動車メーカーの将来モデルを研究している人たちは、移動の自由確保、資源の効率化且つ再利用、利益確保などの要素を考えながら、動いていかざるを得ないだろう。クルマの時代が終わったとは思わないが、社会的位置付け、その存在意義などは大いに再検討をされることになるだろう。

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