オーガニックとして認定されている食品の販売は、より高価格帯なために景気後退の中で減少するだろうと見込まれていたが、伸び率こそ減ったものの安定した市場になりつつあるようだ。2008年の対前年の伸び率は、2008年後半の急激な景気後退時にもかかわらず、年累計で、食品と非食品分野において総売り上げ額246億ドル、17.1%の大きな伸びになった。2009年の統計はあまり出ていないので、ここで書くことにしないが、まだ比較的に堅調なようだ。情報がまた出てくれば、紹介をするようにしたい。
今回、話題にしたいことは、オーガニック市場の急成長は、これまでも紹介しているように大手企業の関しを引き寄せていると云うこと。大手企業がオーガニック市場に参画するとなると、良い面だけでなく、悪い側面も出てくるので、きちんとことの推移を見守っていかないといけない。私が喜んでいるのは、農薬、殺虫剤や化学肥料、遺伝子組み換え種子など生産するような企業の成長鈍化すると云うことだ。現に、自然派運動の攻撃に的になる大手のモンサント社なども従業員削減などを余儀なくされている。経営についても、ピーク時に比べると少し下がっている。下降傾向が一時的なものなのか分からないが、オーガニック食品などの成長に伴い、事業転換が迫られるようになることを願っている。需要の低下は、あくまでも人工的な農業が減ることを意味し、土壌、河川などの汚染も少なくなることを示すからだ。
しかし、より大きな問題がある。アメリカのオーガニック認定基準は比較的最近になってまとめられた連邦基準だ。これまで、各州ベースで認定されていたものを、多くの人の努力で、連邦レベルの基準へと持ち上げ、先端的なドイツなどの基準に近づいたとされていた。しかし、ブッシュ大統領時代から、あまり厳格な基準では、大手食品メーカーの市場参加のメリットが少ない、他社との差別化が難しい、市場参入が難しいなど、本来の食品をより加工度の高いモノへと変更したり、添加物などを混ぜたり、引き続きオーガニック認定を受けたい希望が強いようだ。そうして、これまで、人工添加物を入れれば、連邦の有機認定は与えられないとされていたいくつかの分野で例外処置がとられるようになってしまっている。ワシントンポスト紙が紹介する事例はベビーフードの事例だ。しかも、添加物は、思考能力や視力を改善されるとされる添加物で、オーガニックベビーフードの90%にも添加されているという。困った事態だ。
ベビーフードに限らず、いくつかのカテゴリーにおいて細かいレベルだが、基準の緩和が行なわれているようで、多くの場合、食品メーカーの強いロビイング活動の結果だと見なければならない。大手企業の差別化対策のために使われているとしたら、オーガニック認定が形骸化してしまう懸念も出ている。もちろん、オーガニックの認定には、添加物でもオーガニックのものが手に入らないので一時的に例外処理されているモノもあるとのことだが、それらの例外的処置を受けているものが減少するべきものであるにもかかわらず、数が増えていると云う問題点なども指摘されている。
ビルサック農務長官は、オーガニック認定の基準緩和圧力が出てきていると認めつつも、、一方では、法の精神をしっかりと守るように体制強化をして行く所信表明をしている。オバマ政権下でも、オーガニック基準や関連の行政支出を増やしており、明らかにこの問題は大きなテーマであることを裏打ちしている。
ボールダーには、この厳格な基準を守れという声は高い。大手メーカーの強い圧力をはね除けてでも、オーガニック基準を守ろうとする姿勢は強い。厳格な基準を守るためにロビイング活動をしている団体などもある。PR企業でそのような活動をしているのはFresh Ideas Groupなどの企業だ。何がオーガニックなのか、誰のためのオーガニックなのか、最終的な判断は消費者の財布によるので、政府の基準もさることながら、市民運動の一環で、ローカルなオーガニック、加工度の低いオーガニック、ファーマーズマーケットなどで買うようにして行くことで、大手への圧力を市民がやっていかなければならいだろう。基準は人間が作るもの。ほどよく懐疑的な目で見ていくことが必要だ。企業の立場も守らなければいけないが、消費者を主体としたオーガニック認定であることを忘れてはならない。政府、企業、消費者皆がオーガニックと云う取り決めを守っていかなければ、何のためのオーガニック認定なのかと云う問題になってしまう。
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